はじめに
今回は「工事点数UPの要点」というテーマについてお話したいと思います。一言でいうと「80点以上の取り方」ってことですね!
前提は、公共事業における土木工事で民間業者目線とします。工事の内容は道路工事、河川工事といわれる「一般土木工事」を例にしますね。
詳細テーマは2つになります。
- 考え方、本質編
- 具体的な方法編
そこで解答ですが、僕が実際に経験した内容をもとにお話していきます。
色々試行錯誤と失敗を繰り返しながら、国の直轄事業や都道府県の工事で複数の表彰を受賞した経験があります。
そのノウハウをもとにお話しますので、読んでいってもらえればと思います。
考え方、本質編
まず考え方、本質編からお話していきます。
なぜ工事点数は高得点が必要なのか?
まず最初にそもそもですが、「なぜ工事点数は高得点が必要なのか?」ですが、1つの理由があります。
それは、現在の入札方式が関係しています。
- 昔は「価格競争方式」:入札金額(価格)のみの競争、低価格になりがち
- 今は「総合評価方式」:価格と品質を総合的に評価する方法
なので、仕事(工事)を新規受注するには、総合評価方式で他社に勝つ必要があるのです。
今の時代、仕事を受注するためには低価格で入札するだけでは完全に時代遅れになっていっており、工事を新規受注するためには、価格と品質の両立が求められています。
上記のうち「価格」の部分はもちろん入札金額になりますが、「品質」はどのような基準で判断されているかをザっとまとめると下記のようになります。
会社の評価(点数)
- 経営事項審査
- 過去の工事実績と工事点数
- 重機保有台数等
- 社会貢献等
配置予定技術者(監理技術者)の評価(点数)
- 過去の工事実績と工事点数
- CPDS(継続学習履歴)
このような判断基準で、発注者は会社と配置予定技術者をランク付けしているのが現状です。
よって、価格と品質、両立できなければ新規工事を受注できない→売上が上がらない→経営が成り立たないというわけです。
このように、受注した工事点数UPを達成していかないと会社として経営が成り立っていかないので、死活問題になってくるのです。
公共事業の本質を考えると点数をつける側(発注者)の意図がわかる
つぎに、「なぜ公共事業は必要か?」を考えていくと、点数をつける側(発注者)の意図がわかってきます。
まず公共事業の本質は、この3つの本質があると定義されています。
- 国民の生活と国民の経済活動を支えるため
- 建設業者育成の側面
- 地域の守り手を確保
要は、多様な視点で建設会社を見ているってことになります。2番の業者育成の1つの判断材料として「工事点数」があります。そこでやっと本題です。
「工事点数」をつける側(発注者側)は、どのような建設会社に好印象&高評価を与えるか?
このポイントは2点ありまして、1点は発注者が公表している「工事点数の要領」に沿った評価になっています。
もう1点が重要かつ僕の主観ですが、主体的・ポジティブ・時代の流れを読んでいる。このような建設会社が、評価が高くなる傾向にあると考えています。
工事点数の高得点を獲得するには、
- 工事を主体的に取り組む姿勢
- 常にポジティブな姿勢
- 時代の流れに合わした考え
この3つの能力がともなっていない会社・技術者は、「工事点数の要領」に沿った工事を施工しても、全然工事点数が向上しないという負のループにはいっていきます。
工事点数の高得点を獲得するには
そこで工事点数の高得点を獲得するには、先ほど説明した「工事を主体的に取り組む姿勢」「常にポジティブな姿勢」「時代の流れに合わした考え」を常に意識しながら工事を施工することが必要になってきます。
結果、そうすることで点数をつける側(発注者)の人間から見て、高得点をつけなければならない状況をつくることになります!
徹底的な発注者目線
- 発注者が求める工事を施工する
- 間違っても批判しない。「発注者」側の責で○○が決定しない等の会話をしない。
発注者へ何も意見をしたらあかんのですか?
発注者の対応があかん時もあるでしょ?
僕の回答ですが、何も発注者へ意見してはダメと言っているのではないです。きちんと「メリハリ」をつけた対応をすればOKです。
発注者側に責がある場合は、理路整然と「ダメなものはダメです」と対応すればよいです。
具体的な方法編
次に、具体例を交えた深堀りのお話をしていこうと思います。僕の知識と経験をおりまぜながらお話します!
具体的な方法
まず基本なことは、他社との「差別化」を意識するです。
発注担当者は複数の工事及び事業を担当しています。他業者(ライバル)との差別化を意識しないと高得点はありえない。
工事点数UPに主眼をおいて要点をあげていきます。
徹底的な地元対応
もちろんすべてではありませんし、程度の差はありますが、工事をすると必ず苦情を言う人や工事に反対意見を言う人が出てきます。
そこで対策は、自分から工事説明等の話をしにいくです。苦情があった際は、極力タイムラグ無しに会いに行くことですね。基本的な姿勢として逃げていてはダメです!
その他、工事期間中にお祭り等があった際は積極的に参加しましょう。地元と交流する意識が重要です。
また、施工中に「工事見学会を開催」しましょう。開かれた公共事業をPRする意識ですね。地元だけでなく、周辺の幼稚園等も声をかけ、工事をPRしましょう。
そんなん言うてもめちゃめちゃ理不尽な人もおるで!
そんな時はどうすんねん?
