建設業の離職率の高さはネガティブか?

建設業の離職率の高さはネガティブか?

建設業は本当に「オワコン」なのか

建設業の新人の離職率をご存じでしょうか。厚生労働省のデータによると、建設業への就職後3年以内の離職率は大卒で27.8%、高卒で45.3%となっています。全産業の離職率から比べると、大卒は少しだけ離職しづらく、高卒はかなり離職しやすい傾向になっています。

このデータをざっくりと考察するなら、大卒の多くは大手ゼネコンに入社するために離職率が低くなり、高卒の多くは中小企業に入社していくために高くなると言えるでしょう。簡単に言うと、中小企業は大手企業に比べて離職率が高いと言えるようです。

とはいえ、そんな大手ですら3年以内に3割近い人間が辞めてしまうという現状があり、なかなか定着してくれないという悩みはどこも共通なのだと感じます。ただ、建設業の離職率の高さは今に始まったわけではありません。いつの時代も、辞める人は辞めるのです。

さて、こういう数字をみて「建設業はオワコンだ」のような論調があります。もちろん離職せずに定着するほうが人数も多くなり、盛り上がる感はあります。ですが、本当にすべてネガティブなのでしょうか。実は僕はそう感じていないのです。

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ネガティブとポジティブは表裏一体

「人数が減っている」「すぐに辞めてしまう」。こういう事実に対して、少し斜めの確度から考察してみます。

例えば、「人数が減っている」という事実。これを言い換えるなら、「希少性が増している」とも捉えられます。ダイヤモンドがなぜ高価なのか。それは絶対数が少ないからに他なりません。そして美しいという前提条件もあるからです。

建設業はどうでしょうか。前提条件として必要なのは、廃れない業界かどうか。これは、間違いなく廃れません。人が生活し、利益を生み出す建物。それ同士を繋げるインフラ。これは人間が生きていく上で必要だからです。

どんなにITが普及しても、そのコンピュータを存在させるための建物は必要で、存在させた以上は、維持メンテナンスは必ず発生します。つまり、廃れるはずがない業界とも言えます。

そんなにも必要とされる業界の人数が減っている。これはまさに、希少性が増している状況と言えます。であれば、価値は高まるのは必然なのです。もっと言うと、あまり増えないでほしいとも考えられます。

では、「すぐに辞めてしまう」という事実はどうでしょうか。時代に合わない、対価が見合わないなどの理由はあるでしょうが、ポイントは「すぐに」という部分。長く居座る人数も多いということです。

希少性が高く、そして必要とされる業界。であれば、能力や生産性の低い人間に居座られて、絶対数が増えてしまうと、せっかくの価値が薄まってしまいます。早い段階でふるいにかけ、少ない人員で戦える体制を作ることが必要とも言えます。

そう考えると、すぐに辞めてもらったほうが良いとも捉えられます。もちろん優秀な人材がすぐに辞められると困りますが、それはわからない部分ですよね。優秀だと感じて採用した人が、実はさっぱりだったなんて事例はいくらでもあります。逆もまた然り。

建設業を汚す人材は早く離脱してほしい

離職率が高いという点をネガティブに捉える人は多くいますが、違った側面もあると考えることもできるのです。どんなことも表裏一体。裏を返せばポジティブだったりします。

僕は建設業を愛しています。だからこそ、それを汚すような人材は早く離脱してほしいとも思っている面もあるのです。『離職率の高さはネガティブか?』という問いに対しては、結局どちらとも言えないのです。

もしかしたら、時代が「もっと生産性をあげろ」と言っているのかもしれません。「そんなに人数はいらないよ」と教えてくれているのかもしれません。

時代はそんなにバカじゃない。きっと今に即した形があるはず。それをポジティブに捉え、前に進めていく意識が大切なんだと思います。

※この記事は、『 【インスタで学べる】1日たった3分で学べる建設コラム 』の記事を再編集したものです。


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【プロフィール】
武田 祐樹(たけだ ひろき)

総合建設業に17年在職し、所長歴は11年、官民問わず数多くの実績を積む。その後2020年に起業・独立。
「建設業をワクワクする業界へ」をスローガンに、DX化の推進や若手育成、魅力発信を行う。
「建設業効率化施策の仕掛け人」として、ABEMA Primeに出演。

◇保有資格◇
一級建築士
1級建築施工管理技士
1級土木施工管理技士

株式会社RaisePLAN 代表取締役

【運営・活動】
【現場ラボ】:建設業の変革をサポート
【現場ラボコンサルタント】:新人・若手の研修、教育
【Edu建(エデュケン)】:建築施工管理のeラーニング
【講師活動】:DX化、部下育成、建設業に関するセミナー・講演

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