国道57号北側復旧ルートが10月3日開通
9月11日、国交省が「国道57号北側復旧ルート・国道57号現道部が10月3日に開通」と発表した。この日に開通式や通り初めなどの式典が開催されるのだろう。
現在はその準備の真っただ中といったところか。写真を見る限りは、舗装まで出来上がっているようで、あとは区画線を入れて試運転で問題なければOK!といった雰囲気である。
北側復旧ルートは、大災害発生時には緊急車両走行路としての活用も想定し、地盤災害が発生しにくいルートとしており、さらに災害発生時でも使用できるように高規格の道路となっている。
平成28年(2016年)7月にルートが決定してから約4年で、延長約13キロメートルの道路が完成するという、通常ではなかなか見られないスピードでの開通となる。
二重峠トンネルでは1年以上の工期短縮に成功し、橋梁や土工事でもかなりの速さで施工が行われた。トンネル以外でも簡単な条件ではない工事がいくつもあり、関係者は神経をすり減らしながら仕事を進めてきたのではないかと推察する。
道路工事の工種展覧会?と思えるような工種の多様さ
このルートでは、道路工事の工種展覧会とも思えるような、多様な工事が行われている。阿蘇市内の工事では地盤改良や圧密促進の工事が盛土に先立って行われている。
橋梁工事でも通常のクレーン架設はもちろん、送り出し架設も実施されている。阿蘇外輪山はNATM工法で工事が行われ、一時期は4切羽による掘削が行われていた。
さらに大津町内では、高圧電線の真下で橋梁の上部・下部工事が行われるという、かなり厳しい条件下での工事もあった。その他、盛土や切土による造成、法面保護、補強土、擁壁やボックスカルバートもある。道路工事によくみられる工事が凝縮されているのだ。
そして、北側復旧ルートは安全施工が前提のもと、工期短縮が最重要課題だった。受注した各建設会社は、もともと提示されていた工期より少しでも短縮できるよう様々な工夫を凝らしている。
二重峠トンネルでは、同時に4切羽が動いていたり、橋梁においても基礎工を見直して、工期短縮を図りながら合理的な工法を選択していたところもあった。土工においても、施工手順などを工夫して、同時に工事が進められるようにされていたようだ。
工事の多くは、熊本の地元業者によって遂行
このルートで行われた工事の多くは、熊本県内に本拠地を置く地元建設会社によって行われた。また、二重峠トンネル工事といった高難度の工事は、大手建設会社を筆頭とした地域維持型JV方式がとられ、地元建設会社の技術力向上や経験、ノウハウ蓄積の一端となっている。
二重峠トンネルでは、阿蘇工区で安藤ハザマ・丸昭建設(熊本県人吉市)JV、大津工区では清水建設・福田組(新潟県新潟市)・松下組(熊本県芦北町)JVによって工事が進められていた。
災害復旧の現場は過酷だが、技術力向上や経験蓄積にはもってこいの工事でもある。地元建設会社にもたらされた経験やノウハウは、今後の災害復旧はもちろんのこと、様々な事業でも活用されていくはずだ。
災害は今後も起こりうる。もしかすると、熊本地震や今年の球磨地域の豪雨災害よりも大規模な災害が起こるかもしれない。
被災したときに、地元の建設会社が果たす役割はとても重要であり、貴重である。災害復旧のノウハウが蓄積されていけば、今以上にはやい復旧も可能となっていくのではないだろうか。