僕の回答は、そんな状態は逆にチャンスです!!受注者だけで対応できない時は、発注者とタッグを組んで対応すればよいのです。
タッグを組んで、上手く対応できると発注者と受注者で「チーム」としての一体感ができるので、発注者としても高得点をつけてあげたくなります!
発注者も人ですから一緒に問題解決することで、他社(ライバル)と差がでますよ。事業主として発注者の一番の懸案事項は地元対策ですからね。チャンスです!
出来形管理
「自社管理目標値」について値設定の考え方は、達成のための方法、達成できなかった場合の対応にわけて考えて施工計画書に記載しておきましょう。
- 達成のための対応方法 例:主要工種は社内検査を適時行う
- 達成できなかった場合の対応方法 例:原因を掘り下げて検証し究明する
つぎに、「出来形値のバラツキ」については、工程能力図の規格値の50%以内で施工するように工夫しましょう。
例:±30 ⇒ ±15
規格値の50%以上100%以内になると、工事点数の評価が低くなるので要注意です。
コンクリート工
「コンクリート工」については、着手前に施工箇所周辺の過去の気温を調べることが必要です。これは、暑中及び寒中コンクリート対策の準備になります。使用する生コンプラントに問い合わせて、過去の気温を把握しましょう。
「コールドジョイント対策」については、運搬ルートと時間を把握しましょう。特に、生コン打設時期の行事や渋滞情報を事前に把握しましょう。お祭り等の行事予定の把握も重要です。
「暑中及び寒中コンクリート」については、使用セメントや外気温に適合した施工計画と施工が重要です。特に養生計画、その中でも「養生中の温度管理」が最重要になります。
「コンクリート打設」については、多層打ちについて、振動機が下層まで届いているかをどのように確認及び写真を撮影するか計画しておきましょう。
均等な締固めについては、高周波振動機へのマーキング等の計画及び写真撮影を計画しておきましょう。
重力式擁壁工の勾配部分の気泡の処理については、 専用道具を使用する等の工夫を計画しておきましょう。
レイタンス処理については、写真で粗骨材まで見えることが重要です。
設計照査
設計照査を細部までおこなうため、発注者へ詳細設計資料まで貸与してもらいましょう。計画時の詳細データが設計図書に反映されているかまで確認する必要があるためです。ごく稀に反映されていない時もあります。
特殊車両通行申請
夜間回送であっても、写真(出発・運搬中・到着)を撮影しましょう。特に、許可ルート上にある主要交差点付近で撮影できればベストです。しかし、安全上の問題もありますので、「無理」は禁物ですね。
建退共
一番最初の工事契約時、建退共証紙の購入は率でしないでください。工事全体の労務計画立案し、人数(出面)を算出して購入してください。その際のポイントとして、「率」の人数と「出面」の人数を概ね同じ人数にしておくと説得力が増します。
また、建退共の証紙は毎月受け払いをおこなって、その記録を残しておくようにしてください。
施工体制台帳・体系図
下請契約に注文書及び注文請書しかない場合は、必ず別添として「約款」をつけてください。本社及び支店に「基本契約書」がある場合はOKです。基本契約書がない場合、必ず約款を添付してください。
また、必ず労働者名簿を添付してください。令和3年に法改正があり、発注者も要点として見ていますので、注意してください。
下請け業者さんへの支払い
毎月の支払い、現金で支払っているかが必要になります。逆にいうと「手形」をいれないってことになります。まあ、このあたりの話は会社同士の内容になるので、従業員レベルではどうにもならない場合が多いです(=_=)
現場としては、毎月「出来形調書」を作成し、元請下請両者で内容確認しサインして記録を残してください。
材料養生
材料養生の例としては、鉄筋等の錆びやすい材料は「りん木」「シート」でくるみ外気に触れさせない等のことを現場でしていると思いますので、状況写真を撮影し記録として残してください。
創意工夫
最後の工事点数UPの具体的な方法は、「創意工夫」です。ここで他社(ライバル)と差別化を図っていきます。
創意工夫も色々ありますよね。アイディアを出す、コストをかける、時間をかけるなど。僕の一番のおススメは、手数で勝負!です。
基本的に、利益を考えると「コスト」のかけ過ぎはダメです。そこで、誰でもできて、かつなかなか達成できないことはなにか?
僕なりに考えた結果、「手数で勝負」にいきつきました。
1つ1つはよく聞く提案。しかし、その数が多くなれば話は別。通常の創意工夫は5つ程度、しかし手数で勝負の場合は20個程度。
20個もの創意工夫を提出すれば、さすがの発注者も熱意に負けて、点数を加点してくれる確率が高いって理屈です(^^)♪
おわりに
今回は、「工事点数UPの要点」というテーマについてお話してきました。以上が「80点以上の取り方」の内容でした!
かなり僕の主観及び経験がはいっていますので、すべての人と現場ですべてがマッチするとは思っていません。
でも、かなりの部分で参考にしてもらうと点数UPにつながっていくと考えていますので、参考にしてみてください。
【わかりやすく解説♪】工事点数UPの要点!【土木工事‗工事評定UP♪】 / YouTube(ジョウ所長の土木技術者サポートチャンネル)
※この記事は、『ジョウ所長のblog』の記事を再編集したものです。
点数の取り方なんてセミナーでも聞いたし、会社で上司から教えてもらいましたわ。