平成28年度 1級建築施工管理技術検定 実地試験の合格者数は8,687人
2017年2月3日、「平成28年度 1級建築施工管理技術検定 実地試験」の合格発表があった。実地試験の受験者数は19,045人、うち合格者数は8,687人だった。合格率は45.6%となり、昨年度の合格率37.8%を上回った。
さっそく「平成28年度 1級建築施工管理技術検定 実地試験」に見事合格した斉藤厚志さんに、1級建築施工管理技士の資格取得を目指した理由や勉強方法、施工管理技士としての働き方、けんせつ小町(女性建設技術者・技能者)への期待などについて話を伺った。
1級建築施工管理技術検定の試験勉強は「毎日必ず1時間」
施工の神様(以下、施工):まずは「平成28年度 1級建築施工管理技術検定 実地試験」の合格おめでとうございます。働きながら試験勉強するのは大変でしたか?
斉藤厚志(以下、斉藤):1級建築施工管理技術検定の試験勉強は、仕事を終えて帰宅後、必ず1時間を目標に勉強しました。どんなに遅く帰宅しようが早く帰ろうが、休みだろうが勉強しました。必ず1時間と決めれば使命感が湧き、やる気が出るものです。
施工:1級建築施工管理技士の資格を取得しようと思った理由は何ですか?
斉藤:現場監督を務めるための資格として、必要最低限の条件・ステータスだと思い、建設業に就いたときから、1級建築施工管理技士の資格取得を自分に定めていました。
施工:土木施工管理技士ではなく、建築施工管理技士を選んだ理由は何ですか?
斉藤:建設業に就いた最初が木造建築で、建築の経験のほうが多かったからです。物作りの点からいえば土木にも興味があり、土木工事の職人の仕事などを経験したこともあります。2級土木施工管理技士の資格試験にも合格しています。
実は一時期、建築の会社を辞めて、土木工事の会社に就職していたこともあります。建築が嫌になったわけではないのですが、勤務先との考え方の違いなどをキッカケに少し建築から離れ、自分を見つめ直そうと思いました。離れて気付いたのは、やはり建築での現場監督が自分には一番呑み込めるということでした。今は建築の現場監督に戻っています。
S・RC造を経験するためゼネコンへ転職
施工:そもそも斉藤さんが建設業に入った理由は何ですか?
斉藤:私は工業高校で機械系の製図CADを勉強していました。設計や製図に興味があり、1枚の紙に自動車の展開図を書いて切り取り、それを折り曲げて作成したペーパーカーで賞を貰ったこともありました。建設業に入った理由は、ゼロから自分の想像力を活かし完成まで至る仕事をしてみたいという気持ちが強かったからです。
施工:建設業界に就職したときの、最初の業界の印象はどうでしたか?
斉藤:男気あふれる職人が集まる業界だと思っていたので緊張しました。でも、ほとんどの方が優しく、面白い方たちなので、すぐ馴染めました。今では繊細な作業だったり、大胆な作業だったり、建設業そのものが自分自身に例えられるくらい呑み込んでいます(笑)
施工:斉藤さんはこれまでに、どんな工事、どんな仕事に携わってきましたか?
斉藤:木造の新築工事やリフォーム工事、鉄骨造の新築工事、木造の耐震診断や補強工事、店舗改装工事などの現場監督、工事管理です。リフォームプランナーとして生活空間のアドバイスなどもしました。大工や鳶などを経験したこともあります。
木造建築の現場監督、工事管理の経験が中心ですが、好奇心が旺盛なので、建築のあらゆる知識を身につけたいと思っています。特にS造、RC造の経験を増やしたいと思っています。
近々、建設技術者としてのスキルアップを図るため、大きな現場を経験できるゼネコンへ転職する予定です。木造以外のS造、RC造の経験を積むためです。1級管工事施工管理技士、1級電気施工管理技士、1級建築士の資格取得も目指したいと思っています。
施工:周囲を見ていて、施工管理技士の転職頻度は多いと思いますか?
斉藤:自分で知っている範囲では多いと思います。特に最近は大手企業と中小企業、都心部と地方との格差が広がっているため、売り手市場の今のうちに転職しようとする動きもあると思います。
自分が管理した現場はすべて自慢したい!
