使いものにならない中途社員
以前、知人からこんな話を聞いた。
知人の勤務している会社に、中途社員が1名入社してきたそうだ。人手不足だったこともあり、会社は歓迎ムード全開でその社員を迎え入れた。
ところが、この中途社員が“なかなか使いものにならない人”だそうで…。
基本的なことはある程度知っているものの、求めている水準で仕事ができないらしく、それなら新卒のほうがマシという声まであがっているそうだ。
当人も「自分は仕事ができない」「役に立っていない」という自覚があるようで、退職の意思を会社に伝えているのだが、なぜか上司が引き止め続けているらしい…。
いくら人手不足といっても…
確かに、建設業界はここ何年も人手不足だ。建設会社や建設コンサルタント、発注者、メーカー等、建設業に関わる会社の多くで人手が足りず、「ずっと求人募集をし続けている」なんて会社も少なくないだろう。
かといって、どんな人でも良いから入社して欲しいのだろうか?仕事ができないとわかっていても、長く働き続けて欲しいのだろうか?
仕事ができない人、使えない人、勤怠がだらしない人など、誰でも良いから雇いたい、というわけではないはずだ。猫の手も借りたいという状態であっても、「使いものにならん」となる人は、できるだけ早めに雇止めしたいところではないだろうか。
辞めたい人をなぜ引き止め続けるのか
知人がこうこぼしていた。
「仕事ができないとわかっている人を、なぜ雇用し続けようとするのだろうか。当人が会社に残りたいという意思表示をしているのならまだしも、辞めたいということを伝えている。なのに、なんで引き止めるのだろうか?」
私も、答えというか考えは思い浮かばなかった。当人が辞めたいといっているのになぜ引き止め続けるのか…。さらに、知人は続けてこう言った。
「たぶん、人が辞めると上司の査定に響くんだろう。たとえば、上からお叱りを受けるとか、ボーナスが減らされるとか、何かしらの減点要素があるのかも。だから、仕事ができるとかできないとかじゃなくて、上司個人の都合で引き止めているのかもしれない。」
真意はわからないが、もし本当に上司が自分のエゴのためにやっていることならば、身勝手に他人の人生を振り回しているようなものだ。
別の会社で即戦力になれる可能性もある
『自分は役に立っていない。この会社でできることはない。だから退職して別の道を探る』という考えは、全く悪いことではないと思う。かつ、それを本人も周りも認めているのなら、退職の申し出を受け入れてあげるほうがお互いに不幸にならずに済むだろう。
それを上司や会社の都合だけで引き止め続けるのは、良いことはない。業務が停滞して前に進まなくなるし、場合によっては求められている期限に間に合わなくなったり、求められていることとは違うことをしてしまうこともあり得る。誰にとっても良い結末は待っていない。
仮に、今の会社では役に立っていなかったとしても、別の会社ではとてつもなく大きな戦力になる可能性だって多いにある。
なぜ、仕事ができないとわかっている人を雇い続けるのだろうか。何度考えても理解不能である。その中途社員の気持ちや、一緒に働く社員たちの苦労も考えて欲しいところだ。
皆さんの会社ではこういったことはないだろうか?