千葉県県土整備部技術管理課副課長 宮下直也氏にインタビュー
「完全週休2日制モデル工事は、中長期的な担い手確保・育成の視点から必要な取り組み」――そう強調するのは、千葉県県土整備部技術管理課副課長の宮下直也氏だ。
千葉県は2015年度から「完全週休2日制モデル工事」を実施し、今年度はその規模を全ての土木事務所に拡大している。
現在の千葉県における「完全週休2日制モデル工事」の実施状況や、その狙いについて宮下副課長に話を聞いた。
――まず昨年度からスタートした「完全週休2日制モデル工事」の狙いについてお聞かせください。
宮下 国土交通省をはじめ、他の地方公共団体でも「週休二日制のモデル工事」を実施していますが、これは建設業に入職する方々が減少してきた中で、建設工事の将来の担い手を確保・育成する上で必要な取り組みであると理解しています。将来の人材を確保するため様々な取り組みが必要ですが、「完全週2日制モデル工事」もその一環です。
2014年6月に担い手3法として、「公共工事の品質確保の促進に関する法律」と「公共工事の入札及び契約の適正化の促進に関する法律」および「建設業法」が相次いで改正されました。そこで発注者の責務として、担い手の中長期的な確保・育成に配慮することが明記され、国や他の地方公共団体の動きもありました。千葉県においても、完全週休2日制モデル工事を2015年度から開始し、本年度も引き続き実施しています。
やはり、若者の入職を促進していく上では、入職しやすい環境を整えることが必要と考えています。定期的に土曜日・日曜日が休みとなることで、休日は家族や友人らと過ごし、プライベートの充実をはかることができるようになると思いますので、この取り組みによって、担い手の確保・育成を行なっていくのが狙いです。
土日に休むことを特記仕様書に明記
――「完全週休2日制モデル工事」の概要についてお教えください。
宮下2015年度は11月6日に発表し、5つの土木事務所、7件の工事で実施しました。土木一式工事が3件、舗装が3件、造園が1件です。年度を超えるような大規模工事ではなく、年度末に竣工する約3か月間の短工期工事が中心でした。
また、単に4週8休として曜日に関係なく週2日の休みとするのではなく、完全に土曜日・日曜日を休むことを目指しました。特記仕様書には完全週休2日制モデル工事であることを明記し、原則として工期内のすべての土曜日・日曜日を休むとしております。発注者と受注者は工事の工程を共有するような体制にしております。
今年度もそうですが、このモデル工事については、完全週休2日制導入に向けた課題や効果を確認するのが狙いです。たとえば雨が降り続いて平日に工事が中断した場合、工期の遅れもありうる話ですので、やむを得ず土曜日・日曜日に作業を行なった場合、工事の評価には反映しておりません。
工程管理は発注者と受注者が共有していますので、やむを得ず土曜日・日曜日に作業を実施なければならない場合には、事前に工事を行なう理由を求め、月末に提出される工事履行報告書に、工事の進捗状況とともに、土曜日・日曜日の休工状況の報告もいただいております。
最低15現場で実施。拡大する千葉県の「完全週休2日制モデル工事」
――今年度は「完全週休2日制モデル工事」の取り組みを拡大したようですが、どのような工事で実施していますか?
宮下 今年度については千葉県庁の15すべての土木事務所(千葉、葛南、東葛飾、柏、印旛、成田、香取、銚子、海匝、山武、長生、夷隅、安房、君津、市原)に拡大しています。各事務所1件以上のモデル工事を実施し、工種は主に道路工事および河川工事です。
昨年度との違いは、工期が前年度よりも若干長い工事でその効果を検証している点です。昨年度は3か月程度でしたが、今年度は最長6ヶ月程度の工事です。
――受注した建設会社からは、どのような意見がありましたか?
宮下 色々な意見がありました。1つは本モデル工事の趣旨に理解を示されて、経営者の方からは、これからの若手の入職には必要な施策であるという意見がありました。若手技術者の方々にとって仕事をする上で励みになるという声も聞いています。
一方、天候の影響により工程管理が難しくなるという意見や下請工事を行う方、つまり建設技能労働者の方は日給月給の方もおりますので、その方々との調整が課題という声もあり様々です。今年度の本モデル工事のとりまとめも行う予定ですが、時期は未定で来年度は今年度の課題を検証しつつ、本モデル工事をどのように行うかを検討する予定です。
実際、若手の建設技術者や技能労働者の担い手確保・育成は本県県土整備部としても重要な施策であり、しかしその一方、これを実施すればすぐに効果があらわれるという施策は中々ありません。やはり、改正品確法でも示されている通り、中長期的な視点が必要と存じます。そしてその中で千葉県として何を実施すべきかを今後とも考えていきたいと思います。
――ありがとうございました。
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土日を休みにする場合は、下請け工事単価を、1.2倍以上にしないと、下請け業者は土曜は他の民間現場で仕事してます。
発注者、元請け業者は休んでますが、
元請け監督なんて、5時以降残業できないと、下請け業者残して先に帰るくらいだから(笑)