古い建設業界をあざ笑う、新しい施工管理技士
施工管理者になってから毎日、書類と現場管理の業務に追われ、休日返上。たまには長期休暇を取って、旅行にでも行ってみたいものだ。
——そんな愚痴を最近、施工管理技士の仲間とこぼしあいました。おそらく建設業で管理業務をしている方であれば、みなさんも共感いただけるのではないでしょうか?
でも、そんな愚痴とは無縁の、羨ましい施工管理者も日本にいるんです!
収入2倍、休日も多い「新しい施工管理者」の働き方
一般的な管理会社で働いている施工管理者の場合、休日は日曜日のみ、繁盛期は日曜日も事務所に出勤して書類作成、なんてことは当たり前の働き方になっています。国土交通省や日本建設業連合会(日建連)も今さらながら「週休2日の確保」を訴えていますが、大手ゼネコンの正社員さん以外に「週休2日」が浸透するのは、いつになるやら。「そもそも建設業界のピラミッド的な多重構造が根本的な問題だ」などという文句も現場では聞こえてきます。
が、しかし、そんな旧来然とした建設業界をあざ笑うかのように、仕事と休みを自分でコントロールしながら、年に一度は必ず海外旅行に行っている施工管理技士がいるのも事実。「週休2日」が実現するのを、首を長〜くして待っていたり、業界構造に文句を言ったりしている暇があるなら、むしろ、こうした自由な施工管理技士の働き方を見習ったほうが得策ではないかと思うわけです。
海外旅行を満喫しているその施工管理技士は私の先輩なのですが、決して仕事をさぼっているわけではありません。きちんと自分の管理業務をこなし、施工管理者としての知識も素晴らしい方です。
では、なぜそんな働き方が可能なのか?実際にその先輩技術者Kに話を聞いてきました。新しい施工管理者の働き方として参考にしてください。
先入観が施工管理技士の給与と休日を奪っている
先輩Kいわく「古臭いのは建設業界だけでなく、施工管理技士の考え方も古い。まず、会社に正社員として雇われて働くことが常識だと考えている施工管理技士が多すぎる。そういった先入観や固定概念が新しい働き方の妨げになっているし、業界全体の給与水準も下げている」。
先輩Kは施工管理技士として、どこの会社にも属さず、派遣で色々な現場に呼ばれて管理をする、という働き方をしています。しかも、その収入は、施工管理者の平均年収の2倍近く。
先入観に捕われている古臭い私にとって、派遣社員と聞くと「大丈夫か?」「白い目で見られないか?」などと思ってしまいますが、先輩Kの施工管理技士はこう答えてくれました。
「たしかに施工管理の派遣社員と聞くと、安定していないとか、地に足がついていないと言われることもある。しかし、俺の目標とする建設現場での働き方は、自由な時間を確保できること。スキルを磨いて自分を必要とするリピーターをつくり、期間集中的に働くのが、自由と収入を最大限に両立できる方法なんだ」。
能力次第で、収入も休日も増える派遣の施工管理技士
とはいえ、派遣の施工管理技士でも「一番良いのは管理を請け負ってから工期終了までの期間は忙しい。でも、それが終われば、次の仕事を取るまで休暇がとれる。年一回は海外旅行にも行けるようになった」という。
休日の多さ以外に、派遣で働いて良かった理由を聞くと、先輩の施工管理技士Kは「普段から施工管理スキルを磨いて、それが認められれば、同じ会社から続けて仕事の依頼があったり、収入金額の交渉もできるから自分が納得のいかない金額の仕事は受ける必要がない」とのこと。
逆に、派遣の施工管理技士のデメリットを聞くと、「確かな施工管理スキルがないと、仕事を貰えなくなることが一番のデメリット。管理能力も全て自分一人の仕事として見られるから、そこは人一倍努力しなきゃいけないところだね。その代わり、正社員でテキトーに働いている技術者よりは技術力も付く。もし転職するとしても良い会社の正社員にはなれると思うよ」と。
先輩の施工管理技士Kのように、自由な時間と収入を確保するためには、それなりに技術の向上も必要となるようですが、羨ましい働きです。
施工管理技士に必要なのは、理想をイメージして努力すること
しかし、それでも私は、正社員で働くことにやはり固執してしまいます。給与が低くて、休日も少ないのに、派遣で働こうと思えないのは、勇気があるかないかで、起業家とサラリーマンの差と似ているかもしれません。
「建設業界で働く技術者に一番必要なのは、自分がどういった環境で働きたいかをしっかりとイメージして、それが可能だと理解すること」。
そう語る先輩の施工管理技士Kは、どうやって残業や休日出勤が当たり前といった先入観を捨てることができたのでしょう。
「俺が派遣という働き方に着目した理由は簡単。建設業界は施工管理技士の有資格者自体が不足しているので、国として需要がある。だから、正社員として毎日業務に追われなくても仕事には困らない。しかも派遣であればサービス残業もなく、スキルさえあれば、正社員よりも高い給与も貰えるから」。
さらに先輩Kは、こう続けます。
「正社員って語感は良いけど、もっと自由に働き方を選ぶべき。とにかく、今からは色々な働き方を考えることで建設業界の悪いイメージを払拭していかなければならないと思う。その一例として俺の働き方は良い例になると思うよ」。
私も先入観を捨てて、努力すれば、K先輩のように自分の思い描いた理想の働き方は必ず実現できるのかもしれません。
今回、K先輩にお話を伺うことで、自分の働き方を見直す良いキッカケになりました。日々、何気なしに業務に追われるのではなく、自分がどういった働き方をしたいのか、自分の理想をあきらめずに努力することが大切であるという事ですね。