学歴が低い人間のほうが出世できる?
頭が良い奴が出世して、会社での立場も上になる。そんな構図が日本では当たり前だが、建設業界ではどうだろうか?
建設業界で働いている私の肌感覚としては、頭の良い高学歴な人間ほど成功していないように感じる。
現場監督として、会社でそれなりのポジションについている人間でも、決して学歴が高いわけではなく、どちらかと言えば学歴が低い人間のほうが多い気がする。
今回は、その理由について考えていく。
勉強が成果に結びつかない業界だから
勉強が成果に結びつかない業界と言っても、資格の勉強や現場で使う計算のことを否定しているわけではない。
当然そういった知識は必要なのだが、建設業界での成果を出す人間にとって、その能力は一番求められるスキルではないということだ。現場を回すために必要なのは、勉強のスキルではなく、人間的な要素が大きくなってくる。
何も知らないというのは論外だが、人間力が高ければ、現場監督としての能力があまりなかったとしても、現場を円滑に進めることができるだろう。
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学歴よりも、探求心がある奴が勝つ
なぜ探求心がある奴が勝つと言えるのか?私の身近な人間を例に見てみよう。
登場人物は同じ会社で働くAとBの2人。Aは高学歴でいわゆるハイスペック人材。Bは特出する能力はなく、いわゆる凡人。ちょうど会社でICT施工に取り組むことになり、2人同時に新しいソフトを勉強し始めた。
Aは、操作方法をあっという間に覚え、渋い顔をして私にこんな一言を放った。「実際、このソフトが操作できても意味がないように感じます。操作はできますけど。」と、探求心どころか、勝手に意味のないツールだと吐き捨ててしまった。
一方、Bは「面白いですね!現場で実際に使えれば、もっと面白いです!」とワクワクと胸を躍らせていた。
さて。1年後、2人はどうなっただろうか?
Aは結局、ソフトを使用して現場管理をする能力を身に付けることができず、ただ単にソフトの使い方を覚えただけで終わってしまっていた。
一方、Bは、小さな工事でICT施工を活用し、最終的に中規模の工事現場でも使用できるまでに成長していた。会社では当然Bが評価され、その年、Bは見事に昇進を果たしたのだった。
このエピソードからも分かるように、頭が良い人間は理解力が高いがゆえに勝手に無駄だとか、必要がないと物事を切り捨ててしまう傾向が強いように思う。そういう人間よりも、一生懸命で、探求心のある人間のほうがこの業界では求められる。
プライドが邪魔をして一匹狼になっている
頭が良い奴ほど職人と喧嘩になることが多いように思う。プライドが邪魔をして、何かを譲るということができないからだろう。
工事を進めていても、職人の方法のほうが効率が良いことはそう珍しくない。そんなときでも、頭が良い奴はプライドが邪魔をして、素直にその方法を取り入れられない、取り入れようとしないことが多い。
そんな人材が、周りの人間と協力して建物を造ることができるはずがない。頭が良いからといって、自分の言っていること・やっていることが全て正しいと思い込むのは非常に危険だ。
頭が良いというのは素晴らしい才能だ。学力をあげるために学生時代から努力を重ねてきた結果だろう。しかし、建設業界で成功するためには、頭脳だけでなく、人間力も磨く必要がある。
建設業界で1人でできることは限られている。誰かに助けてもらったり、誰かを助けようとする精神がなければ、建設業界で活躍する人材になるのは不可能だ。