【衝撃】55歳が30代になりすまし!?建設業界を震撼させた「替え玉受験事件」

建設生産物は一品受注生産。品質の事前保証が「資格」

終戦後、日本国土は焦土と化し、建設産業は国家復興の要でした。一方、ビジネスチャンスでもあったはずです。

国土交通省(当時は「建設省」)は建設業者の乱立と悪質行為を防止して業界の健全な発展を推進するために、昭和24年、建設業者の登録制度と施工技術上の管理をつかさどる「主任技術者」の配置を義務づけました。

さらに、昭和46年には、一定金額以上の工事には、より経験・能力の高い「監理技術者」の設置を義務付けました。その後、昭和62年には、監理技術者は1級施工管理技士などの技術水準が客観的に確認できる国家資格者に限定されました。

建設生産物は、一品受注生産であり、あらかじめ品質を確認することができません。その品質を担保するために、技術検定の合格者である施工管理技士の配置を求めています。技術検定は国家試験であり、建設業法上の技術者制度の土台を担っています。

万が一、この資格取得についての不正があると、技術者制度そのものの信頼が揺らぐこととなり、ひいては、建設生産物の品質や安全性に疑念の目が注がれることにつながります。建設業界の土台を揺るがす由々しき問題となります。

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替え玉受験事件は懲役刑の可能性も

大阪市内の資格学校が2008年度の施工管理技士の技術検定試験で、同校の男性受講生の受験申込書を偽造して替え玉受験をしていたことが判明し、大阪府警が資格学校の責任者Aと講師Bを有印私文書偽造の容疑で逮捕しました。

2008年2月、この資格学校の30代の受講生が1級建築施工管理技術検定試験に申し込む際に、受験申込書に講師Bの顔写真を貼って偽造しました。6月の学科試験では、受講生に代わって講師Bが試験を受けました。ところが、10月に実施する実地試験の前の書類審査で、講師Bの顔写真がどう見ても30代に見えなかったことから不正が発覚しました。講師Bは55歳でした。あつかましい偽造だったといえるでしょう。

国土交通省は、過去の受験申込書で講師Bの顔写真が使われていないかどうかを調べるように、試験機関である各財団法人に指示しました。調査の結果、受験申込書の顔写真が講師Bとなっている事例が次々と見つかりました

例えば、大阪府内の50代男性の1級土木施工管理技術検定試験の受験申込書に講師Bの顔写真を使用し、7月の学科試験と10月の実地試験を講師Bが替え玉受験をして合格していました。50代男性はこの資格学校の受講生で過去数回、試験に失敗。今回の替え玉受験で「合格」して、謝礼として数十万円を支払っていました。

替え玉受験は依頼人のほうに大きな利益のある犯罪なので、依頼人も同罪となり、「3か月以上5年以下の懲役」に処される可能性が高いと言われています。

受験申込書の顔写真は「あとから変更できない」

その後、国土交通省は替え玉受験を防止するために、施工管理技術検定試験の合格者に交付する「合格証明書」に”受験時の顔写真“を貼付するという措置をとりました。

現在、一般財団法人建設業振興基金の「施工管理技術検定」のサイトにおける「提出写真について・顔写真撮影についての注意事項」では以下のように掲載されています。

「ご提出いただく顔写真は、試験当日の本人確認、出欠確認に使用します。また、合格者へ交付される技術検定合格証明書に印刷される顔写真としても使用します。このため、本人確認が容易に行えるもの、合格証明書に印刷されるものとして適切な顔写真であることが求められます。」

とあり、続いて『あとから顔写真を変更することはできません。』と朱書きされています。

このように替え玉受験の防止対策が実施され、有資格者に対する信頼が盤石のものになっています。

合格証明書は建設業界人の顔にして、品質を担保する事前保証です。受験票の写真はぜひ、すでに合格したような、自信に満ち溢れた、5年後の更新まで使う”業界人映え(?)”のする画像でキメてください。

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