いまだ根強い、暴力や暴言で人を支配する風潮
昨年、岡山県の建設会社で、2年間にわたり技能実習生に暴行をしていたという悲しいニュースが報道された。暴行は言うまでもなく犯罪行為であり、それが2年間にわたってまかり通っていたというのは、建設業界の闇がまだまだ深いことを改めて感じさせられた。
この建設会社に今後、技能実習生を派遣する機関はもうないだろう。それどころか、新卒者や中途者も敬遠することになってもおかしくない。
だが、世の中を見ればこの会社だけではない。今年に入って、神奈川県にある測量会社に勤務する外国籍の人がパワハラを受けた等として、提訴する事案が発生している。
上記2社は、いずれも中小企業だ。大手企業ではコンプライアンス強化が進み、暴行やパワハラは少なくなっているかもしれない(実態はそうではない可能性もある)。
しかし、中小企業では、昔ながらの暴行や暴言・ハラスメントを働く風潮が、まだまだ根強く残っている会社が多いのではないだろうか。
人手が足りない足りないと言いながら、このようなことをやってしまえば、今後の人材獲得はさらに困難、もしくは不可能になることがわからないのだろうか。
発注者からの暴言もある
以前、「○んでくれ」「くせーんだよ」 発注者からの脅迫・暴言集【実録】という記事を書いた。私も過去に暴言やパワハラを受けたことがあるが、暴行はさすがになかった。
しかし、建設業で働く人の中には、もしかすると命が危険に晒されるような体験をしたことがある人もいるかもしれない。場合によっては、もっと酷いことをされている人がいるかもしれない。
発注者から暴行された、という事例は聞いたことはないが、表に出ていないだけで、あっても不思議ではないように思う。
働き方改革より必要なことがあるのでは
世の中で働き方改革が叫ばれて久しい。「365日24時間戦えますか?」みたいな風潮はさすがに薄くなっているが、働き方以前に、会社としての在り方を問いたい。
部下や後輩に対し(場合によっては先輩や上司に対しても)、暴言を吐いたり、ハラスメントや暴行を働いている人はまだまだ多いのではと思っている。今や犯罪になりうるので、以前よりは少なくなっているかもしれないが、完全にホワイトにはなっていないように思う。
前述した建設会社や測量会社での事案は、まだまだ氷山の一角だろう。今回は、技能実習生がターゲットにされたため、より大きな問題となっただけにも思える。
ただ、日本人相手でも、暴行をしたり暴言を吐いたり脅したり、というケースは見聞きすることがまだまだある。「オレは○人つぶしてきたぜ(ドヤッ!)」と、自慢げに話す輩もいる。
そんな状態のまま働き方改革なんて進むだろうか。もしかすると、サービス残業・残業隠しを生み出すことになりかねない。もっと闇深い・罪深いことをやってしまうかもしれない。
表向きは、「残業時間は月45時間以内に抑えてます!」とか、「ウチの会社はアットホームで雰囲気いい会社です!」と謳っておきながら、実態はその真逆となっていないだろうか。
働き方改革をやるのなら、まずは自分自身のマインド・姿勢を見直すことや、会社としての在り方を改善するところから始めるべきだろう。そうでないと改革が改悪となってしまう。