設計ミスでも、ピンチはチャンス!
ある現場での体験談です。その現場では、”設計ミス”がありました。
普通、設計ミスがあり、しかもそれが工事中ともなれば、発注者や工事担当のゼネコンから嫌な顔をされること間違いなしです。
しかし、それを逆手に取ることで、良い評価につなげることも不可能ではありません。「ピンチはチャンス」とはよく言ったものです。
この現場では、設計ミスが功を奏して、発注者より表彰を受ける結果となりました。
鉄筋の長さが足りない…!?
その案件は、ある橋梁の建設プロジェクトでした。
私は橋梁下部工の設計を担当しており、構造計算を経て、構造図や配筋図を作成・納品しました。
その後、すぐに工事が発注されましたが、その途中で鉄筋ミスが判明。鉄筋の定着長が足りておらず、鉄筋の長さが足りないというものでした。
当時は、各種基準が変更されている時期で、設計業務としては基準に抵触しているわけではありませんでしたが、その工事は改定後の基準に沿って進めていたため、鉄筋の長さが足りないというのが実情でした。
そうです。うっかりミスです。
担当者以外も含めた「修正チーム」を編成
私を含め設計業務を担当していた人たちは、すぐさま構造計算をやり直し、構造的な問題がないことを確認しました。
すでに現場では鉄筋が発注されており、加工もほぼ終わっている状況でしたが、現場に問い合わせたところ、たまたま現場に加工していない鉄筋が残っており、その鉄筋で対応可能という回答を得ました。
そして、急拵えの修正チームを結成。担当者だけだとパニックに陥りがちなので、業務に直接関わっていない人にも入ってもらいました。
徹夜で図面と数量計算書、構造計算書を修正し、翌朝、電車で発注者の事務所に趣き、修正した図面と数量計算書、構造計算書を提出しました。
その後、この現場がどうなったかと言うと、工事は順調に進み、事無きを得ました。
設計ミスからの迅速な対応も評価され、結果、発注者である国土交通省の国道事務所の所長から「優良業務表彰」を頂戴しました。
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“慌てず騒がず冷静に”が高評価のカギ
ミスがあると、人はどうしても慌てがちです。いくら頭では理解していても、やっぱり慌ててしまうのが人間です。
冷静に状況を見れなくなり、さらにミスを重ねてしまうという負のスパイラルになることもあります。
そのため、ミスが発生した場合には、担当者レベルだけではなく、関わっていない人にも入ってもらうことも重要です。この工事では、そのおかげで冷静な検討、スムーズな修正対応が可能となりました。
現場に悪影響が出ること、工程に遅れが出ることは発注者が嫌がることなので、工事がすでに発注されている場合は、現場とのコミュニケーションも重要です。
発注者の困りごとを解決するという意識が、設計業務だけではなく、工事においても高評価を受けるポイントです。
どんな時も、”慌てず騒がず冷静に”対応することを心掛けたいものです。