謎の地下配管を切断!工事現場で起きた”予想外”の事故と4か月に及ぶ交渉の結末

この話は、私が出先機関の現場技術員として働いていた時の話です。ある日、現場立会に行く途中に電話がかかってきました。

当時、私は5現場(築堤護岸工事・樋門樋管工事・河川維持修繕工事など)を掛け持ちしていて、そのうちの1現場で事件は起きました。

「地下埋設物の管を切断してしまった」

その電話は、現場代理人からの電話でした。

「地下埋設物の管を切断してしまった。」

すぐに現場立会を他の技術員に代わってもらい、その現場に直行することに。

その現場は、築堤護岸工事で完成堤までできており、付属物設置工として階段と坂路を設ける工事をしていました。

現場に到着すると、配管(黒い線)が切れている状態でしたが、どこからきているのか分からない管でした。工事箇所の横には公園があり、公園に関係する線を切断してしまったのではないかと憶測が飛び交っていました。

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市町村の建設課も分からない

公園に関する配管かもしれないので、市町村の建設課にも来てもらい確認してもらいました。すると、その担当者は「分からない。うちではない。」と言って帰ってしまいました。

多分電気だろうと施工者が言うので、電力会社にも電話し来てもらいましたが、公園内は管理外と言われ、町の電気屋さんにお願いすることに。

町の電気屋さんに確認してもらうと、その切断箇所の配管を過去に市町村の依頼を受けて施工したと言うのです。

町の電気屋さん曰く、追加工事だったため、床掘りの設計は600mmだったが、設置したのが200mmのところで施工して、埋設表示シートを管の真上に置いただけとのことでした。それも約30年前の工事だと。

最新の占用台帳を市町村に取り寄せたところ、平面図には管の記載はなく、断面図はあるものの設計図通りに施工されておらず、結論として、市町村は現地を確認しないまま占用許可申請をして、許可する側も現地を見ずに(もしくは埋設物は確認できなかったため目で見えるところだけ確認して)、図面と申請内容が合っていたので許可してしまったのではないかと思われます。

そのまま5~10年毎に更新され続け、今回の切断事故につながってしまったというわけです。

復旧費用は誰が負担する?

国有地に市町村が公園などの公共施設を施工する際は、施工後に完成図面をもらっていますが、今回は完成図自体が間違っていたため、国は悪くないと言い切ることができました。

河川許認可業務からは、河川補助員も現地に行って確認することを、発注者から強く言われました。

問題は、復旧にかかった費用は誰が負担するかです。

地下埋設物の管を切断してしまった施工者側からは、埋設物はないと国・市町村が書面で押印ありで確認しているにも関わらず、今回のことが起きたため、「うちの責任ではない」と堂々と言われてしまいました。

出先機関の所長は市町村に支払わせるために、ありとあらゆる資料を作り説明をして、4か月ぐらい協議をしたものの、なかなか市町村が「はい」と言わないため、事務所副所長が市町村に出向くことに。

「今回はどう考えても、市町村が把握できていないからこんなことになった。復旧費用をみないのであれば法的処置をとるが良いか?」と言うと、最終的に市町村のお偉いさんは頷き、折れたそうです。

ちなみに、後で分かったことですが、切断してしまった配管(黒い線)は公園の照明配線だったそうです。

――工事をしているといろいろな問題と直面します。今回は断線でしたが、正直、防ぎようのなかった事故だと私は思っています。

皆さんの中で、同じような防ぎようのない事故を経験されたことがある方がいれば、ぜひコメントをお待ちしています。

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