「現場監督の仕事をリモート化したい!」
僕は、会社にこう主張したことがあります。
しかし、全く受け入れられませんでした。ほとんどの人は鼻で笑い、聞く耳を持ってくれた数少ない人も、否定する前提で説得してきます。
ちなみに僕の主張はこういうものでした。
- 現場監督の業務の半分以上は、現地にいなくても可能
- 現地スタッフは基本的に現場業務に専念し、早く帰るよう努力する
- リモートスタッフはデスクワークをメインとし、2現場以上兼務する
現場監督の多岐にわたる業務を、一度細かく洗い出し分割していくことによって、「現場でしかできない作業」以外を分業化してしまうというものです。実現するため、他にも条件があります。
- 現場には経験豊富なベテランスタッフと若い係員を基本に、常駐する
- 技術の中核となる主任クラスが、工程表も施工図も書類作成も会社で行う
これにより現場スタッフは、現場作業が終わってからのデスクワークはほぼなくなります。そして、主任クラスも現場への往復や安全点検、現地の管理業務の時間を廃除し、デスクワークに集中することができる状況を作れます。
人手不足、技術力不足を補える理想的な状態
時間に余裕が生まれた主任クラスは、他の現場の技術ケアを行うこともできます。
例えば、小規模の現場に少し不安のあるスタッフが投入された場合、図面のチェックなどをやってあげるなどの、技術面のバックアップを行うことも容易になります。現地では馬力の弱くなってきたベテラン層が、未熟な若手職員をしっかりと教育することができます。
また、実力のある主任クラスを1つの現場で消費することなく、たくさんの現場で、その技術力を発揮してもらうことができます。
ある程度の規模であれば、現地係員は派遣社員に置き換えても遂行が可能になるため、これが成功することで人手不足、技術力不足をうまく補うことができる「理想的な状態」だと考えたわけです。
ちなみに僕は、その会社を辞めました。
現在は、この提案を別の会社に聞き入れてもらえて、試験的にですが、この手法を8割程採用する形で現場を運営しています。そして想定通り、現地スタッフはほぼ職人と共に帰ることができています。
主任クラスのポジションに入る僕は、週に2~3日間は現場に行きますが、それ以外は自宅でリモートを行っています。
もちろん必要な設備や、現地を確認する施策は必要です。それにはきちんとした段取りとノウハウ、そして設備投資は必要です。ただ、多くの問題を解決する方法だと手ごたえを感じています。
もし、あなたの周りで突拍子もない提案をしてくる若者がいたとしたら、一度しっかりとその若者の主張を聞いてみて下さい。それが、将来の財産となる「業務改革の糸口」になるかもしれません。
※この記事は、『 【インスタで学べる】1日たった3分で学べる建設コラム 』の記事を再編集したものです。