騒音・振動計

回避不能な「建設工事の騒音・振動問題」。苦情を最小限にするためには?

建設工事の騒音や振動問題はゼロにできない

建設工事の騒音や振動は、問題として取り上げられることが多い。

苦情を言いたくなる気持ちも分かるが、正直な意見を言わせてもらうと、工事で騒音や振動を出さないというのは不可能だし、苦情をゼロにすることは現実的に無理がある

かといって、工事は長いもので年単位で行われるため、近隣住民の快適な生活を長きに渡って脅かすという状況を作ってはならないことも理解している。

では、施工を行う人間にとって、騒音や振動問題の苦情を最小限におさえるためにも、事前にチェックすべきことはなんだろうか?それを解説していこう。

特定建設作業を”本当の意味で”理解する

特定建設作業は、建設業界では馴染み深い言葉だ。馴染み深い言葉であるからこそ、本当に理解していないと大変な状況に陥ることもある。

特定建設作業届を提出することはもちろん、それに該当する機械や道具をもう一度チェックしておくことをおすすめしたい。チェックし直してみると意外と、「これって特定建設作業なの?」という道具や作業が存在するからだ。

ハンドブレーカーに関しても、振動規制法では規制されないが、騒音に関しては規制されるため、ここが混同して特定建設作業の届出をしていなかったという監督もたまに見かける。

法令に関する届出は、忘れていた、知らなかった、では当然済まされない。近隣からのクレームがきっかけでこういった不備が表に出てくることもあるので、必ず事前チェックは心がけたいところだ。

近隣住民への日々の声かけで苦情が減る?

騒音・振動に対する苦情は、現場監督の日頃の声かけによって減らせるケースもある。

近隣で少し苦情を言ってきそうな住民は、長年監督をしていたら感覚的に分かってくることもあるだろう。そういう人に対しては、例えば、作業前には必ず毎日挨拶を行う、定期的に声をかけるなどの気遣い一つで、苦情がなくなる場合もある。

面倒くさそうだから…と距離を置いて工事を進めてしまうと、苦情を言われるだけでなく、こちらがいくら気を使っても何かと文句を言われる可能性すらある。

単純なことだが、声をかけるだけでも苦情を少し減らすことができるのだ。

騒音や振動に対する予算をしっかりと確保する

工事は何が起こるか分からない。不測の事態で思ってもいなかった金銭が発生することもある。騒音や振動に関する設備がその良い例かもしれない。

防音シートや騒音・振動計を設置していても、予想もしなかった住民からクレームが入ることもある。クレーム全てに対処することは難しいかもしれないが、放っておくと工事が止まるほどの苦情を提示されることもあるので、できる限りの対処はしたいところだ。

しかし、そんな時、予算がないという理由で新たな防音設備が設置できないといったことは、誰しもが一度や二度経験があるのではないだろうか。つまり、工事が始まる前に、少しは余裕をみた設備に関する費用を確保しておくべきなのだ。

クレームを解決しようと思った場合、何か対応して誠意を示すことが重要だ。何もしなければ、苦情はどんどんエスカレートする。相手の気持ちになって考えてみると、騒音や振動に対してクレームがあった際には、やはり設備等の何かしらの改善・設置をおこなった場合のほうが、圧倒的に印象が良いことは言うまでもないだろう。

現場や現場で働く人々を守るために現場監督がいる

くどいようだが、建設工事現場で騒音や振動を一切出さないというのは不可能だ。つまり、騒音や振動問題は今後もなくなることはないだろう。

しかし、クレームが発生した時に、現場や現場で働く人々を守るために現場監督が存在する。その現場監督が手を抜けば、クレームが一層大きな事件に発展する場合もある。

そうならないためにも、日頃から細かいチェックや住民への声かけなどは、最低限、意識しておくべきだろう。

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