【日建連】4週8閉所はわずか38%。土木50%、建築28%で格差も

【日建連】4週8閉所はわずか38%。土木50%、建築28%で格差も

昨年度末までに4週8閉所の定着目指すも…

日本建設業連合会(日建連)はこのほど、「週休二日実現行動計画」に基づき、「2021年度通期フォローアップ報告書」を発表。報告書によると、2021年度末で「4週8閉所」は全体で37.9%・5,775現場の達成率となり、前年度比では4.6ポイント上昇した。ちなみに、前年度は33.3%・5,300現場だった。

また、4週7閉所では16.3%・2,492現場(前年度17.2%・2,740現場)、4週6閉所では18.2%・2,776現場(同19.6%・3,115現場)、4週5閉所では12.9%・1,960現場(同14.0%・2,223現場)、4週5閉所未満では14.7%・2,241現場(同16.0%・2,544現場)だった。

※同調査は、日建連会員141社のうち、103社が回答。事業所数は1万5,244現場場(土木6,842現場、建築8,402現場)で、請負額1億円以上または工期4カ月以上の事業所。

日建連調査では「4週8閉所」は約38%であることがわかった

日建連では2017年12月に「週休二日実現行動計画 2017」を策定。基本方針としては、建設現場に従事するすべての者が、確実に週二日の休日を確保するための方策を、可能な限り具体的に示し、計画期間を2017~2021年度の5年間と定め、2019年度末までに4週6閉所以上、2021年度末までに4週8閉所の定着を目指す計画だった。

しかし、この調査では大手ゼネコンが加盟している日建連でも4週8閉所以上の実施割合にも壁があることが明らかになった。これが中小のゼネコンであれば達成率の割合がさらに低いことは容易に想像が可能だ。「働き方改革関連法案」の建設業での適用は2024年4年で、今後時間外労働の罰則付き上限規制も適用される。時間的にも2年を切っていることから今後、発注者への理解を強力に求めることなど大胆なアクションが必要なる。さらに調査を見て課題を探っていく。

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格段に上がった土木現場での達成率

土木と建築別では、土木の4週8閉所が50%・3420現場(前年度40.3%・3,149現場)、4週7閉所が17.6%・1,201現場(同18.4%・1,435現場)、4週6閉所が16.2%・1111現場(同18.8%・1,466現場)、4週5閉所が8.1%・555現場(同11.7%・911現場)、4週5閉所未満が8.1%・555現場(同10.9%・853現場)だった。

土木工事では達成率が高く、10ポイント近く向上した

建築現場で求められる適正工期

建築では、4週8閉所が28.0%・2,355現場(同26.5%・2,151現場)、4週7閉所が15.4%・1,291現場(同16.1%・1,305現場)、4週6閉所が19.8%・1,665現場(同20.3%・1,649現場)、4週5閉所が16.7%・1,405現場(同16.2%・1,312現場)、4週5閉所未満が20.1%・1686現場(同20.9%・1,691現場)であった。

建築現場では28%にとどまった。今後、民間発注者への理解強く求めるとの意見も

調査結果では、民間工事主体の建築より、公共工事主体の土木の方が閉所率は高く、昨年度に比べ、土木は約10ポイント、建築は4ポイントが向上している。一方、4週8閉所率については、土日閉所を基本とした作業所では、4週8閉所以上は41.3%であり、土日閉所を基本としない作業所では、4週8閉所以上は25.5%だった。

日建連の「長期ビジョン」によれば、2025度までに100万人規模の建設技能者の大量離職が確実視されており、産業間の厳しい人材確保競争の中で、建設業が魅力ある産業として常に若者を確保し、世代交代を続け、良好な生産体制を維持するためには、官民のほとんどの分野で定着している週休二日を、出来るだけ早く定着させることが重要だ。今回の調査では、土木は4週8閉所の割合が増えたが、民間中心の建築は進んでいない点は難点と言える。

会員企業からは「法的な縛りも必要」との意見も

特に官庁発注が中心の土木工事は、通期、下期ともに4週8閉所の達成率が10ポイント向上しており、全体で50%になったことを受けて、日建連としては、発注者との連携の効果が出てきていることや、全体的に4週8閉所の数値が向上しており、週休二日推進活動の継続効果と作業所の自助努力による成果は出てきているとみている。さらに4週5閉所以下は27%と減少傾向にあると前向きな感想があった。

一方、会員企業からは、土木は鉄道関連や高速道路会社など発注者によっては達成率が低い状況の工事もあるとの意見があった。開業や供用時期ありきの工期設定については、現場の施工状況に応じて設計変更とあわせて工期設定も適正に対応してもらう必要があることや、建築は民間企業の発注案件が多く、その分工期に関しては取組みにくい印象があるとの感想があった。

今後の課題としては、「業界の常識を打ち破る思い切った業務削減と効率化が必要」や「企業努力による実施率の向上には限界がある。発注者側も含めた法的整備や強制的な閉所日の設定等の対策を行っていただきたい」などを求める意見もあった。

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建設専門紙の記者などを経てフリーライターに。建設関連の事件・ビジネス・法規、国交省の動向などに精通。 長年、紙媒体で活躍してきたが、『施工の神様』の建設技術者を応援するという姿勢に魅せられてWeb媒体に進出開始。
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