「コマツ vs 日立建機」株価対決の行方は?もし買うならどっち?

「コマツ vs 日立建機」株価対決の行方は?もし買うならどっち?

「コマツ vs 日立建機」株価対決の行方は?もし買うならどっち?

コマツ vs 日立建機、高値をマークする株価対決

日本を代表する建機メーカー、小松製作所(以下、コマツ)と日立建機の株価が高値をマークしています。

両社の株価がここ最近、どのような値動きをしているのか?

なぜ株価が上がっているのか?

さらに建設業界人として、両社の株を購入する時の心得もお伝えします。

株価暴落を受けても強い、コマツと日立建機

はじめにコマツと日立建機の「最近1年の株価の動き」をざっと振り返ってみます。

1年前の2017年3月頃の株価は、両社共に「3000円前後」でした。それが2018年3月上旬には、コマツが3000円代半ば〜後半、日立建機が4000円代前半まで伸びています。

早い話が、どちらも1年で「約1000円前後も株価を上げた」ということです。

しかも、少し前には東京市場を揺るがす大事件もありました。2月上旬にアメリカの株価が大暴落した影響で、東京市場も大幅値下げしたばかり。暴落前の1月の株価はコマツが4000円代前半、日立建機が4500円超でした。そこからすると、かなり値を下げましたが、まだ1株あたり500円〜1000円前後の含み益があります。

それほどまでに、「ここ1年(特に直近の約半年)のコマツと日立建機の株価が好調だった!」ということです。株価の細かい動きは、SBI証券のチャートでご確認ください。

 

コマツの株価 出典:SBI証券チャート

日立建機の株価 出典:SBI証券チャート


超グローバル企業に成長した、コマツと日立建機

しかし、なぜコマツと日立建機の株価は、ここまで好調なのでしょう?

一番の理由は「海外展開の大成功」です。いまやコマツも日立建機も完全なグローバル企業。建設機械の分野では、コマツは不動の世界2位、日立建機は世界3〜4位あたりです。

海外の売上比率で見ていくと、コマツは売上の約9割を建設機械車両が占めていますが、このうち約8割は海外の売上です。日立建機は売上に占める海外の割合が約7割になっています(連結ベース)。

もはやコマツと日立建機にとって日本市場は「営業エリアのごく一部」でしかない、ということです。

世界進出に積極的な日本のグローバル企業といえば ユニクロが有名ですが、ユニクロですら、国内と海外の売上比率は半々。コマツと日立建機はそれをはるかに上回る海外比率の超グローバル企業です。

「海外展開の大成功」と大雑把に言っても、コマツと日立建機では、それぞれ中身が違います。2社のエリア別売上を見ていきましょう。

コマツの海外エリア別売上

タカラトミー〈トミカ56〉コマツ ブルドーザー D 155AX-6

まずはコマツから。2017年4月〜12月までのグループ全体の売上高は1兆8058億円。海外のエリア別売上を見ていくと(前年との比較)、アジア・オセアニア52.6%増、米州(=アメリカ、カナダ、ブラジルなど南北アメリカ大陸)25.2%増、中国に至っては75.8%増の伸び率になっています。2016年の中国の建機市場は落ち込んでいたため、2017年は「反動+本格的な回復」で高い伸び率となりました。

日立建機の海外エリア別売上

〈トミカ71〉日立建機 ホイールローダ ZW220 

日立建機の2017年4月〜12月の売上高は6839億円。前年度と比較して34.9%増になっています。海外のエリア別の売上を見ていくと(前年との比較)、アジア・オセアニア21.5%増、米州98.1%増、中国98.3%増となっています。

コマツのデータと比べると、アジア・オセアニアではコマツが優位、米州では日立建機が圧倒的に伸びており、中国は日立建機がやや優勢となっています。

今後の2社の動向を考えると、売上伸び率の高い得意エリアのシェアを伸ばせるか?、あるいは景気動向や政策がどうなっていくか?、あたりがポイントになるでしょう。

コマツと日立建機の活躍は、日本建設業界の誇り

建設関係者の中には「オレに株なんて関係ねえ」という人もいるかもしれません。「株投資にはそこそこの元手が必要」ということが敷居を高くしているからでしょう。通常の株購入は100株単位の取引。仮に1株4000円の株を購入しようとすると、「4000円×100株」で約40万円が必要になります。

しかし、株には欲しい株数を指定する方法もあります(単元未満株と言われます)。この購入方法なら、今月は2株、来月は1株…と懐具合に合わせてコツコツ買うことができます。

ただし株を買う場合は、値上がり期待ではなく、日本の建機メーカーを応援する気持ちで購入することをオススメします。そうすれば最悪値下がりしても、「日本の建機メーカーが世界で活躍するのに、オレの金が使われてるんだな…」と気持ちを切り替えられます(?)。

株を買うにせよ、買わないにせよ、建設業界に携わる人間として、コマツと日立建機のグローバル展開には注目しましょう。2社の活躍は、日本の建設業界の誇り。この建機の技術力は、日本が先進国になるのに貢献してくれました。そして、これからは世界のインフラ発展のためにも、日本で培われた技術力が生かされていくはずです。

【調査】コマツと日立建機、あなたはどっちが好き?

[interaction id=”5aaf73b25101534853adc903″]

 

※この記事は、小松製作所と日立建機の株購入を推奨するものではありません。
※参考文献:小松製作所公式WEB、日立建機投資2018年3月期 第3四半期決算短信、SBI証券評価レポート、東洋経済四季報

 

この記事のコメントを見る

この記事をSNSでシェア

こちらも合わせてどうぞ!
「コマツ vs キャタピラー」 あなたはどっち派?
24歳女性現場監督の葛藤「現実を隠してでも、女性を採用すべきか?」
BIMを活用したいけれど、どうすればいい? アウトソーシングや人材派遣で解決しよう
中堅の現場監督は、なぜ所長と噛み合わないのか? 立場で変わる「現場の景色」
「スラムダンク」で考える建設現場。もし「桜木花道」が施工管理技士だったら?
けんせつ小町のこだわり「必ず長期休暇をとるし、工具は使わない」
ビジネス・経済系ライター。得意技は、ややこしい話を超カンタンにまとめること。ビジネス書籍の編集ライターを経て、2016年よりフリーランス。金融、不動産、新しい働き方などをテーマに執筆。現在、秋田県湯沢市に在住。
モバイルバージョンを終了