夏場の生コン打設「暑中コンクリート」について
温暖化が進んだ昨今、夏場の外気温が体温よりも高くなることも増え、建設現場での作業環境も過酷さを増してきています。そのような夏場の施工では、作業員の熱中症対策や適度な休憩などの計画も重要ですが、生コン打設に関しても様々なことに注意を払い施工計画を立てなければなりません。
一般的に、日平均気温が25℃を超える時期に施工する場合は、暑中コンクリートとして考慮しなければならないとされています。気温が高く日射も厳しい夏場では、必然的にコンクリート温度が上がります。コンクリート温度が高いと、運搬中のスランプ低下、コールドジョイントやひび割れの発生、強度や耐久性の低下といった問題に繋がるのです。そのため、JASS5や標準示方書において、生コン荷下し時点でのコンクリート温度は35℃以下とされています。しかしこれは「原則として」や「標準とする」という書き方がされており、曖昧な表現になっています。
ちなみに、JASS5や標準示方書では「〜ならない」が最も強制力のある表現で、その次が「原則とする」「標準とする」、最後に「〜が望ましい」という順番なのです。このように曖昧な表現に留められていることと、実際の外気温の上昇に伴うコンクリート温度の上昇が、近年全国各地で問題となっています。荷下し時点で35℃を超えたことで生コンが返納されたりするケースも見られます。では果たして本当に35℃を超えると生コンはダメなのでしょうか、逆に生コン屋はどうやって35℃以下を保っているのでしょうか。
「暑中コンクリート」の研究は進んでいる
コンクリート温度問題に関しては様々な地域や団体で研究がされており、特に大阪、奈良、愛知における研究はZENNAMAの生コン技術大会で論文発表がされています。それらの各研究で共通して結論付けていることとして、コンクリート温度が35〜38℃の場合でも35℃以下の場合と性能は変わらない、という結果なのです。
スランプの低下に関しては確かにあることはありますが、通常の運搬時間範囲内であれば大きな問題とはなりません。むしろ打設にかかる時間を短縮できるように発注するスランプをなるべく大きくする(施工性を良くする)などで解決でき、コールドジョイントの発生を防ぐことが可能です。また、強度に関しても38℃までは全くと言っていいほど変化はなく所定の強度が出ることが確認されています。
生コンの温度は36℃までです。38℃容認といいますが現実には36℃の壁があり、なかなかこの温度を超えることはありません。特に生コン工場は単価の都合で水道水は使いません。基本中水や井戸水を使うので夏季の水道水より温度が低いです。なので練りあがる生コンも極端に温度が上がることはありません。摂氏40℃で打設した時も35超え程度で36℃までは達しません。最も打設後の内部温度は65℃から70℃近辺まで上昇しますが、水和熱反応の影響なのでBBや中庸などの水和熱を抑制したセメントを使うことで温度上昇は防げます。