大手ゼネコンでもどんぶり勘定の現場は多い
今勤務している現場は、大きなゼネコンの現場である。業界では名前が知られている会社であり、規模の大きな現場もいくつか抱えている。
赴任する前は「さぞかし技術力が高い」とか、「現場運営のノウハウやスキルを学べそう」と思っていたが、その思いはことごとく裏切られた。
特に目についたのが、”どんぶり勘定”運営の現場であるということ。なにせ、メインディッシュの工事の単価が決まっていないのに、工事を進めているのだ。
いまだ単価が決まっていないが、進捗率は約50%。黒字なのか赤字なのか、全然わからない。そんな状況で予算管理できるのか?と思わざるを得ない(お読みの方もそう思うのではないか)。
ところが、それが普通にまかり通っている。どんぶり勘定しているのではないか? と思ってしまう。
どんぶり勘定ぶりは、資材の購買にも表れている。価格の比較をすることなく、適当にメーカーを選んで購入しているのだ。
ある日、現場代理人が若手技術者に「それ、ほんとにその価格なのか? もう少し安いところはなかったの?」と聞くと、その若手技術者は「特に調べていないので、わかりません」と平然と答えていた。
現場代理人は叱り飛ばしていたが、彼のみならず他の技術者(若手・ベテラン関係なく)も、そんなことを繰り返していたのである。
消費増税が近づくにつれ、空気が変化してきた
ところが、消費税率が10%となる10月1日が近づくにつれ、現場の空気が少し変化してきた。価格の比較を行ったり、相見積もりを取る人が一人、二人と出てきたのだ(もっとも、それが普通なのだが)。
工事現場で資材を購入する際には、まとまった量を注文することがよくある。すると、単価は高くなくとも合計金額はそれなりのものとなる。
単価が10円安くなるだけで、合計金額がウン十万とかウン百万安くなることも少なくない。たかが10円、されど10円である。
消費税率が上がるということは、資材購入費やリース費の上昇を意味する。ということは、現場の経費が大きくなり、利益はもちろん低くなっていく。消費増税をきっかけに、そのことを意識する人がほんの少しだが増えてきたのだ。
単価協議が加速しそうな空気に・・・
また、消費税率アップがきっかけとなり、単価協議が進みそうな空気となってきた。会社を巻き込み、積算を依頼していた。
同時に、いつ・どのタイミングで協議の場を設けるか、を会社と話し合っている(今でしょ!と突っ込みたくなるのは私だけだろうか・・・)。
ようやく重い腰を上げたか、と思わず考えてしまうところだが、大きな一歩でもある。単価が決まれば工事費も見える化することができる。ということは、「出来高もいくらまで上がったか」がわかるようになる。出来高検査にも上げることができる。ようやく、会社にお金が入ってくるようになるのだ。
「もっと早くやってくれよ」という声が聞こえてきそうだが、今やらずしてはいつまでもやらない。今が一番早いタイミングである。
施工管理技術者は、予算管理も仕事の一つ
もちろんだが、人はそう簡単に変わらない。それまでの習慣を変えるのは容易ではない。
しかし、時間をかければ人は変わっていく。というよりも時間がかかってもいいから、当たりまえの現場運営に
変わることが大事であり、そうしていきたい。
技術者とはいえ、現場が捻出する利益はきちんと考えるべきである。
施工管理技術者にとっても、現場の進捗管理や安全管理、品質管理だけではなく予算管理も重要な仕事の一つである。
つまり、儲けることを考えることが大事であり、儲けられる技術者がゼネコンや建設コンサルタントなどから重宝される。べつに建設業界だけではなく、ほかの業界も当然のことであり、稼げる人・儲けられる人が望まれる。
これまで私がいる現場はそんなことを考える人は現場代理人や監理技術者くらいであったが、それを少しでも変えていきたい。