「鉄骨柱を建て起こせない!」外国製の“吊りピース”を改善した珍プレー

「鉄骨柱を建て起こせない!」チェーンエコライザーが使えないバイオ発電所の建築現場

バイオ発電所の「鉄骨柱の建て起こし」で問題発生

大型建築プロジェクトの鉄骨製作は近年、中国や韓国などの海外業者に依存するケースが増えている。

下の写真は、現在建設中の某バイオ発電所の、2節目鉄骨柱の頭部である。

バイオ発電所の鉄骨柱頭部。建て起こし用のプレートはガセットプレートより中にあり、吊り穴の数が1つ。

柱自体の重量は15t強。

船で運搬し、陸揚げ後、現場に搬入された。

搬入時からガゼットジョイントプレートがセットされており、柱の建て起こし用のプレートがウエブ部分に取り付けてある。

しかし、この状態のまま建て起こすと、いくつもの問題が発生することが判明した。


チェーンエコライザーが使えない

まず、このプレートは立っている状態をイメージして設計されているのが問題である。

設計時点では、単に柱重量に耐えられるプレートであれば良いと設計されたのだろう。

しかし、本工事では、現場で建て起こし作業を行うため、製品にダメージを与える懸念があり、建て起こし手順に問題が発生した。

具体的には、吊りピースプレートの穴が1つしかないため、チェーンエコライザー(20t用)が使えないのがネックとなった。

20t用チェーンエコライザー/ホームメイキング

また、この既存の吊りピースプレートを使って建て起こすと、柱の重量でセットプレートが変形する懸念もあった。

プレートを自作する発想

そこで私が提案したアイディアは、自らプレート(厚さ25mm)を製作し、既存の建て起こし用のプレートと差し替えることだった。

自作した建て起こし用のプレート

改善前と改善後

これによって、柱の建て起こしの際、ガゼットジョイントにチェーンエコライザーおよびコラムロックが干渉することがなくなり、プレートが変形する心配も解消された。

ときには臨機応変に現場で必要な道具を、自作してしまうことも必要である。

後輩たちの参考になれば幸いである。

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大手ゼネコンの鳶仕事に38年間従事し、大規模工事の職長会会長を数多く経験。清水建設社長表彰 ・建設大臣顕彰受賞。現役の職人でありながら、職長会向けセミナーの開催、現場改善・技術発明などのアドバイスを精力的に行っている。若手に仕事の面白さを伝えることが生きがい。
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