「大雨に勝つ!」絶対に知っておきたい、大型基礎の水替え対策

「台風に勝つ!」絶対に知っておきたい、大型基礎の水替え対策

雨で砂層からの湧水がハンパない!

大雨や台風で工事現場がプールみたいになった経験をお持ちの建築関係者は多いと思います。

昨年、僕の現場では基礎工事をやっていました。公共施設で、敷地は約1500平方メートル、延べ床面積は約1000平方メートル。鉄骨造2階建てのS造で、地中梁を繋ぐ独立基礎は30ヶ所。

基礎の深さはGL(グランドライン)から1500mm程度。ボーリングのデータ通り、もともと畑で、その下に粘土層があるのですが、運が悪い事に、ちょうど掘削床の捨てコンライン付近が砂層に変わっています。

当然の事ながら、雨で砂層からの湧水がハンパないわけです。粘土層がもう少し深くまで下がっていたら・・・と思わずにはいられません。

もしくは、設計事務所の先生がもう少し砂層200mm程度上の粘土層に捨てコンラインを設定していれば・・・など、ついつい愚痴っぽくなってしまいます。

こういった事は、たしかに現場ではよくある事です。現場の技術力で困難をカバーする!と言いたい所ですが、そう簡単ではありません。

捨てコン打設の前日に大雨予報

とにかく、マスター工程表も、基礎コン打設日は絶対にズラせません。そして、捨てコン打設日に向けて掘削を続けます。

しかし、過去にこれほど雨の多い月があったでしょうか?

ボーリングデータの確認である程度は予測していましたが、雨のせいで職人や僕ら現場監督の集中力も格段に落ちます。なんとか床まで掘りきって、水中ポンプセット用の窯場を掘りますが、作業中も足の裏に土がくっついたりして非常に効率が悪い。

こうなってくると、わずかに晴れた日が勝負です。RC砕石を入れて、場内もある程度整地を完了しました。が、しかし、捨てコン打設前日の夜に、大雨の予報です。

仕方なしに、現場監督の僕だけ打設前の日から現場事務所に宿泊することにしました。


独立基礎の部分に水が満タン!

水の量で自動的に稼働する水中ポンプを現場にセットしましたが、基礎30ヶ所中、水中ポンプをセットしたのは12ヶ所分でした。湧水の量を甘く見ていたのです。

仮設電気の引き込み用量は10kWの容量で十分だったのですが、コンセント差し込み口は6ヶ所で、コードリールも6本までです。2インチの水中ポンプの必要電気は400Wですから、計算上1台のコードリールに3台までしかポンプをセットできません。しかし、大雨などで水中ポンプが全部作動してしまうと、ブレーカーの関係で電源が落ちてしまうのです。

現場事務所でポンプの番をするつもりでしたが、僕も普段の疲れでつい、うとうと・・・(寝)

たぶん、朝方に大量に降ったのでしょう。時計をみたら6時を過ぎているではありませんか!

「ひーーー!」やってしまいました。さっそく、作業着に着替えて場内にいってみると、信じられない光景が僕をまっていたのです。ちょうど下の写真のような状態でしょうか・・・。

独立基礎の部分に満タン水が溜まるとこんな感じになります。

現場がまるで上空から見た水田のようになっているではありませんか!

慌ててポンプを確認すると、やっぱり親ブレーカーが落ちています。ショックで僕自身のブレーカーも落ちそうになります。

「ひーーー!」ともう一発、悲鳴を上げました。もう笑いごとではありません。


7時間かけて、30m2の捨てコン打設

しばらくすると、朝7時前に、コンクリートポンプ屋さんが到着しました。

ポンプ屋さんから「おはようございます~、今日は打設中止ですよね~」と言われましたが、「いやいや 打ちますよ」と僕もなんとか応戦。

「えーーー???」といって現場を眺めるポンプ屋さん、さらに続けて「監督~、水田みたいになってますね~」と大笑い。

しかし、いつものポンプ屋さんだったので、僕の気持ちを察したのでしょうか、早速一緒に水替え作業です。

土工さんもどんどん集まって、何とか基礎30ヶ所のうち、3分の1程度の水を出したところで、水替え作業を続けながら、9時半頃にコンクリート打設を開始しました。

結局、7時間もかかって、30平方メートル程度の捨てコン打設が完了です。

ぜひ試してほしい「水替え対策」

次回の基礎コンは、150立方メートルですが、とてもこんな状況では打設不可能です。

そこで、通常ならば本体の骨組み(鉄骨造なら鉄骨の骨組み)に、仮設足場を設置して、その足場に仮設電気引き込みの親ブレーカーから配線で分岐した小ブレーカー(この中に20アンペアブレーカーが2個入っています)を足場に設置するのですが、今回は基礎の段階で30ヶ所中15ヶ所に単管ポールを立てて、それに小ブレーカーを設置。この段階で小ブレーカーの設置をしたのは今回が初めてです。20Aのブレーカーが2個入っているので、容量的に2台ポンプが設置できますし、基礎のすぐ近くにブレーカーを設置したので、コードリールも必要ありません。

その後、台風の通過です。現場も土砂降りですが、30台のポンプも全て電気が落ちることなく稼働成功。念のために準備した予備のポンプとコードリールもありますが、使う事なく台風は通過しました。

私の経験として大型基礎の場合は、水替えの準備対策がその後の工程の命運を左右します。大雨や台風に見舞われそうな際は、ぜひ一度、この方法を試していただきたいものです。

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1級建築施工管理技士。建築現場の監督として早25年目。プライベートな時間はなく、帰宅は毎日軽く24時を過ぎます。ほぼほぼ現場管理のみを経験してきましたので、20数年間で培った建築施工管理の知識をお役立ていただければ幸いです。

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