無能な施工管理者と設計者は「尊敬できる職人」を早く見つけろ!

無能な施工管理者と設計者は「尊敬できる職人」を早く見つけろ!

施工管理者や設計者は、職人との付き合いを大切にしろ!

施工管理者や設計者というやつは「理屈」を知ってるが「現実」を知らないことが多い。

一方、実際の施工に携わっている職人たちは、どんな教科書にも載っていないノウハウを熟知している。

つまり、われわれ施工管理者や設計者が成長するためには、職人たちの手ほどきを受ける必要があり、「現場での職人との出会い」を大切にしなければならない、ということである。

「尊敬できる職人」は一現場に一人いる

しかし、施工管理者や設計者として成長するには、無闇矢鱈にそこらへんの職人と付き合えばいいというものでもない。

現場に行けば、優秀な職人優秀な人はごまんといるが、大切なのは、技術だけでなく、人間的にも尊敬できる職人に出会うことである。

私の経験上、一現場に一人は心の底から尊敬できる職人がいるはずだ。そうした職人の話は、仕事抜きでも貴重な話、面白い話が多く、数十年経っても人生にとってプラスに作用してくる。

だから、気に入った職人がいたら、若いときは恥ずかしがらずに何でも聞いて吸収するべきである。


職人たちの前で私を怒鳴る大工

私が現場で出会った職人で、一番印象深かったのは、Iさんという大工職人だった。

私は大工職人Iさんから、大勢の職人たちの目の前で、これでもかというほど怒鳴られた。

「いい加減な図面描いてるんじゃねえぞ!」

「お前の書く一本一本の線を、オレたちがどれほど考えて、墨打って、木を切っているのか分かってんのか!」

「偉そうな理屈でオレたちを説得しようなんて100年早いぞ!分かってんのか!」

私が24~25歳ぐらいで、設計業務に専念していた時だ。

しかし不思議なことに、どんなに怒鳴られても、私は一度も大工職人Iさんと会うのがイヤだとは思わなかった。嫌いになるどころか、怒られるのが楽しみですらあった。

Iさんの言葉はどれもごもっともな内容で、私自身も納得することばっかりだったからだ。あれだけ真剣に怒ってくれる人は、ありがたいと思っていた。人柄も尊敬できた。

いい加減な図面描くんじゃねえぞ!

そして私は、何とかIさんに褒めてもらいたくて、毎日夜中まで図面を描いた。「文句を言われない図面を描いてやる!こん畜生!」と思いながら。

しかし、大工職人のIさんは、最後まで私を褒めてくれなかった。

「今日でお別れだな!その調子で頑張れや!じゃな」と握手して別れた。

ギュッと握られた手の感触と、「いい加減な図面描くんじゃねえぞ!」という教訓は、何十年経った今でも、昨日のように思い出す。

大工職人Iさんとは一度しか一緒に仕事をしていないが、私を確実に成長させてくれた恩人である。

恩人と思える職人に出会うことこそ、施工管理者や設計者として成長するための一番大きな武器となるだろう。

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自分の気づきで動ける土木技術者こそ100点満点。中村建設(奈良県)の「変わりシロ」とは?
工学部建築学科卒業後、A建築設計事務所に入所。その後、自ら設計事務所を立ち上げるが、設計だけでは良い建築は出来ないと判断し、施工会社に入社。それ以後、現場中心の仕事している。 設計事務所時代から海外案件が多く、現在も海外の案件に関わる事が多い。地球の上を這いずり回っているという感アリ。設計と施工に関わる年数が半々。 海外の建築現場の実態を中心に経験談を共有します。
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