建設技術者はオールラウンダーになるな!工事係と設計係を兼務した結果…

1人でなんでもかんでもやらされる建設業界

以前、施工の神様で「個人の仕事量を減らさないと、働き方改革は「夢物語」 NIPPO所長が明かす現場マネジメント術」という記事を拝見した。

いくつか思うところはあるのだが、特に強く共感したのが、こちらのフレーズ。

「時間外労働を減らすには、「分業」しかない。(中略) 分業するには、属人的な仕事を減らす必要がある」

一理あるなと思った。1人の人間がこなせる仕事量には限度があるし、なんでもかんでもやれるというわけではない。

というより、なんでもかんでもやろうとすると、すべてが中途半端になる。質だって落ちる。手戻りも発生しやすい。手直しでさらに労働時間が増える。

これは、建設産業に携わる人にはよくみられるパターンではないだろうか。なんでもかんでもやらされる、という体験をした方もたくさんおられると思う。

施工管理技士、コンサル技術者、メーカー担当者、あるいは発注側監督員まで。会社や立場に関わらず、みんながオールラウンドプレーヤーとなっている。オールラウンダーになることを上層部も期待している。

しかし、前述のNIPPO所長が述べられている通り、それでは時間外労働など減るわけはない。この仕事はこの人しかわからない、という状況が出来上がってしまう。

そして、その人が別件に追われていたり、所用などで不在になると仕事は進まなくなる。担当者が動けるようになるまでストップする。そうすると、仕事は後ろへ後ろへとずれ込み、夜中まで残業してようやく終わらせる、なんて事態に陥るのだ。

非効率だなーと感じるのは、私だけではないだろう。

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工事係と設計係を兼務したら、エライことに

私は以前、ある現場で工事係としていくつかの工事を担当していた。同時に設計係も兼務していた。

メインは設計係として、工事に必要な設計検討や設計変更の対応をしていたのだが、ある時期から施工管理も担当してくれと所長より指示を受けた。そして施工管理も並行して担当するようになった。

すると、途端に帰れなくなった。


昼間は現場に出て進捗や品質などを確認したり、設計対応をしてまた現場に出たりしていた。夕方からはその日の現場作業の整理や翌日の準備、同時に設計対応や設計変更の対応をしていた。

そうすると、家に帰れなくなった。気づいたら終電、ということも少なくなかった。幸か不幸か、その現場事務所には仮眠室があったので、横になって寝ることができたのはありがたかったが。

私の仕事は、監理技術者や主任技術者からの指示で動いていて、図面作成や数量計算書、施工計画書の作成などいろいろな作業があって、属人的なことが多かった。

私が体調不良や用事のために休むと、その間仕事が止まるのである。引き継いでもらえるように上司には都度説明していたのだが、誰も引き受けてくれなかったのには参った。

ある時は、身内に不幸があり数日間休暇を取らなければならなかったのだが、その間まったく仕事が進んでおらず、期限はそのまま。仕事再開と同時にフルスロットルで、数日間事務所に泊まり込む羽目になってしまった。

仕事量を減らさなければ、働き方改革は絵にかいた餅

いかに仕事量を減らすか。個人にかかる仕事量を減らすか。これは働き方改革を進めるにあたって必要条件だ。仕事量を減らすことなく、あげく増やしておいて、残業するなとか休日出勤するなとか言われても・・・となるのが必然だろう。

時々(よく?)見られるのが、「思い付きで仕事を振られる」ことだ。過剰な品質を追い求め、客先から指示されていないのに、仕様書にも記載されていないのに、どんどん仕事を増やし、報告書や資料をかさ増ししようとする人が見られる。

部下はたまったものじゃないだろう。そのくせ、客先から評価されることが無いと、余計に虚しさが募る。

そんなことをしていたら働き方改革なんて進まない。絵にかいた餅になるだけだ。今ある仕事をこなすのは大事だが、「もう少し減らせるんじゃないか?」という視点で、業務全体を見ることも求められる時代なのではないだろうか。

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大手建設会社に勤務する30代の建設技術者。 工事費1000億円超の現場で、計画・設計等を担当しています。
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