土木を馬鹿にする若者たち
先日、とある地域の業務委託を行っている際、私たちの作業を見ていた若者数人がこんな会話をしていました。
若者A「こんな暑い中、よくあんな作業できるよな」
若者B「絶対にあんな仕事はしたくないよな。きつそうだし」
若者C「土方の仕事なんて誰にでも出来る、馬鹿がやる仕事だよ」
従業員全員に丸聞こえでしたが、誰も文句を言いに行かず、みな淡々と仕事をこなしていました。
私はこの会話を聞いて、腹が立つというよりは、世間の建設業界に対するリアルな声が聞けた気がしました。そして、こういった間違ったイメージを払拭したいという想いが強く湧いてきました。
土木業界には東大・京大の卒業生もいる
まず「土木は学歴のない馬鹿のやる仕事」という勝手なイメージを捨てていただきたい。もちろん、全ての方がそう思っているわけではないのは分かっているのですが、実際に土木業界に携わっていると、悲しいことにそういった心無い言葉を耳にする機会があるのは事実です。
しかし、私は建設業界に誇りを持っていますから、このような言葉を聞いても、悲しむのではなく、ちゃんとした土木業界を知ってほしいと強く思います。
「土木=馬鹿」というのは全く逆で、馬鹿に土木は出来ません。土木業界には東大や京大出身者もいます。ただ単純に作業をこなすだけなら、確かに誰でも出来ます。しかし、土木の仕事は毎日、目まぐるしく現場が変わり、頭を相当捻らないといけないような現場が数多くあります。
型枠が良い例です。構造物に合わせた寸法の型枠を作る時だけでも、パネルの向きや、面木の打ち付け位置も気を付けながら、尚かつ図面に記された構造物の完成形をイメージしながら、作業を進めていかなくてはいけません。
さらには現場監督が指示したことを瞬時に理解し、施工しなければならないため、土方には相当な理解力とイメージ力が必要とされます。
家を建てる時も同じだと思います。建築士の言っている意味の分からない大工に家は造れません。相当な専門性も必要とする建設業の仕事は、決して馬鹿にできる仕事ではないのです。
「土方はキツイ」は間違いでもある
土方に対する仕事のイメージで最も多いのが「キツイ」でしょう。確かに土方は肉体労働を伴うため、決して楽な仕事ではありません。しかし、その一方で土方の世界でも日本の技術は進んでおり、一昔前では考えられないような機械や道具が次々に登場しています。
私が感動したのは、水路などの二次製品を運ぶためのイーグルクランプという道具です。この道具を使用することによって、力を入れる場所が一点に集中できる作りになっているため、少しの力で二次製品が持ち上がるようになりました。全て施工者が手作業で行っていたことも機械作業が進歩して、随分と楽に作業できる環境になってきました。そして、その環境はAIやロボットなどによって、これからも進んでいくと思います。
さらにいうと、土木の現場にはキツイ日もあれば、ラクな日もある、というのも現状です。作業内容が毎日変わるので、力作業でしんどい日もあれば、一日中ダンプ作業といった楽な日もあるわけです。ラクする事が良いとは言いませんが、少なくとも毎日キツイ仕事ばかりといった、嫌なイメージを持たれたくないので、こういったこともあえて伝えていく必要があると考えています。
土木はラクなときもあります。
建設業界のことを知らない人ほど「3K」と言いたがる
土方に対する世間のイメージは「3K」と言われ、悪いイメージが大多数を占めています。それによって若者の土木業界参入の減少や職離れの原因に繋がっています。
しかし実際に働いてみると、土木業界の素晴らしさが分かると思いますし、そのためにも私は情報を発信して現場を変えていく必要性を感じます。
また、「3K」と言う人ほど、建設業のことを知らない他業界の人と言う印象もあります。メディアの方々には、もっと建設業の良い面を取り上げていただきたいと思いますし、このままでは土木従事者がいなくなり、日常生活のインフラにも支障が出てくるかもしれません。
若者が就職したい仕事ランキング1位に、建設業が輝く日を夢見ちゃダメですか?
ベテランほどその場しか見えてない人は多いから手元は大変かと…‼️持っていけよの材料とか、指示間違いの材料とか…新人ほど理不尽を感じるのはどの職業も同じかもしれないですが建築現場はさらに理不尽です(笑)