レイトショーが上映中止に!大型ショッピングモールの排煙設備工事で起きた大騒音事件

レイトショーが上映中止に!大型ショッピングモールの排煙設備工事で起きた大騒音事件

大型ショッピングモールの排煙設備工事の現場代理人に

これは、大手空調設備会社Aに入社して2年目の話です。

10月初旬、私は上司から某県にある2つの大型ショッピングモールの排煙設備について、「地震対策工事の現場代理人」を担当するように頼まれました。

排煙設備とは、火災が起きた際に煙を吸い出す設備のことで、よく天井などに排煙口と呼ばれる枠が付いているのを皆さんも見かけたことがあると思いますが、そのヒモをひっぱると排煙口が開き、屋上のファンが回るという仕組みです。

排煙口の地震対策工事では、排煙口とダクトを吊ボルト4本で固定し、排煙口の真上のダクトについても、アングルで天井に後打ちアンカーで固定する必要があります。

担当した大型ショッピングモールの排煙口はすべて制御室で管理されており、各階で管理システムも別れていました。そのため、テナント内で工事する際は、その区域の排煙口が開いてもファンが回らないように解除作業をしなければならないのですが、その解除作業は、2次下請けの電気工事会社Bが担当していました。ちなみに、私の会社は3次会社です。

私は早速、図面や排煙設備をぬかりなく調査し、下請けのC社(4次会社)の作業者に、日時と場所、図面などを送りました。私の主な作業は、1〜4階の排煙口のチェックで手書きボートに記入したり、工事を優先させる区域を作業員に指示することでした。

店舗が閉まる21時に現場入りし、22時以降から作業が始まりました。

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KYミーティングで失敗を共有したのに

作業に入る前日、私はショッピングモールに赴き、B社、C社と一緒に打ち合わせをしていました。その際、KYミーティングでB社から「ある報告」がありました。

B社は、すでに1週間前にこのショッピングモールに現場入りしていたのですが、その際、解除作業を忘れたまま排煙口を開けてしまい、ファンが回りだすというトラブルを起こしていたそうです。

煙がないのに排煙口を開けてしまうと、ダクト内が真空になり、ダクトがペットボトルを潰したように凹んでしまいます。幸い、この時は素早く解除したのでダクトは無事だったそうです。

この話を聞き、私はすぐにこのトラブルの内容をC社の作業者に改めて伝えました。作業に入る当日、私とC社の作業者は、手回し式のリフトを準備し、排煙口付近で開ける手前まで準備をしていました。

同じ失敗を繰り返さないように、B社が解除作業を完了させたら、私に連絡がくる手筈になっていたので、手回し式リフトの上で待機していたのです。

と、その時。信じられないことが起きました・・・。

大騒音でレイトショーが上映中止に・・・

まだ解除の連絡がないのに、C社の作業者が勝手に排煙口を開けてしまったのです。さっき注意したばっかりなのに・・・!

B社が1週間前に起こしていたトラブルを、今度はC社が起こしてしまいました。当然、責任はその場にいた私と私の会社Aにも降りかかってきます。

運が悪いことに、大型ショッピングモール内にある映画館はレイトショーで上映中だったのですが、いっせいにファンが回り始めたため、大騒音で上映中止になってしまいました。

そして、チケットの賠償金は、私の会社Aが支払うハメに・・・。私は専務と社長から直々に大目玉をくらいました。

無断で排煙口を開けた作業者に「なぜ開けたのか?」と聞くと、「つい開けてしまった」と言うばかり。解除作業をせずに排煙口を開けると、どんな事態になるのか分からなかったそうです。

かくいう私も、ここまで大事になるとは想像もしていなかったわけですが、すでにB社が起こしていたトラブルについて、事前の打ち合わせが甘かったと深く反省しました。

いつものことで、つい気を緩めがちになってしまいますが、事前の打ち合わせやKYミーティングの大切さを身に染みて理解した現場でした。

ちなみに、私はその後、同じ県内にある大型ショッピングモールでも排煙口の地震対策工事を任されましたが、そちらは何のトラブルもなく、工事は無事完了しました。

KYミーティングを軽視すると、こんな痛い目にあいます。皆さんもご注意を。

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高校卒業後、大手空調設備会社に入社し、3年後に独立。家庭用ルームエアコンの工事を主に担当。その後転職し、法面工事の技術者として現在に至る。
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