施工管理の仕事が「スパイ扱い」される理由

施工管理の仕事が「スパイ扱い」される理由

日本人スパイ

私は今、海外の建設現場で施工管理として働いている。

どうやら私は、現場の一部の人間から、日本の親会社から送り込まれた「日本人スパイ」だと思われているようだ(笑)。

スパイとは大袈裟だが、この国の現場の現状や隠しておいてほしいこと、知られたくないことも全部ありのまま私の感じたまま、日本の親会社含め、現場で関わる会社や人全員に写真付きのメールで進捗報告を送っているので、それがスパイ行為のように思われているのだろう。

メールの内容は、現場の進捗の共有と是正すべき点などを、現地の管理者に指示した内容が中心で、日本人の施工管理者からすればごく普通の内容だ。

しかも、記載している是正すべき点(私の要求)は、作業員が到底できないような無理難題ではなく、これまた普通の内容である。ちょっと気を遣ってやれば、誰でもできるようなことばっかりだ。

「スパイ扱い」される理由は、おそらく今まで、これほど頻繁に日本人の管理者が現場に来て、色々見てまわり、細かいことを言われたことがないからだろう。

それだけでなく、この現場の偉い人間たちは日本人に知られたくないことがたくさんあり、品質の低さへの指摘や現場管理者たちへの指摘事項だけに留まらず、そのうち会社の経営に関わるような、日本人に知られたくない情報を暴露されるのを恐れているのかもしれない。

彼らは、会社の内部事情を日本人にバレないように”細心の注意”を払っているらしく、彼らが私のことを胡散臭く思ってるのは、こういったことも関係しているのだろうか。

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情報源

私が働いているこの国では、車移動がほとんどだ。

ドライバーたちは、いつ誰を乗せた、誰と誰が一緒だった、その人の行き先や移動時間などを仲間内のドライバーで連絡を取り合っていて、そのドライバーたちを通じて、私の耳には色々な情報が回ってくる。

別に求めていなくても、○○会社の上層部の人間が毎週何曜日にどこに集まってこんなことを話していた、という情報もすぐに入ってくる。

話の中には、事務所の様子や会社の中にいる人間たちの会話、金絡みの話(日本では横領ともとれるような内容)もある。ドライバーは「絶対秘密にしててくれ!」と言いながら、色々と教えてくれる。

自分の現場に関わる話であれば、私も行動を起こすことを考えるが、それ以外の情報については一切他の人間には漏らしていない。

ドライバーからの情報を100%鵜呑みにしてるわけではないが、話を聞けば聞くほど、現地の人の多くは、会社そのものの利益や存続を真剣に考えてはおらず、自分たちに回ってくるお金のことしか考えていないように思える内容ばかりだ。

嘘か実か

ドライバーからの情報で、「サブコンや資材の仕入れ先、重機の手配先は、すべて役職者の親族の会社で回している」なんていう、驚くべき話も聞いたことがある。

サブコンを選定する際は、金額や内容で選ぶのではなく、無条件で副社長の親族の会社が選ばれ、資材の仕入れ先は現場所長の兄弟の会社から、現場で使う重機などは副社長の兄弟の会社から手配しているという。

似たような話は日本でも聞いたことはあるが、この国でも同じようなことが起こっているようだ。親族の会社で仕事を回しているということは、本来会社の利益になるはずのお金が、巡り巡って彼らの懐に入っているのかもしれない。

彼らからすれば、それを嗅ぎつけられて、日本人社長や日本の親会社に言いつけられたら困る!と思っているに違いない。

そんなことを考えながらも、どこまでが事実でどこからが嘘なのか、スパイじゃない私には判断することもできないので(笑)、今はただ自分のやるべき仕事を着実に、かつ慎重にこなしていこうと思っている。

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