【休みよりお金が大事】建設現場で「週休2日制」が普及しない理由とは?

建設現場で「週休2日制」が普及しない理由

建設業界における「週休2日制」の導入は、私の勤める会社でも最近、話題に上ることが増えています。建設業は本当に休みが少ない業界で、私自身、もう少し休日があればと思ったことは何度もあります。国土交通省が指摘している通り、休日の少なさが理由で、若者が建設業界にあまり興味を持ってくれないのも事実でしょう。

しかし、施工管理技士の目線から言わせてもらうと、建設業で「週休2日制」が普及しにくいのは、ある意味、当然のことだと思っています。その理由を管理者目線で説明します。

工事の材料単価を見直すべし

近年、工事における材料の単価は上がっています。材料単価が高価になると、真っ先に削減されるのは人件費です。施工管理技士の場合は固定給の会社が多いので「週休2日制」を導入されても正直それほど影響はありませんが、問題は下請けの施工者の方々です。

ほとんどの施工会社の社員さんは日当給です。日当給の場合、「週休2日制」の導入によって所得が低下します。施工管理技士の立場としては、材料費を見直して工事単価を上げることが出来れば問題ないのですが、書類の作成時に工事内訳書に提唱してある指定材料を使わないといけないことがほとんどなので、現実的には難しいのが現状です。

また、品質管理も厳しくなってきており、JISマークの2次製品を使用する決まりなど、細かい拘束も多々出てきます。例えば、法面の土工の後には、水路や集水桝の設置などがありますが、そこに使われる水路の材料の2次製品も、JISマークで品質管理されていることがほとんどです。国が指定した2次製品を使用することが公共の工事では当たり前になってきています。材料の単価が値上がりした上に、材料指定までされては、作業員の所得の確保は正直厳しいのが現状でしょう。


工事期間の延長に伴う工事経費の増加

「週休2日制」を導入するということは、単純に週の6日の作業が、5日の作業になるという事です。この1日の差は現場に携わる人間からすれば、非常に大きな影響を受けます。進捗率もそうですが、例えば私が携わっている法面の土工の現場に置き換えてみると、土工の利益は土の掘削と運搬の作業効率で全く違ってきます。

仮に1日に70m3の残土を運搬する現場だったとして、1日運搬の作業が減るわけですから、1ヶ月にすると約280m3も運搬の残土量が変わってくるわけです。

それだけではありません。たいていの施工業者さんは残土運搬に力を入れますので、ダンプをリースして台数を増やして運搬作業を行います。すると、リースする日数は当然休日を挟むことで延びてきます。リース代も嵩んでくるので工事にかかる経費は多くかかってしまうわけです。

現実的に「週休2日制」を取り入れるなら、工事にかかる必要経費を見直す必要も出てくるという事です。

「週休2日制」よりも所得を優先せざるを得ない建設業界

建設業にとって十分な休暇の取得の問題は、正直なところ暗黙の了解で流されてきました。しかし、近年の建設業の若手不足の問題や人材確保の視点から、前よりも一層「週休2日制」を導入する必要性が強くなってきてることを感じます。

私自身としても、作業員の方々の仕事を間近に毎日見ているので、十分な休息をとって頂きたいという意味で、「週休2日制」の導入に賛成です。 私の住む地域でも「週休2日制」の導入を始める建設会社が、徐々に増えてきています。休日が増えることは、心身共にリフレッシュでき、建設業界のイメージアップにも繋がるので、確かに良い事だと思います。

しかし、当の作業員さんの声は「所得が減るなら休みはいらない」という方が非常に多いのが現実です。全ての人の要望を叶えることは正直難しいとは思いますが、所得と休暇のバランスが取れた制度を確立しないと、「週休2日制」だけが導入されても、あまり建設業界のためにならない制度だと感じています。

ピックアップコメント

私のお父さんはおじいちゃんが立ち上げた法面会社を引き継ぎ社長として働いてます。社員同様暑い夏も寒い冬も早朝から夜まで現場に出て働いています。やっぱり休日は日曜だけです。ぱぱに小さいころ遊んでもらった記憶があんまりないのは、今まで自分の中で少しコンプレックスでした。(それでも、作業着を着た日焼けした筋肉もりもりのぱぱはかっこよくて面白くて大好きなぱぱでした?)これが当たり前だと思って育った私も、21歳になって社会を少しだけ知った今ならその理由がわかります。疲れた体を休めることができるのは週にたったの1日。そして責任感の強い人なので、社長として精神的な負担もわたしには計り知れません。50歳を過ぎた父ですが、体力仕事を任せられる若手社員はなかなか入ってこず、これからも今まで同様せっせと働き続けることでしょう。いつか建設業界で働くお父さんたちに、娘や息子、孫とのかけがえのない時間が十分にとれる時代がくることを、建設業界で働くお父さんをもつ子供たちにお父さんとの素敵な思い出が作れる時代がくることを願います!?

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大学卒業後に一度、建築商材会社に就職するも、その後、現場に立ちたいという想いから、建設会社に転職。 これまでに道路舗装や下水道、解体などの工事に携わってきたが、今は急傾斜地区崩壊対策事業の測量や施工を主に担当している。
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