工事期間の延長に伴う工事経費の増加
「週休2日制」を導入するということは、単純に週の6日の作業が、5日の作業になるという事です。この1日の差は現場に携わる人間からすれば、非常に大きな影響を受けます。進捗率もそうですが、例えば私が携わっている法面の土工の現場に置き換えてみると、土工の利益は土の掘削と運搬の作業効率で全く違ってきます。
仮に1日に70m3の残土を運搬する現場だったとして、1日運搬の作業が減るわけですから、1ヶ月にすると約280m3も運搬の残土量が変わってくるわけです。
それだけではありません。たいていの施工業者さんは残土運搬に力を入れますので、ダンプをリースして台数を増やして運搬作業を行います。すると、リースする日数は当然休日を挟むことで延びてきます。リース代も嵩んでくるので工事にかかる経費は多くかかってしまうわけです。
現実的に「週休2日制」を取り入れるなら、工事にかかる必要経費を見直す必要も出てくるという事です。
「週休2日制」よりも所得を優先せざるを得ない建設業界
建設業にとって十分な休暇の取得の問題は、正直なところ暗黙の了解で流されてきました。しかし、近年の建設業の若手不足の問題や人材確保の視点から、前よりも一層「週休2日制」を導入する必要性が強くなってきてることを感じます。
私自身としても、作業員の方々の仕事を間近に毎日見ているので、十分な休息をとって頂きたいという意味で、「週休2日制」の導入に賛成です。 私の住む地域でも「週休2日制」の導入を始める建設会社が、徐々に増えてきています。休日が増えることは、心身共にリフレッシュでき、建設業界のイメージアップにも繋がるので、確かに良い事だと思います。
しかし、当の作業員さんの声は「所得が減るなら休みはいらない」という方が非常に多いのが現実です。全ての人の要望を叶えることは正直難しいとは思いますが、所得と休暇のバランスが取れた制度を確立しないと、「週休2日制」だけが導入されても、あまり建設業界のためにならない制度だと感じています。
私のお父さんはおじいちゃんが立ち上げた法面会社を引き継ぎ社長として働いてます。社員同様暑い夏も寒い冬も早朝から夜まで現場に出て働いています。やっぱり休日は日曜だけです。ぱぱに小さいころ遊んでもらった記憶があんまりないのは、今まで自分の中で少しコンプレックスでした。(それでも、作業着を着た日焼けした筋肉もりもりのぱぱはかっこよくて面白くて大好きなぱぱでした?)
これが当たり前だと思って育った私も、21歳になって社会を少しだけ知った今ならその理由がわかります。疲れた体を休めることができるのは週にたったの1日。そして責任感の強い人なので、社長として精神的な負担もわたしには計り知れません。
50歳を過ぎた父ですが、体力仕事を任せられる若手社員はなかなか入ってこず、これからも今まで同様せっせと働き続けることでしょう。
いつか建設業界で働くお父さんたちに、娘や息子、孫とのかけがえのない時間が十分にとれる時代がくることを、建設業界で働くお父さんをもつ子供たちにお父さんとの素敵な思い出が作れる時代がくることを願います!?