超グローバル企業に成長した、コマツと日立建機
しかし、なぜコマツと日立建機の株価は、ここまで好調なのでしょう?
一番の理由は「海外展開の大成功」です。いまやコマツも日立建機も完全なグローバル企業。建設機械の分野では、コマツは不動の世界2位、日立建機は世界3〜4位あたりです。
海外の売上比率で見ていくと、コマツは売上の約9割を建設機械車両が占めていますが、このうち約8割は海外の売上です。日立建機は売上に占める海外の割合が約7割になっています(連結ベース)。
もはやコマツと日立建機にとって日本市場は「営業エリアのごく一部」でしかない、ということです。
世界進出に積極的な日本のグローバル企業といえば ユニクロが有名ですが、ユニクロですら、国内と海外の売上比率は半々。コマツと日立建機はそれをはるかに上回る海外比率の超グローバル企業です。
「海外展開の大成功」と大雑把に言っても、コマツと日立建機では、それぞれ中身が違います。2社のエリア別売上を見ていきましょう。
コマツの海外エリア別売上

タカラトミー〈トミカ56〉コマツ ブルドーザー D 155AX-6
まずはコマツから。2017年4月〜12月までのグループ全体の売上高は1兆8058億円。海外のエリア別売上を見ていくと(前年との比較)、アジア・オセアニア52.6%増、米州(=アメリカ、カナダ、ブラジルなど南北アメリカ大陸)25.2%増、中国に至っては75.8%増の伸び率になっています。2016年の中国の建機市場は落ち込んでいたため、2017年は「反動+本格的な回復」で高い伸び率となりました。
日立建機の海外エリア別売上

〈トミカ71〉日立建機 ホイールローダ ZW220
日立建機の2017年4月〜12月の売上高は6839億円。前年度と比較して34.9%増になっています。海外のエリア別の売上を見ていくと(前年との比較)、アジア・オセアニア21.5%増、米州98.1%増、中国98.3%増となっています。
コマツのデータと比べると、アジア・オセアニアではコマツが優位、米州では日立建機が圧倒的に伸びており、中国は日立建機がやや優勢となっています。
今後の2社の動向を考えると、売上伸び率の高い得意エリアのシェアを伸ばせるか?、あるいは景気動向や政策がどうなっていくか?、あたりがポイントになるでしょう。
コマツと日立建機の活躍は、日本建設業界の誇り
建設関係者の中には「オレに株なんて関係ねえ」という人もいるかもしれません。「株投資にはそこそこの元手が必要」ということが敷居を高くしているからでしょう。通常の株購入は100株単位の取引。仮に1株4000円の株を購入しようとすると、「4000円×100株」で約40万円が必要になります。
しかし、株には欲しい株数を指定する方法もあります(単元未満株と言われます)。この購入方法なら、今月は2株、来月は1株…と懐具合に合わせてコツコツ買うことができます。
ただし株を買う場合は、値上がり期待ではなく、日本の建機メーカーを応援する気持ちで購入することをオススメします。そうすれば最悪値下がりしても、「日本の建機メーカーが世界で活躍するのに、オレの金が使われてるんだな…」と気持ちを切り替えられます(?)。
株を買うにせよ、買わないにせよ、建設業界に携わる人間として、コマツと日立建機のグローバル展開には注目しましょう。2社の活躍は、日本の建設業界の誇り。この建機の技術力は、日本が先進国になるのに貢献してくれました。そして、これからは世界のインフラ発展のためにも、日本で培われた技術力が生かされていくはずです。
【調査】コマツと日立建機、あなたはどっちが好き?
[interaction id=”5aaf73b25101534853adc903″]
※この記事は、小松製作所と日立建機の株購入を推奨するものではありません。
※参考文献:小松製作所公式WEB、日立建機投資2018年3月期 第3四半期決算短信、SBI証券評価レポート、東洋経済四季報