片岡 弘貴さん(国土交通省四国地方整備局 土佐国道事務所工務課)

片岡 弘貴さん(国土交通省四国地方整備局 土佐国道事務所工務課)

ファーストキャリアは「国交省キャリア官僚」という選択

新人キャリア官僚にとって国交省の仕事とは

国土交通省入省1年目(取材当時)の新人キャリア官僚に取材する機会を得た。四国地方整備局土佐国道事務所工務課で高規格道路工事の積算業務などに従事している片岡弘貴さんだ。

大学(大学院)では水環境系の研究に打ち込み、「水環境をやりたい」ということで国土交通省に入省した片岡さんだが、初仕事は道路の仕事となった。そんな片岡さんにとって、国土交通省の仕事はどう映っているのか。いろいろお話を聞いてきた。

「水環境をキレイにしたい」がボクの根幹

――土木に興味を持った理由はなんでしたか?

片岡さん 小学校6年生のときに「海はゴミ箱じゃない」という本を読んで、「水環境をキレイにしたい」と考えました。それが土木と言うか、環境系の仕事に興味を持ったきっかけであり、今に至るボクの根幹です。大学を受験する際も、水環境をやりたいということで、環境工学系の学部に入学しました。

――ご出身はどちらですか?

片岡さん 京都市です。近くに海があったわけではなかったのですが(笑)、小さいころから家族全員で毎年夏に海に行くという風習があったので、海には馴染みがありました。あとは、近くに琵琶湖があります。

マイクロプラスチック汚染に関する研究に没頭

大学時代、二条城のお堀の水に含まれるマイクロプラスチックを分析中の片岡さん一行(本人提供)

――大学ではなにを学びましたか?

片岡さん 「最初は環境全般をやるのかな」と思っていましたが、大学時代の研究室は、下水道寄りの水処理などに関する研究室でした。「もっと水環境に関わる研究をしたいな」と思ったので、大学院にて他の研究室に進みました。そこでは水環境中のマイクロプラスチック汚染に関する研究をしていました。

――具体的にどんな研究をしていましたか?

片岡さん 路上で劣化、微細化したプラスチックが、雨水を通じてどのくらいの量河川に流れ込んでいるのか研究していました。道ばたのプラスチックの量を分析するために、道路に掃除機をかけていました。端から見たら変な人ですよね(笑)。

また、雨水処理施設で、雨水中のプラスチックの効率的な処理方法について研究していました。他大学院に行ったんですが、結局水処理に関する研究をしていました(笑)。

「物事の上流」に携わる仕事をしたい

――就活はどんな感じでしたか?

片岡さん 国家公務員をはじめ、コンサルタントやシンクタンクといったところを受けていました。「この業種で働きたい」と言うより、「物事の上流に携わる仕事をしたい」と思っていました。上流の仕事は社会的な影響が大きくて、その分やりがいも大きいのかなと考えていたからです。

――その中で国土交通省を選んだ理由はなんですか?

片岡さん 最終的に国土交通省に決めたのは、所管する業務が幅広いことでした。正直「これをやりたい」というものが明確ではなかったので、幅広く仕事をしながら、見つけていこうという気持ちがありました。また、現場があるのも魅力でしたね。国内外に幅広く現場を持つ国土交通省で、幅広く業務に携わりたいと思えたのが最終的な決め手です。

――地元の自治体は考えなかったですか?

片岡さん それは考えました。父親が地方で道路の仕事をしていたということもあったからです。ただ、「物事の上流に携わる仕事」という意味では、ちょっと違うのかなという感じでした。より上流の仕事に携われるのは国家公務員だと思って、今の選択をしました。

――国土交通省の面接のとき、なにをやりたいか聞かれませんでしたか?

片岡さん 「水環境をやりたい」と言いました。道路ではなかったです(笑)。

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生まれて初めての一人暮らしは、新鮮で楽しい

――最初の配属先として土佐国道事務所に赴任して、半年ちょっと経ったわけですが、どんな感じですか?

片岡さん 現在は高規格道路事業の積算業務を主に担当しています。公務員の仕事は細かい仕事が多いのですが、自分は大雑把な性格なので、最初の数ヶ月は苦労しました。今はその辺にも慣れつつあるという感じです。

たまたまですが、父親と同じ仕事をしているのは、感慨深いものがあります(笑)。これも偶然ですが、新規の建設事業を多く発注している事務所で、現場に近い工務課での仕事なので、非常に貴重な経験ができていると思っています。

あと、個人的には、生まれて初めての一人暮らしなので、なにかと新鮮で楽しいです(笑)。

――京都が恋しいとかはないですか?

片岡さん 全然ないです。ただ、将来どういう気持ちになるか、今のところはわからないです。

――今後も全国を転々とする生活が続きますが、その辺も大丈夫ですか?

片岡さん それも全然気になりません。一旦地元を離れた以上は、次は全国どこでも良いという気持ちでいます。

――そのうち霞ヶ関でも働くことになるでしょうけど、それも平気ということでよろしいですか?

片岡さん そこはちょっと不安です(笑)。なんせ、京都市の田舎のほうで暮らしてきたので、東京での生活をうまくやっていけるのかなと。ただ、順応力には自信があるので、なんとかなるだろうと思っています。

下水道という限られた分野で、インパクトのある仕事をしたい

――「これはやりたい」という仕事はありますか?

片岡さん 河川や下水道といった水環境系の仕事ですね。自分が勉強してきたことが生かせる業務に携わってみたいと思っています。大学院時代は湖や河川をフィールドに研究をしていたので、河川など水環境に関わる業務に携わりたい気持ちがあります。

また、高知県には四万十川や仁淀川など大きな河川があり、そのような河川と共存してきた歴史を聞くと、余計河川に関する業務に興味がわきます。

――研究したことを活かせる仕事としては、普通に下水道が一番じゃないですか?

片岡さん 私もそう思っています(笑)。あと、インフラの海外輸出に関する仕事も興味はあります。下水道は世間からあまり注目されていない分野なので、「社会に大きな影響を与える仕事」と言えるか微妙ですが(笑)、下水道という限られた分野で、大きなインパクトのある仕事ができたらなという思いはあります。

良い意味でも悪い意味でも転勤の多い職場

――国土交通省の仕事をアピールすると、どうなりますか?

片岡さん やはり、現場を持っていることが、国土交通省の魅力だと思っています。自分が関わった仕事が実際にカタチになることに、やりがいを感じています。良い意味でも悪い意味でも転勤が多い職場ですが、好奇心が旺盛な人には、向いていると思います。

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