災害復旧はスピード重視。幹事をゼネコンが務めるケースも
2011年3月11日の東日本大震災を契機に、一気に増えている発注者支援業務や事業監理業務。特に近年では、事業監理業務の量が増えつつある。入札情報サービスで検索するとわかるのだが、国の機関はもちろん、自治体などを含めて全国で発注されている。
発注者支援業務は建設コンサルタント業務に分類され、現在は建設コンサルタントが受注している状況だ。だが時々、建設コンサルタントとゼネコンがJVを組んで業務を受注するケースがある。東日本大震災の災害復旧ではそのケースが多かった。業務量が膨大であり、かつ事業着手から施工まですべてをカバーすることが求められたからだろう。
たとえば、三陸沿岸道路の事業では、建設コンサルタントとゼネコンを合わせて5社ほどでJVを組むケースが目立った。JVの幹事はコンサルであるケースもあれば、ゼネコンが務めるケースもあった。調査・測量はコンサルが、施工はゼネコンがそれぞれカバーするという役割分担がなされたであろうことは想像がつく。
業務自体は建設コンサルタント業務に分類されるのだが、災害復旧でありスピード感をもって、なおかつ膨大な業務を進めていく必要があることから、ゼネコンにも門戸が広がったのではないだろうか。
支援業務において、総合力ではゼネコンに軍配?
事業監理業務や、発注者支援業務に分類される工事監督支援業務などは、ゼネコンのノウハウが活きると思われる。どちらも施工管理の知識や経験が必要だからだ。事業監理業務は、事業計画の立案や全体の工程計画策定、工事計画検討といった現場目線での検討が必要となる。
工事監督支援業務は、現場立会や検査対応、さらに問題発生時の対応などがある。こちらも現場経験が求められる。どういう手順で工事が進められているのか、危険なポイントはどこか、何が工事のクリティカルパスなのか、などを理解していないと工事監督はなかなか難しい。
工程通り進めているようで、実は工程から遅れているとか、所定の品質を確保しているようで、実は品質管理基準を満たしていないとか、そういったことになりかねないのだ。
結局、施工管理の経験や知識がないと業務遂行は難しい
私は以前、某地域で発注者支援業務に携わった。そこで身をもって思い知ったのは、「現場経験がもっともっと豊富であれば、問題発見・問題解決をもっと素早く、的確にやれたのではないか」ということだ。
現場の施工管理技術者は、施工計画を立案したり資材を発注したり進捗を管理したりするのはもちろんだが、「この先のこの部分が今後問題になるかもしれない」とか、「このままこの工事を進めていくと、あそこの工事と輻輳しそうだ。手順を考えた方がいいかも」といったことも想像しながら日々業務を遂行している。
現在、建設コンサルタント会社が業務を受注しているが、果たして対応しきれているのだろうか?と思うことがある。建設コンサルタント会社は、調査・設計に関しては知識もノウハウも膨大に持っているが、施工分野においては現場経験が不足しているのではないかと思うからだ。
特に事業監理業務に従事して思ったことは、施工管理の知識がないと業務遂行が難しいということである。
その中でも、工事計画の立案については、現場での作業をイメージして計画を立てることが必要であり、どんな重機がどこでどんな作業をするのか、だいたいどれくらいの期間が必要か、予算はどれくらいになるか、といったことを可視化できなければならないのだ。
ここはゼネコンの強みが大きく活きる。総合的にみると、ゼネコンにも受注の機会があってもいいのではないだろうか。