3分でわかる「H型PCパイル(H-PV工法)」の施工方法

誰でも3分でわかる「H型PCパイル(H-PV工法)」の施工方法

「H型PCパイル(H-PV工法)」とは

先日、ある現場の杭工事で「H型PCパイル(H-PV工法)」を使用しました。

H型PCパイルとは、プレストレス構造のプレキャスト杭状地盤補強材。このH型PCパイルで施工する工法名を「 H-PV工法」と言います。

H-PV工法は、オーガーを用いて、設計時に計画された深度まで地盤を掘削した後、掘削孔中に杭を建て込みます。そして、高周波振動と圧入力を併用して所定深度まで貫入させ、基礎下部に配置する工法です。

杭工事の概要は、下記のとおりでした。

  • 杭種別 H型PCパイル(200×200)
  • 杭打設工法 H-PV工法
  • 杭長さ・本数(外周 L=4.0m 58本
  • 杭長さ・本数(内部) L=5.0m 85本

この現場での工事を例に、H-PV工法の施工手順をお伝えします。

H型PCパイル(H-PV工法)の施工手順

まず杭の材料を搬入します。

PCパイル打設 杭の材料搬入

會澤高圧コンクリート鵡川工場の製品

コンクリート面に記載されている「ムカワ」という文字は、北海道の鵡川(ししゃもの産地で有名)にある工場(會澤高圧コンクリート株式会社 鵡川工場)の製品であることをあらわしています。

そして、施工手順は、次の通りです。

1.杭芯セット

杭芯をセットします。

2.掘削

機械を設置し、オーガーで孔削します。

3.杭の建込み

孔削した箇所に、杭を建て込みます。

4.振動圧入

杭を圧入します。

5.施工完了

以上で、施工完了です。


「H型PCパイル(H-PV工法)」の特長

「H型PCパイル(H-PV工法)」は、とても簡易的な材料・工法で、的確な構造計算をもとに、材料を選択・施工する事が大切です。

H型PCパイルの特長は、次の通りです。

  1. 強度が大きい
  2. 土質を選ばない
  3. 施工が早い
  4. 低振動・低騒音施工、粉塵の心配もない
  5. 信頼性が高い

以下、それぞれの特長について説明します。

「H型PCパイル(H-PV工法)」は強度が大きい

PC杭(プレテンション方式のプレストレストコンクリート杭)であるため、曲げに強く、プレストレストにより取り扱い時におけるクラックの心配がありません。

コンクリートの圧縮強度が高く、錆に強く、耐衝撃性にも優れています。

H型の断面(200×200)で、φ250mm円筒杭に比べると周面長が長く、周面摩擦を大きく採用できるため、大きな支持力で建物を支える事ができます。

■周長比較

H型:200×4+200×2=1200mm
円筒型:250×3.14=785mm

「H型PCパイル(H-PV工法)」は土質を選ばない

プレキャスト製品のため、土質を選びません。

腐植土や酸性の強い地盤でも、固化不良などの心配は無用です。

また土壌・水質の汚染や改良材の飛散によるトラブルがありません。

「H型PCパイル(H-PV工法)」は施工が早い

柱状改良工法に比べると、工期を約半分に短縮できます。

また、養生期間が必要なく、施工後、強度確認なども必要ないため、すぐに次の工程へ移ることができます。

「H型PCパイル(H-PV工法)」は低振動・低騒音施工、粉塵の心配もない

H型PCパイルは、専用杭打機での油圧圧入により、低振動・低騒音で施工されます。

杭打機も小型なため、狭い敷地での施工も可能です。

また、セメント系固化材を使用する柱状改良工法のように、粉塵が舞う心配もありません。

「H型PCパイル(H-PV工法)」は信頼性が高い

H型PCパイルは、徹底した品質管理の下で生産されます。

また現場でセメント系固化材を使用しないため、六価クロムによる土壌汚染や地下水汚染の心配もありません。

※この記事は『けんけんちくちく建築情報』の記事を再編集したものです。

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北海道旭川市の⼟建屋。38年間、現場一筋の1級建築⼠です。その間、会社を変わること3回。単身赴任が長く、地⽅の現場も多かったので、休みの日は朝から料理に没頭しています。仕事は「あかるくたのしく」がモットー。2006年からブログを作っています。
「けんけんちくちく」建築情報 ⇒ http://architectural-site.jp/
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