建設業界のICT施工、i-Constructionの波
最近の建設業界は、国がICT施工とかi-Constructionを推し進めていることもあって、投資を考えている建設会社のほとんどがICT関連の導入を検討している。
中にはICT専門の部署を設置して、若手従業員にいろいろな研修に行かせる会社もあるほどだ。
時代の流れに乗れる会社は、ICTに投資して今後、収益性がよくなることは間違いないと断言できるし、投資をしない企業よりも人手不足を抑えられるのは確かだろう。
建機メーカーの「ICT建機」商戦
そんなICTの中でも、とりわけ動くお金が大きいのが建機である。
大手建機メーカーはここぞとばかりに、足並みをそろえてICT建機を売り込んでいる。だが、建機メーカーも建機に関しては理解していても、ICTをあまりよく理解していないのが実情だ。
ましてや、建機を売り込む先も土建屋の親父である。PCすらまともに使えないので、お母ちゃんか、事務員にやらせているくらいなのに、ICT建機と言われたところでピンとこないだろう。
建設メディアも大人の事情などであまり触れたがらないようだが、ICT施工を導入したくてもよく分からないというのが建設業界の大方の実態である。
ICT施工とは?
ICTとはInformation and Communication Technologyのことで、日本語にすると情報通信技術だ。建設業界でいうICTは、情報化施工のことを指す。
分かりやすく言うと、現場の情報が今まで測量データや設計データなど、バラバラになっていたのを同じ規格でまとめて、現場施工に利用していこうということ。それによって、現場施工が計画だけでなく、完成後も役所がメンテナンスをしやすくなる。
例えば、舗装に関して言うと、現状では役所の完成検査は設計との整合性を10m~25m置き毎に測量で確認している。そうすると、完成検査後に何か問題が起きた時、チェックしたところ以外で問題が起きると、何が原因なのか特定することはほぼ不可能だ。
だが、ICT施工にすると、全ての施工面の転圧や現場の状況がデータとして色付けされて残る。データを見ると何度転圧をかけたかどうかが色で分かるため、後日問題が起きても転圧不足が原因だということがすぐに分かる。役所としても管理がしやすいメリットがある。
ICT建機、3DMC(マシンコントロール)と3DMG(マシンガイダンス)
ICT建機は、3DMC(マシンコントロール)と、3DMG(マシンガイダンス)の2つに大別できる。2Dもあるが、今回は触れないでおく。
3DMC(マシンコントロール)と3DMG(マシンガイダンス)は、自動車でいうところの自動運転(マシンコントロール)と、カーナビゲーション(マシンガイダンス)に近い感覚だ。
3DMC(マシンコントロール)、3DMG(マシンガイダンス)どちらに関しても、その現場においてどのような施工をするか設計図面データを入れる。3Dは、バケットの刃先の位置をGPSによって読み取っているため、どこの現場に行っても、設計図面データさえコントロールボックスに入れてしまえば、施工することが可能だ。
3DMC(マシンコントロール)
3DMC(マシンコントロール)は、その名の通りコントロールをしてくれる。乗ってるだけで全てをコントロールしてくれるわけではなく、操作をしつつ設計の数値でバケットの位置が自動的に止まって、設計よりも深く掘ろうとしても掘れないようになっている。
イメージでいうと、操作レバーにボタンがついており、施工面に近づくと、バケットの傾きや位置を設計図面に合わせてくれて、アシストしてくれるイメージだ。
3DMC(マシンコントロール)のメリット
- 操作技術が低いオペレーターであっても設計通りの施工が可能。
- 丁張がなくても施工が出来る。
3DMC(マシンコントロール)のデメリット
- オペレーターの腕がICT建機に頼りきりになると明らかに落ちてしまう。
- 導入費用が高額。
3DMG(マシンガイダンス)
3DMG(マシンガイダンス)は、自動車でいうカーナビゲーションだ。
操作をするのは自分自身。だが、設計の位置にバケットがいくと、ここが設計図面の位置ですよと教えてくれる。
3DMG(マシンガイダンス)のメリット
- オペレーターの腕が落ちない。
- 丁張もMCと同じく不要。
- 3DMCに比べて安く抑えられる。
3DMG(マシンガイダンス)のデメリット
- 操作するのは人間であるため、オペレーターにより施工仕上がりの差が出る。
3DMCと3DMGを導入するタイミング
いずれにせよ、ICT建機は各社が良い製品を出していると断言できる。
しかし今後、国が税額控除や助成金などの制度を充実させていくことも予想されるので、様子見をしてから購入するのもありだ。
ICT建機への投資はお金が掛かるが、会社の将来への投資として大きなリターンを期待できるだろう。
大規模な造成や地盤改良をやるような大手ならいいんじゃないでしょうか。非常に有効な技術ではあるとおもいますが、街中では土中に支障物(不明管)等があったりと3DMCでは不可能ですし、そもそも設計自体がだめ過ぎて、設計をそのまま入れるなんて怖くてできないですね。それにデータ化したところで発注者は安パイのために「今まで通り紙媒体の資料もつけてくれ」って言うにきまってますよ。