またもや起きてしまった災害復旧業務での悲劇
先日、SNSを見ていたらこのような投稿が流れてきた。
「災害復旧に従事していた知り合いが自殺した」
これを見たとき、悲しくなったと同時に、『またか…』と思ってしまった。以前、とある地域の災害復旧業務で、同業者の方が自殺したという話を聞いたことがあったからだ。
その方は私も知っている人で、一緒に仕事もしたことがあり、人となりは知っていた。とても真面目で、仕事に取り組む姿勢が他の人とは違い、非常に熱心に仕事に励んでいた印象がある。発注者からの信頼も厚かったと聞いていた。
そんな方が突如として、なぜ自ら命を絶たなければならなかったのか、そうせざるを得なくなるほど追い詰められていたのか、誰も知る由もない。
被災した場所や建物が直るのは、当たり前ではない
災害復旧工事・業務のハードさは、世間の人にあまり知られていないのではないかと思う。自衛隊などによる救助活動はさかんに報じられ、感謝の意を伝える方は多いだろう。
一方で、災害復旧工事や業務にあたる建設従事者たちにスポットライトが当たることは、ほとんどない。専門誌や学会誌で取り上げられるくらいで、一般の方向けに報じられることは稀だ。それどころか、「そんなことにカネを使うな!」と言われることすらある。
多くの人は、「災害でやられたところが直るのは当たり前」と思っているかもしれないが、それは間違っている。ただでさえ人手不足な建設業で、かつ災害復旧までやらなくてはならないとなると、手が回らない状況がでてくる。
会社によっては、「災害復旧はやらない」と言っている会社すらあるようだ。大手のゼネコンでも、人手不足は顕著で、自社の社員だけでまかなうことは難しく、職員の半分以上を派遣社員に頼っているところもあると聞く。
さらに、地域によっては過疎化が進み、災害復旧の優先度が低くなっているところもあるのではないかと推測する。東日本大震災でも、場所によっては復旧があまり進んでいないところもあるそうだ。熊本地震も例外ではない。
請けなければ単価が上がって人手を掛けられるようになるのでは?
請けなければ売り上げにならないので会社がなくなります。
災害時などは、限られた資材を復旧工事に優先で割り当てられると思います。すでに請け負っている工事はおそらく中止して災害復旧優先の指導をお役所のほうですると思います。当然こんな状況なので単価も安いと思います。それで請け負わなければ・・・あとはわかりますよね。
早期の災害復旧は建設業者にとっても早期の現状回帰に必要なことだと思います。
受ける受けないは、営業サイドの付き合いに少なからず影響します。特に地方の中小コンサルでは、いわば談合や、お昼を食べながらどこの業者が入札に参加するかという”話合い”は頻繁にあります。ここで、災害を受けないとなると、将来の受注につながる情報を同業者間で共有してもらえなくなる可能性があります。発注者は関係していないですが、同じ地域の業者間で仲良くしていれば、みんな等しく業務を受注出来て幸せなんです。悪しき文化ですが、規模の小さい会社は、こういった付き合いをうまくしていかないとならないので、災害対応は受けざるを得ないというのが実情です。
記事にするほどの内容なのか…。
本州の西端の某県では、公共の入札の条件にに災害協定を結ぶことが不文律になってます。災害発生したら、災害協定に基づき災害査定などの対応をします。なので逃げられません。
平成30年豪雨を経験しました。自ら被災者になる可能性がある災害時に、なんで公務員の立場でもないのにわざわざ会社や地域のために災害対応しなきゃいけないのかとバカバカしくなり、建設コンサルタントを辞めました。
この業界はこのまま衰退するでしょう。でも建設コンサルタントの未来を考えたときには衰退するのが正しいと思います。希少価値が付けば、少しは世間様からの扱いも変わるでしょうし、単価なども上がるかなと。
電設(電気事業の用に供する電気工作物対象の工事)や通建(電気通信事業の用に供する電気通信設備対象の工事)にもこのような実態はありますね。電設・通建は建前上民間工事であるゆえに随意契約が許されるので、発注者と元請の結びつきが公共工事以上に強く、「発注者(一般送配電事業者とかNTTとか)が動員指示をしたら、元請は問答無用で人員を出さなければならない」という実態は公共工事以上に存在するのではないかと思われます。