不可解な数量の拾い方
河川工事や道路工事の積算を担当するようになって、発注予定工事個所の数量の切分けや添付資料(根拠)を作成していますが、不可解な数量の拾い方をしていることに気付きました。
よくあるのは、土工についてです。構造物を作成するのに、掘削で数量を拾っている設計コンサルタントが多いように思います。
例えば、道路工事で排水構造物(水路)を施工するとします。もちろん道路工事ですので、排水構造物は舗装面より下側にくると考えてください。そうなると、施工の流れとしては、床堀をした後に基面整生を行い、基礎材や均しコンクリートをして、水路を施工したのちに埋戻しになるかと思います。
ですが、私の担当した数々の計算書は、床堀を掘削、埋め戻しを整地または盛土(路体、築堤、路床)としていることが多いんです。
その場合、発注者に指摘して修正をお願いするか、こちらで修正してよいかを打合せしてから修正することになりますが、それだけでも結構な時間のロスです。これは、設計成果のチェックを発注者がしていない証拠だと思います。
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ポンプ排水の排出先はどこ?
ポンプ排水の行方についても、数量計算書や図面では水替と記載があるものの、排出先は記載されていないため、どうすればよいのか分からない時が多々あります。その場合は、一応、「○○への排出を予定」と記載するようにしています。
積算する側も現地調査を実施して、そういった仮設や構造物をつくることは可能か、工事を行うにあたり仮設道路が必要で散水が必要だとか、支障になるものはないか、住居、会社が近くで振動、騒音対策が必要か、設計成果で曖昧な箇所はないかなどの様々な確認を行います。
上記に述べた曖昧な箇所は、発注者にももちろん確認を行いますが、納期までに回答がない場合は、特記仕様書に「監督職員と協議して変更できるものとする」と明記し、納品の際に引継ぎ項目の資料として提出しています。
工事を経験されている方なら、私の気持ちがよく分かると思います。
積算という仕事の在り方について
積算という仕事は、計画、設計をしたコンサルタントの全体の成果を基に、どの区間で工事を発注したかを発注者と打ち合わせした後、そこの部分の成果を切り抜き、計算書、図面を作成していく仕事だと私は思っていました。
しかし、実際は、発注者と打ち合わせをした後に、設計コンサルタントの設計成果のチェックや図面のチェックを行い、計算間違いや考え方がおかしい箇所を発注者に確認をしながら設計成果の切抜きをし、積算成果として提出するやり方が当たり前となっています。
私個人の意見とすれば、このやり方では、いくら業務改善と言っても個々ではどうにもなりません。現状を変えたい私は、事業主(発注者のOBが幹部のため)に、「こういったことを変えないと残業が減らない」と再三言ってきましたが、「請負だから」と一蹴りされ、何も改善がない状態です。
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何より、施工者が一番大変
少しだけ私も施工者の経験があるため、積算を行うときはどうしても施工者の立場で考えてしまいます。そのため、上司から「マニュアルをどうして順守しないのか」と注意をされることがよくあります。
例えば、コンクリートの打設があるとします。数量が少量で打設範囲が一定の基準を満たない場合は、人力打設となりますが、現地を見て人力が難しいと場合は、資料に理由を書いてバックホウ打設やクレーン打設とするのです。
ですが、マニュアルに沿っていなければ、いくら説明しても「人力にしろ」と言われてしまい、最終的に修正を強いられます。まったく腑に落ちず、ずっと自分の中でもモヤモヤしています。
――ここに書いた内容は、積算を担当している人や施工者の方ならば、分かってもらえる内容ではないでしょうか。施工者の方、積算をしている方の中で疑問に思っていることがあれば、ぜひコメント欄で教えてください。