スターツのBIM活用
「建物はすべてデータになる。」「建物のデータは無限の資源になる。」——そう宣言するスターツコーポレーション株式会社とスターツCAM株式会社は、BIM(Building Information Modeling)の活用によって「建物の情報コンビナート」を作ることを目指している。
2017年2月から「BIM-FM PLATFORM」を構築してきた。
「BIM-FM PLATFORM」とは、下図のように、BIMデータを駆使して、建物の事業計画や投資判断、設計、さらに施工計画、現場管理、維持管理までを一気にマネジメントできるサービスだ。
BIM-FM PLATFORM/スターツ
BIMデータの活用プラットフォーム
具体的には、下記のような技術を開発してきた。
■事業計画・投資判断
- AI建築事業計画サービス(7日以上必要だった建築事業計画を約15分で作成できる)
■企画設計・シミュレーション・詳細設計
- 建築見積の自動化(1週間必要だった積算作業を、約3時間に短縮できる)
- ハイクオリティVR (バーチャルリアリティ)
■施工計画
- 鉄筋BIMモデル
- 4D施工計画(時間軸を含む)
AI建築事業計画/スターツ
鉄筋BIMモデル/スターツ
ハイクオリティVR/スターツ
上述のように、BIMデータを活用した「BIM-FM PLATFORM」の技術開発を加速させているスターツグループだが、2018年9月になってまた新たな動きが2つ出てきた。
「BIMによる建築確認申請」と「BIMと連動する積算ツールの開発」だ。
BIMによる建築確認申請
BIMによる建築確認申請
スターツCAM、日本ERI、福井コンピュータアーキテクトの3社は、BIM建築設計システム「GLOOBE」のユーザー会の活動の一環でGLOOBEのBIMデータを使って、建築確認申請を実施した。
そして、1号建築物(特殊建築物・共同住宅)での建築確認済証を取得。
BIM建築確認申請のメリットは、確認審査作業の効率化、見える化、設計BIMデータの活用による2重作業の防止がある。
BIMと連動する積算ツール「INTEGRAL-BIM」
BIMデータから自動で建築積算できる積算ツール「INTEGRAL-BIM」
「INTEGRAL-BIM」は、BIMデータから自動で建築積算できる積算ツール。躯体、鉄筋、設備等の積算ツールとデータ連動し、建築物全体の自動積算を実現する。
「INTEGRAL-BIM」を利用すれば、建材の数量拾い作業を削減でき、見積書作成までを自動化できる。
そして、20人工必要だった積算作業が0.5人工に短縮できるという。
【動画】スターツグループ「BIM-FM PLATFORM」
スターツグループは現在、「BIM-FM PLATFORM」構築の一環として、サプライヤーとe-commerceで連動させ、BIMデータで受発注するというトライアルも進行中だ。
それが現実味を帯びてくれば、設計、見積、受発注が同時に進行する世界になる。
今後もBIMを活用した新技術の開発に期待しよう!