施工:建築施工管理の仕事で特に注意していること、失敗談などはありますか?
斉藤:いつも気を配るのは工事中の近隣からのクレームです。音の問題や振動など、建築にはさまざまな苦情の火種が潜んでいます。歩行者が近くを通る現場では、二次災害や苦情が起こらないように、安全対策に神経を使います。また、台風シーズンの新築工事や真冬の外部塗装工事など工期が限定されている現場も苦労しますね。
施工管理での大きな失敗談としては、顧客の要望が下請業者にうまく伝達できていなかったため、作業が出戻りになってしまったことがあります。なるべく失敗したくないですが、失敗から直接学ぶことのほうが自分自身の経験にもつながるので、次回は同じ失敗をしないように失敗をメモしています。
ただ自分が施工管理を担当した現場は、たとえ嫌な思いをしたとしても、全て自慢できる現場です。あたかも自分の作品のように良い建物を造るということは、施工管理技士としての醍醐味であり、胸を張れる仕事だと思っています。
施工:施工管理技士として、特に重要なスキルは何だと思いますか?
斉藤:現場監督はコミュニケーションが重要です。私も現場監督の業務をずっと続けてきた中で、色々な人とコミュニケーションをとってきました。コミュニケーション能力があれば、現場管理も上達しますし、新しい環境、新しい現場や職場でもすぐに馴染めます。
もちろん施工に関する知識も重要です。施工を熟知していれば、CADも上手にできると思っています。
施工:ちなみに、斉藤さんはCADソフトは何を使っていますか?
斉藤:JW_CADを使用しています。操作がシンプルなので簡単な施工図や作業形態図を描くのにとても便利です。
■1級建築施工管理技士 斉藤厚志さんの1日の業務スケジュール(直近の現場)
13時 | 起床 |
17時 | 自宅出発 |
19時 | 事務所到着、書類関係整理 |
21時 | 現場に出発 |
22時 | 現場到着、夜礼開始、現場管理 |
4時 | 作業終了、翌日の作業打合せ |
5時 | 事務所に到着、書類及び工事写真作成 |
6時 | 勤務終了 |
8時 | 帰宅 |
建設業界が今まで目をつぶっていた部分
施工:建設業全体の高齢化に伴い、施工管理技士の有資格者の大量退職が懸念されている今、建設業界で官民を挙げて若手就業者を増やそうとしています。若手を増やすためには現場でどんな対策が必要だと思いますか?
斉藤:昔は「勝手に学べ!」という業界でしたが、今はこちら側から教えてあげることが重要だと思います。建築の良いところや悪いところをよく説明し、理解してもらったうえで責任感を持って就職してきてくれれば、建設業に良い若手技術者が増えていくと思います。
施工:けんせつ小町が増えていることについては、どう思いますか?
斉藤:私の経験してきた現場では、あまり増えている実感はありませんが、女性の建設技術者はとても魅力的だと思います。けんせつ小町が増えれば、建設業界が良くなると思います。今でも建設現場は男性の考え方が染み付いていて、柔軟に対応出来なかったりしています。新しい風によって、今まで目をつぶっていたところも洗い出せるのではないでしょうか。
施工:施工管理技士の受験資格要件の緩和などで施工管理技士の資格取得を目指す若い方も増えると思います。最後に、そうした方々にアドバイスをお願いします。
斉藤:現場で「根気負けしてはいけない!」などと気張る必要ないと思います。わからないことは素直に聞いて見るのもアリだと思います。そういう心持ちも魅力であり、強さだと思います。ぜひ建設業で一緒に働きましょう!
施工:最後にもう一つ、施工管理技士は忙しいと思いますが、休日の過ごし方と趣味を教えて下さい!
斉藤:趣味はビリヤードです。夏は近くの海水浴場で磯遊びをしています。休日は子供とゲームをしたり、公園で遊んだりしています。仕事のことはあまり考えないようにしていますね。
施工:ありがとうございました!
人材採用・企業PR・販促等を強力サポート!
「施工の神様」に取材してほしい企業・個人の方は、
こちらからお気軽にお問い合わせください。