多くの失敗から学んだ過積載管理
施工管理を行う上で、過積載の管理項目は、特に検査官が気にする項目の一つではないだろうか。私は、この過積載管理で今まで数多くの失敗をしてきた。
まず、管理の基本として運搬車両の自動車車検証を確認し、搬入搬出の際に最大積載量を超えないことを、根拠づけて証明するのがこの過積載の管理である。
ベテランの管理技術者には言うまでもないことだろうが、新人の技術者には非常にありがたい情報だと思う。私もそうだったからだ。書類ごとの細かい深堀した内容の解説は、なかなかインターネットでも見つからない。
減点をされたことも加点をされたこともあるので、どうやったら検査官の満足いく評価を得ることができるのか、少しは理解できてきた。今回は、私の過積載管理についてお話しようと思う。
評価を得るためのポイント
私が思う、評価を得るための3つの重要なポイントを説明する。
ダンプ検測
基本的に、ダンプトラックでは荷台の高さが過積載の積載重量となる。そこでダンプトラックの荷台の高さを検測して、具体的な積載量を数字で提示できるようにしなければならない。
ダンプの検測では、私はまず荷台の高さ(H)、幅(W)、延長(L)でそのダンプに積載できる立積を出すようにしている。運搬する材料の重量や比重計算をおこない、重量を算出して、過積載をしていないということを数字で実証できるようにするためのものだと覚えておいてほしい。
もっと単純に考えれば、ダンプに記載されている最大積載量の表示が正しいかを立証する作業にもなる。ダンプの検測が終われば、次にナンバープレートの写真を撮っておく。ダンプの車検証と照合したときに、あとから確認できるようにするためだ。これにより、ダンプが複数台入る現場でも、過積載管理を車両ごとに確実に把握することができる。
私は、このダンプ検測をせずに失敗した経験がある。二次製品などの搬入時には伝票で重さを確認でき、運搬車両のナンバープレートが記載している場合が多いので、写真と車検証さえあれば荷台の検測をしなくても証明できるので良いのだが、問題は産業廃棄物の処理時である。
検査官に見せるという意識が大切
当たり前のことだが、検査官は工事後に写真や書類でしか工事状況を確認できない。つまり、過積載をしていないかどうかは、その写真や書類の出来によって左右されるということだ。
特に過積載に関しては、よくあるのが写真の見た目上、荷台よりも積んでいるように見えたりすることである。新人の頃によくやりがちな、早く写真を撮らなきゃいけないと焦って上や下からのアングルで撮影してしまい、荷台の情報が曖昧になってしまったという経験をしたことがある人も多いのではないだろうか。
過積載防止のために、荷台に過積載防止ラインを表示したマグネットを貼って写真を撮ることがほとんどだとは思うが、私はマグネットに加え、丁張板を荷台に設置し、水平に写真撮影を行うようにしている。荷台の高さを超えていないことを、しっかりと「アピール」するためだ。
過積載のチェックリスト
現場でおこなった過積載防止措置をもとに、安全書類を作成していく。ここで主になってくるのが、チェックリストの作成である。
ダンプの空荷状態と積載後の重さを比べてチェックを行う場合と、車検証と伝票を根拠に車両No、日付、搬入数量、最大積載量をそれぞれチェックする形などがあるが、材料や搬出したものに関しては、しっかりと材料ごとにまとめて明記することが重要となる。
過積載しない、させない
大まかな流れで言えば、これが過積載の管理である。材料の搬入時などは、業者があまりにもずさんな場合を除いては、過積載の心配はさほどないだろう。
一番過積載が起こるのは、やはり産業廃棄物の処分時である。協力会社が運搬の手間を省くため、写真撮影後に荷を積みなおして過積載で走っているというのは、現場にいれば一度は目にしたことがあるのではないだろうか。
処分の際の時間を短縮したい気持ちも分かるが、そこはやはり法律なので、しっかりと順守させる必要がある。こういった、過積載が発生しやすい状況を把握しておくことで、新人であっても過積載防止に努めることができるだろう。