【衝撃】建設業従事者の7割が「残業規制を知らない」 建設業界の働き方改革はいつになったら始まるのか

【衝撃】建設業従事者の7割が「残業規制を知らない」 建設業界の働き方改革はいつになったら始まるのか

8割が残業時間の上限規制に「何も対応していない」

ビジネス現場のコミュニケーションツール「LINE WORKS」を提供するワークスモバイルジャパン株式会社が、建設現場で働く施工管理者、作業員ら計2,088人に対して実施した調査で、7割もの人が“残業の上限規制について知らない”という衝撃的な結果とともに、建設業界の働き方改革に対する意識の低さが明らかとなった。

2019年4月の労働基準法改正により、時間外労働の罰則付き上限規制が設けられた。これにより、法律上、時間外労働の上限が原則⽉45時間・年360時間と定められた。

さらに、いわゆる『特別条項付き36協定』を締結した場合においても、▽時間外労働が年720時間以内▽時間外労働と休⽇労働の合計が⽉100時間未満▽時間外労働と休⽇労働の合計について、「3か⽉平均」「3か⽉平均」「4か⽉平均」「5か⽉平均」「6か⽉平均」が全て1⽉当たり80時間以内▽時間外労働が⽉45時間を超えることができるのは、年6か⽉が限度―と規定され、これらを守らなければ罰則(6か⽉以下の懲役または30万円以下の罰⾦)の対象となる。

同法の適用は、建設業については5年間の猶予期間が設けられているが、同法改正を背景にすでに多くの産業で時間外労働の削減が進んでいる。2024年4月以降は、建設業界において適用除外とされていた時間外労働の上限も、上記の基準のもと、法律で明確に規定されることとなり、働き方改革はすでに待ったなしの状況にある。

だが、今回ワークスモバイルジャパンが行ったアンケート調査では、”残業の上限規制について知っているか”という質問に対し「わからない・聞いたことがない」と答えた人が約7割(68%)、残業の上限規制への対応について「特に何も対応していない」と答えた人が約8割(78%)にも上った。すでに適用まで2年を切った残業時間の上限規制だが、遅々として進まない建設業界の働き方改革に対する意識の低さが露呈したかたちだ。

2024年4月から適用される残業の上限規制について、「わからない・聞いたことがない」は約7割(68%)。また、残業の上限規制への対応について、「特に何も対応していない」が約8割(78%)を占める。

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20~30代の現場監督の半数以上が”残業”でストレス

さらに同アンケートでは、残業時間に起因するストレスを感じている人の割合も調査している。この結果、現場の要である若手・中堅(20~30代)の施工管理者の約半分以上(54%)が「残業時間」起因のストレスを感じており、約4割(44%)が離職・退職を検討していることが分かった。

また、業務時間の長時間化の要因として、「現場で写真をとって、事務所に帰ってから整理している」「図面、報告者などを紙で出力している」「協力会社との調整・情報共有に時間が掛かっている」などの回答が多く挙がり、このうち協力会社との調整に月一人あたり約17時間もの時間を費やしていることが分かった。

20~30代の施工管理者の約半分(54%)以上が「残業時間」起因のストレスを感じており、また、約4割(44%)が離職・退職を検討。

施工管理者に現場の実態を聞いたところ、「協力会社との調整・情報共有に時間がかかる」は33%で、月一人あたり約17時間を割いている。

ただでさえ、建設業界は若年層の担い手不足が叫ばれているにもかかわらず、このまま他産業の動きに逆行して、適正な労働時間や休日を確保することができなければ、これから一層加速する各産業間の人材獲得競争に惨敗することは火を見るよりも明らかだ。上限規制の適用までまだ時間的な猶予はあれど、建設業界が持続可能な産業となるためにも、今のうちから一歩ずつでも建設業従事者の処遇改善が進むことに期待したい。

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