午前1時の現場に神様降臨…!夜間⼯事の些細な機械トラブルを侮るなかれ

※写真はイメージです。

午前1時の現場に神様降臨…!夜間⼯事の些細な機械トラブルを侮るなかれ

夜間工事は小さな事故でも”大問題”に

工事現場にトラブルは付き物ですが、夜間工事におけるトラブルは、昼間の工事とは違い、深刻な問題に発展してしまう場合があります

私が夜間工事で経験したトラブルは、災害や事故などのニュースになりそうな⼤きなトラブルではありませんが、夜間⼯事ならではの話だと思います。

昼間であれば「しょーもない!」と思われるようなことが、“夜間工事では大問題になる”という教訓にしていただければ幸いです。

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「始末書モノ」の機械トラブル

夜間勤務であれ、通常勤務であれ、施⼯中に使⽤している機械が故障することはよくある話です。

例えば、バックホーの油圧ホースが破れて油が⾶び散って、油まみれになったとか、建設技術者や建設技能者の皆さんは⼀度ぐらい経験されているのではないでしょうか?

私も機械のトラブルで何度となく、ひどい⽬にいました。

⽔道⼯事の最後の仮復旧時には、合材を積んだダンプが故障して、ダンプしたまま荷台が降りなくなったこともありました。積まれていた2トンの合材が1ヶ所に全部落ちてしまい、⼀輪⾞で運びながら、⼈⼒で敷き均しをしました。

またこの場合、荷台が上がったままのダンプでは走行できないため、修理屋さんが来るまで現場で待機する必要もありました。このトラブルは昼間の通常勤務時間だったため、なんとかなりましたが、もしこれが夜勤だったら「ゾッ…」とするわけです。

夜間工事だと、修理屋さんは寝ているので、修理屋さんが起きるまでずっとその場に待機しなければならず、国道での工事の場合はおそらく始末書モノだったでしょう。

夜間工事にはこうした、夜ならではの「ゾッ…」とする場面が多々あるのです。

エンジンカッター故障で「一晩で何⼗万円の損失」

夜間⼯事では、エンジンカッターのリコイルスターターの故障という、「しょーもない!」と言われそうな機械のトラブルでさえ、重大な事態に発展してしまいます。

あれは⽔道⼯事の夜勤の現場でのこと。突然、リコイルスターターの紐が引っ張れなくなるというトラブルに見舞われました。

最初は、「どうせ中で紐が引っかかっているだけだろう」「すぐに解決するだろう」と、その場に居合わせた全員が、あまり深刻には捉えていませんでした。

そこで、⾃分たちで修理しようということになり、リコイルスターターを分解してみました。すると、まさかのリコイルスターターの中の部品が割れていることが判明。回転するはずの部品が全く回転せず、部品の交換が必要となります。

こうなると、夜間工事ならではの「ゾッ…」とする問題になってきます。

昼間の工事中の故障であれば、そのまま機械のリース屋さんに⾛ってエンジンカッターを借りることも可能ですが、夜中はリース屋さんも寝ています。

予備の部品、予備のエンジンカッターも⽤意していません。「オイ、オイ、オイ……どうするん?」「このまま今晩の⼯事は途中で終わり?」などと真夜中の現場に不安が渦巻きます。

苦労して掘削だけは終わり、あとは配管待ちの状態です。が、このままでは配管ができず、せっかく掘った⽳を埋めて帰るしかありません。

配管せずに埋めて帰った場合、会社的には⼀晩で何⼗万円という損失になるため、夜中の現場には絶望的な空気が流れていました。

午前1時、絶望的な状況の現場に神様降臨

その時、とっさに私の頭に浮かんだのが、ある取引先の社⻑の顔でした。

私の所属している会社は、その社⻑に⼤変お世話になっています。ちょっと怖そうなイメージの社⻑で、さすがに電話するのをためらいましたが、あとがないので仕⽅なく電話することにしました。

時刻は午前1時!電話に出てもらえなくて当たり前です。勇気を振り絞って電話をかけたところ、2コール⽬に、かなり不機嫌そうな声で、

取引先の社⻑ 「なんや?どないした?」

私 「すんませーん、社⻑。夜分に申し訳ありません、実は今、⽔道⼯事中でして……管を切ろうと思ったら、エンジンカッターつぶれちゃって……。⼤変迷惑だと思いますが、社⻑のところのエンジンカッター貸してもらえませんか?」

取引先の社⻑ 「わかった、今から取りにおいでーな。」

私 「ホントすんません!助かりました!」

丁重にお礼を⾔って電話を切りました。まさに神の⼿が差し伸べられた瞬間でした。ほんとに…助かりました。

⽇頃からこの社⻑からとは懇意にさせていただいており、たまに下請けとして仕事も頂戴していますが、また⼤きな借りができました。

下請けで仕事をしてる時に誠⼼誠意これまでやってきたことで、こんな無理なお願いも聞いていただけたとも思っています。

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夜間⼯事のトラブルを回避する方法

このエンジンカッターのリコイルスターターの故障というトラブルは、昼間の工事だったらトラブルとも呼べない些細なことかもしれません。

しかし、夜間⼯事で起こると、かなりヤバイ事態に発展しかねないのです。

他にも、夜間⼯事の仮復旧の時に、プレートのベルトが切れて動かなくなったというトラブルも経験しています。その時は幸いにして、わが社にプレートは3台あったため、全く問題になりませんでした。

ここまで読んでいただいたらわかる通り、夜間⼯事の場合、⽇頃の機械の点検が⼤事になってくるのですが、われわれ建設技術者は忙しくて点検する時間、余裕がないのも実状です。

そのため夜間工事では、⼩物機械は予備で2台⽤意するべきでしょう。機械だけでなく材料も「予備」を用意しておくことが⼤事です。

それから、普段からお互いに助け合うことができる関係の個⼈、会社との「付き合い」も⼤事になると思います。

正直なところ、夜間工事での機械トラブルは「なんでよりによって夜中に故障するかな?」という気持ちになりますが、夜間⼯事の⼩さなトラブルが、⼤きなトラブルに発展するのを防ぐためには、「予備」と「人付き合い」が必要になると、皆さん改めてご認識いただければ幸いです。

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