交通誘導員に現場作業をやらせていいのか?積算基準は妥当か?

工事現場に不可欠な交通誘導員

土木や建築の工事現場で、黄色いベストを着ている交通誘導員。彼らは安全に工事を進める上で、工事現場に必要不可欠な存在です。

しかし、交通誘導員は人から感謝されることは多くありません。それどころか、現場監督や一般車両から罵声を浴びせられることも多々あります。

「立っているだけでお金が貰える仕事」と思われているかもしれない交通誘導員ですが、その裏には多くの苦労があります。

そして、われわれ現場の人間も、彼らを不当に扱っている点を反省しなければなりません。

交通誘導員の工事現場での扱いは雑

私が請け負う法面工事の現場では、主にダンプの運搬に際して、見通しの悪い位置に交通誘導員を配置しています。

交通誘導員の業務は、一般車両の通行の妨げにならないようにダンプを誘導し、快適に走行してもらうことです。

ただ、大変申し訳ないことですが、工事が進んでいくと、彼らに交通誘導以外の業務をお願いすることもあります。

例えば、小雨の中で現場作業を行う際、ダンプのタイヤに泥が付着していると道路を汚してしまいます。そうならないように、交通誘導員にホースを持ってもらい、積み込みが終わるたびにタイヤを水洗いしてもらいます。

他の現場監督とこういった話をすると「そんなこと当たり前だ」という言葉が返ってきます。残念ですが、多くの工事現場で交通誘導員への対応は「雑」の一言です。

現場の清掃作業などは現場監督や施工班が行うのが基本です。「自分たちが使用する借地や土地」を交通誘導員が清掃するのは、本来おかしな話です。

しかし、工事現場では、交通誘導員たちに本来求められている業務以上のことを行わせる風潮が確かにあります。


現場作業を手伝う交通誘導員

私が以前、道路のアスファルト舗装の現場に応援に行ったときの話です。

合材(アスファルト舗装に使用する、表面が黒色の材料)を取りにダンプトラックが3台出ていて、現場で作業を行う施工員が足りていない時がありました。

その時、交通誘導員たちは、道具を運搬するなどの雑用業務を行っていました。

アスファルト舗装の際には、一人の交通誘導員に誘導を任せて、他の交通誘導員たちはトンボを使ってアスファルトを敷きならす作業も行っていました。

現場作業を行っても、その分の作業賃金が発生するわけではありません。あくまで彼らは、交通誘導員として働いているので、現場作業を手伝ったところで日当は全く変わりません。

これって当たり前のことなんでしょうか?

交通誘導員の積算と人件費

交通誘導員の給料は基本的に日当制です。その中でも、時間で細かく仕切られています。例えば、午前中だけで伝票を切られて、午後から現場がなければ、彼らの給料は半日扱いになってしまいます。

私たち現場監督は、一生懸命頑張ってくれる交通誘導員には、半日の業務でも定時の時間で伝票を切って「お疲れさま」と声を掛けることもあります。彼らも大変喜んでくれます。

しかし、最近ではそういった「サービス」をしてあげることも厳しくなってきています。

なぜなら、公共工事における交通誘導員に対する役所の積算が、私たちが支払う彼らの日当に対して安いことが当たり前になっているからです。

つまり、公共工事の経費削減のため、役所が交通誘導員の給料を削っているということです。私たちは役所から交通誘導員の適正な人件費を支払ってもらえないので、彼らに日当を払うと、それ単体で見ると赤字ということになります。

そんな彼らの人件費を削減することが、私は疑問で仕方ありません。

「立っているだけ」だと人は言うかもしれません。しかし、彼らは決して楽をしてお金をもらっているわけではありません。安全に工事を進めるために不可欠です。交通誘導以外の業務を行うこともあります。

時には現場監督、時には一般車両からも罵声を浴びせられることもあります。

この記事を読んで、少しでも交通誘導員の方々に対する見方が変われば嬉しく思います。

ピックアップコメント

2の方は正しいとおもいますが、ガードマン会社を運営する費用ではなく、当該工事現場に派遣するために必要な経費であり会社自体の運営費ではないです。揚げ足取るつもりはないですが知らん人が勘違いする可能性があるので。そして当然ですが他にもあり、確か17項目くらいだったかな?の中のひとつであり現場管理費が異様に高いわけではありません。そこには元請の安全管理費やらなんやらもはいっています。2の方の言う通り100%で落札できれば市場価格なので、みんな問題ないでしょう。しかしながら公共工事とはそこから競争を行います。競争しますが直接工事費は中々下がりませんので経費で競争するのがベターです。故に「それだけの費用をゼネコンさんはもらってるんです。そのもらった費用を下請に流さない、ってのはゼネコンの怠慢です。」というのやや勘違いです。もらっていないのです。まあだからと言って支払わないのはよくないですが、じゃ受注するなよ理論は何の生産性もないのでやめましょう。実際問題下げなければ落札出来ないので。だからわたしはむしろ管理費が安すぎると思いますね。若しくは最低制限価格が低すぎますね。市場単価より安いにも関わらず95%以上の高落札率は悪だ、とか、公共工事は税金の無駄使いなどとわけのわからんこと広めたマスゴミがいけないですね。

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某ゼネコンで土木施工管理技士として奮闘中。前時代的な建設業界の風潮に辟易し、自分のキャリアプランを見直したい今日この頃。
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