屋根防水工事で建屋全焼!? 職人の予想外すぎる行動で大惨事

屋根防水工事で建屋全焼!? 職人の予想外すぎる行動で大惨事

屋根防水工事で建屋全焼!? 職人の予想外すぎる行動で大惨事

あってはならない工事中の火災

私が海上自衛隊に勤務していた中で、某南の島の部隊で体験したことです。南の島の部隊に着任して初めて当直についた時のお話です。思い返すと、一歩間違っていたら建屋全焼になっていたかもしれなかったことがありました。

施工管理上、火災はあってはならないことですし、今回紹介するような事例は通常の職人であればやらないことだと思いますが、参考までにお読みいただければ幸いです。

本部庁舎の屋根防水工事で…「火災~!!」

私が当直に立つ日の前日に部下から「明日、本部庁舎(指揮官が勤務する建屋です。非常時には指揮所にもなります)の屋根のアスファルト防水工事で業者が屋上に入ります」と報告を受けていました。当直交代の申し継ぎでも前直者から同様の引継ぎを受けていましたので特に気にしていませんでした。

工事の立ち合いは部下が行うこととなっていましたので特に気にすることなく、当直勤務を行っていました。何事もなく午前中が過ぎ、部下が当直室にやってきました。

「業者も昼休憩に入ります。工事再開は13時からです」との報告を受け、「了解」と返しました。

12時50分過ぎだったと記憶しています。当直室の外窓から煙が見えたのです。その直後、外から「火災~!!」と大声がするのが聞こえました。


外階段で何かが燃えている・・・

大声とともに私は廊下に出ると、なぜか廊下も煙だらけ・・・。ヤバい・・・火災だと思い、当直員に火災の放送を流すように指示し、外にでました。

すると、庁舎の外階段付近で何かが燃えており、隊員2名が消火器で消火活動をしています。明らかに建屋が燃えているわけではないみたいです。現場に近づくと工事業者の若い職人一人が呆然と立っており、消火活動の隊員2名と消火器と消火栓を準備している隊員たちが集まっていました。

燃えていたのはアスファルト溶融窯でした。結局、消火器3本でアスファルト溶融窯の沈下は治まり、大きな建物や人には大きな被害はありませんでした。

そもそもなぜアスファルト溶融窯が燃えたのかがわかりませんでした。私は当直でもありましたが、工事に関する総括的立場であったため、職人と施工管理を呼んで話を聞くこととしました。

アスファルトコンパウンドの温度が上がらなかったから・・・

若い職人曰く、「13時からの作業の準備でアスファルトコンパウンド準備しとけって先輩からいわれて作業していました。溶融窯の調子が悪かったのかアスファルトコンパウンドの温度が上がらなかったので直接バーナーで焙ったら、上がるかなって思ったら窯ごと燃えちゃって・・・毛布を掛けて消そうと思ったんだけど毛布まで燃えてしまいました」とのこと。施工管理はひたすら平謝りで「現場にいなくてすいませんでした」を繰り返すのみ・・・。

結局、手順にないことを独断でやったために災害寸前までいった、というお粗末な話でした。この日の作業は中止とし、再度職人の教育の時間にあてるよう施工管理に指示を出し、私は本部庁舎のボスに当直として報告に行きました。


経験の浅い職人は何をするかわからない

ボスは根っからの船乗りで、工事のことなどほとんどわかりません。温厚な性格で怒ることもないため、部下からは慕われていました。

そのボスに火災発生の経緯と今後の処置について報告すると、

「このことは他山の石としなさい。人間は火を見ると気づいていなくても恐怖心が出てくる。当事者が若い職人ならなおさら経験がないからパニックだろう。護衛艦でも火災が起きれば若い隊員は同じような状況になる。精神的なフォローは私たちの仕事ではないが、私は気にしていないが若い職人を精神的に追い込まないようにと工事の責任者に伝えておいてくれ。まあ、庁舎の屋上で窯が燃えなくてよかったね」

私はボスの言葉を受けて反省しました。確かに溶融窯を扱う場所を、私も部下も前もって確認していなかったからです。溶融窯を扱うには事前の確認をする必要がありました。

皆さんはこのような事例にあうことはほとんどないと思います。しかし、経験が浅い職人は何をするかわかりません。事前に作業の手順や不具合発生時の報告体制等、風通しの良い環境を作っていくことが大切だと考えます。

余談ながら、数日は庁舎からアスファルト臭が消えず、臭いが消えるまで毎日ボスから小言を言われてしまいました・・・残念。

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元海上自衛官。約15年間勤務ののち、建設業界に転職。 なんとか苦労して取得した一級建築士免許で細々仕事しております。
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