藤本 大輔さん 喜連瓜破橋大規模更新工事 大成・富士ピーエス・MMB異工種JV(監理技術者)

藤本 大輔さん 喜連瓜破橋大規模更新工事 大成・富士ピーエス・MMB異工種JV(監理技術者)

“全国でも類を見ない工事現場” 喜連瓜破高架橋架け替え工事の監理技術者に話を聞いてきた

全国でも例がない工事現場。施工管理上のポイントとは?

前回、喜連瓜破高架橋架け替え工事について、阪神高速の現場監督員の大池岳人さんの記事を出した。今回は、施工業者(JV)の監理技術者である大成建設株式会社の藤本大輔さんに、施工管理上のポイントなどについてお話を聞いてきた。

「空中で勝負する」 喜連瓜破高架橋架け替え工事の現場監督員に話を聞いてきた

コンクリートの橋梁の施工をやりたい

――藤本さんは、いわゆる「橋屋」さんなのですか?

藤本さん そうですね。大成建設に入社して16年ほど経ちますが、ずっと橋梁の新設工事を担当してきました。現在は、阪神高速様の喜連瓜破高架橋の架け替え工事の現場を担当しています。

――学校でも橋梁の勉強をされていたのですか?

藤本さん ええ、大学の研究室は構造でした。橋梁やコンクリートの研究をしていました。

――就活はどんな感じでしたか?

藤本さん どちらかと言うと、ゼネコン志向でした。実際にモノをつくる仕事のほうが、自分の性に合っていると考えていました。

――橋梁の設計ではなく、施工をやりたかったということですか?

藤本さん そうですね。大成建設には設計のセクションもあるのですが、どちらかと言うと、現場志向でしたし、結果的にそうなっています。

――コンクリートの橋梁をやりたいと思っていたということですか?

藤本さん そうです。

――大成建設を選んだ理由はなんでしたか?

藤本さん やはり、大きな工事ができると考えたからです。

――全国転勤はもちろん、海外赴任もあり得ると思いますが、その辺は大丈夫でしたか?

藤本さん 転勤は平気でした。海外はちょっと考えますが(笑)。やはり、発展途上国が多いですから。ただ、国内の転勤については、いろいろな土地の特性などを知ることができるので、実際のところ、苦になりません。

――これまでどのような場所でお仕事してきたのですか?

藤本さん 最初は名古屋で、次が関西、九州に行った後、また関西に戻って来たという感じです。

住民が待ち望む新阿蘇大橋工事に携われた

工事中の新阿蘇大橋

――これまでに担当した中で、一番印象深い橋梁新設の現場はなんですか?

藤本さん 熊本地震で崩落した阿蘇大橋の復旧工事である新阿蘇大橋です。災害復旧のため、非常に厳しい工期でしたが、監理技術者という立場で工事全体に携わることのできた現場でした。

――災害復旧工事ということもあり非常に厳しい工期を乗り越えたということで、印象深いのでしょうか?

藤本さん 厳しい工期を乗り越えたこともそうですが、地域の方々の復興に対する期待・新阿蘇大橋への思いが伝わってくる現場で、無事に工事を完成させることができました。開通日には、たくさんの方が訪れ、笑顔で新阿蘇大橋を渡る姿を間近で目にすることができたのが非常に印象深かったです。私たちゼネコンの根本はインフラ整備にあると思うのですが、新阿蘇大橋はまさに地元の方々が待ち望むインフラでした。

新阿蘇大橋に関しては、開通まで見届けることができたのも、嬉しいことでした。われわれ施工者は普通、構造物が供用開始するときは、すでに別の現場に入っていて、その場に居合わせることはありません。とくに私の場合は、高速道路様の仕事が多かったので、自分の担当する区間が終わっても、開通を目の当たりにしたことはありませんでした。

――新阿蘇大橋はいろいろな賞を受賞しましたね。

藤本さん おかげさまで、各方面から高いご評価をいただきました。現在担当している喜連瓜破橋大規模更新工事でも、新阿蘇大橋に勝るとも劣らないご評価をいただけるよう、頑張ります(笑)。

――大成建設の魅力はなんだとお考えですか?

藤本さん 若くても責任を伴う仕事を任せてもらえるところです。社員一人ひとりが、仕事のやりがいを感じながら働ける、それが魅力だと考えています。

交通規制をかけずに、橋梁を撤去、架設するのは初めて

喜連瓜破高架橋

――今の現場はどういう現場ですか?

藤本さん 阪神高速松原線の喜連瓜破高架橋の架け替え工事です。高架橋上に仮設桁を設置し、移動台車やクレーン設備により既設のPC橋梁を撤去。その後、鋼製橋桁を設置する工事です。

――同様の工事の経験はあるのですか?

藤本さん いえ、大成建設に入ってからはずっと新設橋梁ばかりだったので、橋の架け替えは初めてです。交差点の直上で、交通規制をかけずに、既設桁を撤去し、新たな桁を架けるのは、大成建設としても初めてです。おそらく全国でも例がないのではないでしょうか。

――大成建設の総力を上げて取り組んでいるのでしょうか?

藤本さん そうですね。いわゆるECI業務として、大成建設が工法などを提案し、受注した現場なので、大成建設本社のいろいろな部署の人間が関わっています。この現場では、いろいろな機械を使いますし、鋼桁も扱いますので、そういう部署の人間と連携しながら仕事を進めています。

――施工管理上のポイントはなんですか?

藤本さん いろいろありますが、最大限配慮しているのが、飛来落下対策です。高架橋直下には交通量の多い道路が通っています。絶対にモノを落とすことはできません。そのため、強度の高いメタルの作業足場や外周全面に鋼製枠による防護設備を設置します。万が一に備え、防水処理も施しています。

また、騒音対策も重要なポイントです。この現場は夜間作業が非常に多いのですが、現場近くにマンションがあります。鉄を叩く音などはどうしても周りに響くんです。極力土日祝日は音の出る作業を控える、低騒音型の機械の使用、防音設備など、考えうる対策はすべて講じて、低騒音作業を徹底していく考えです。

――メタルの足場はあまり一般的ではないと思われますが。

藤本さん そうですね。枠組み足場、木の板、ネットが一般的です。鋼製足場は、費用がかかるし、重くなるし、取り付けも大変なんです。ただ、今回は交通量の多い上空での作業であり、重いコンクリートを撤去するため、万が一でも物を落とさないために必要な設備です。

仮設桁上(瓜破交差点付近)から見た様子。確かにマンションが近い。

来年年始から半年間がヤマ場

――工事の進捗としてはどんな感じですか?

藤本さん 仮設桁を設置している準備段階なので、予算ベースで6%ほどです。今年秋から作業足場をつけて、来年の年始ぐらいから撤去作業に入ります。そこから半年間がこの工事のヤマ場になります。なんにせよ、実際にコンクリートを切断してみないと、どのような挙動を示すかなど、いろいろわからないところがあるので、一層気を引き締めて作業を進めていく考えです。

――工期的にはやはりタイトですか?

藤本さん はい。閉所は月4日でやっています。もちろん、社員などの休みは交代して確保しています。

――いわゆるICTは使っているのですか?

藤本さん 起工測量には、3Dレーザスキャナを使いました。現場周辺の点群データをとって、信号や照明など支障になりそうなものを割り出し、支承物を撤去したほか、現場で使用する機械などの選定にも活用しました。既設橋を撤去するに際し、躯体の挙動などを把握するため、自動計測センサーを設置しています。安全対策として、機械にもセンサーを取り付けることにしています。

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