建築施工管理の中途採用面接で使える”とっておきのアイデア”

中途採用で役立つアイデア

友人が勤めている中堅のゼネコンで、中途採用で2~3人施工管理者を入れたいと思っているという話を聞いた。

どんな人が欲しいのか以前に、応募があるかどうかさえ分からないが、技術者不足とは言え、誰でもいいという訳にはいかないし、かと言って履歴書や職務経歴書だけでは何も分からないからなぁ!と言っていたので、「私にとっておきのアイデアがある!」と伝えた。

複数の中途採用の応募者の中から会社に合う人材を選択したいと思うなら、このアイデアは必ず役に立つ。施工管理経験者の中から適任者を選ぶには、絶大な効果がある方法だ!と話した。

どんな方法かと言うと、現場の様々な写真を見せて、それに関してどう思いますか?と問い掛けることだ。面接で当たり障りのない問答を繰り返すより、はるかに有効な手段と言える。

相手の反応を見聞きしながら、その内容と共にこの人が会社に合うのかどうかの判断をしていく。現場のどんな写真でもいいのだが、経験豊富な人ならどんな写真からでも色々なことに気付き、あるいは似たような事例や改善策を述べる人もいるだろう。

経験がさほどない人でもその人なりの話をするだろうし、話の内容で知識や経験の度合いを探るよりも、話し方・伝え方・喋り方・表情から、現場での同僚や作業員や若手社員への対応など、知識だけではない総合力を見ることができる。

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現場の写真で分かること

現場の写真を数枚用意し、その写真の意見や感想を喋ってもらい、徹底的に聞き役にまわり、人間性含めた情報を感じ取ることが目的だ。その際、複数人数を同時に面接し、それぞれの協調性や自己主張の程度などを観察するのも一つの手だ。

例えば、捨てコン打設後の墨出しの写真からは、建築の一番基本の基礎の通り芯が写ってると思うので、通り芯の打ち始めが一番敷地角の境界に近いところが最も大切で、その位置から起点を広げていくのがもっとも一般的なやり方だ!などの話が出るか、出ないか?

ただ通り芯の順番通りに打てばいい訳ではない!という話も出るだろうし、墨出しの人員や機械や自分の経験などを話す人もいるだろう!写真から周囲の様子や近接した建物との関係、メイン道路からの搬入経路やそのために必要な警備員などの話も出るだろう。

逆に寡黙な人もいるだろうから、それは主要なことを聞いていけばいい。たくさん喋るからと言って優秀とは限らない。面接の場でいかに自分をアピールするかだけを考えている人もいるからだ。

基礎配筋・型枠・生コン打設は建築工事のメインの作業なので、聞きたいことは多いだろうが、あえて鉄筋・型枠・生コン打設の3点に絞って写真を見せ、質問する。どんなことを言うのか、肯定的な意見を述べる人もいれば、否定的なあら探しをするような人など色々な人がいるだろう。

最後は、建具・内外壁の下地処理・床仕上げの養生などの話が出るような写真も用意したいところだ。

採用基準は何か

ただし、この選考方法は経験のある中途採用の人にしか通用しない。経験者であれば即戦力を期待するだろうし、新卒であれば伸びしろを期待する。

ゼネコンが一番欲しがっている施工管理者の経験者となれば、技術者不足のため、つい職務経歴書に書かれた内容を頼りに、よほど決定的なNG事項がない限り最初から採用の方針で考えるだろう。

面接時に一番考えなくてはいけないのは、知識の豊富さや経験よりも、その人がその組織に入った時に組織のやり方や組織の常識、組織の工事の進め方で周囲と上手くやっていける人なのかということだ。

ゼネコンであればどんな建築をメインにしているのか?会社の方針や仕事の進め方に対応できる人なのか?公共工事を手掛けているのであれば、法令順守の気持ちも大切だし、比較的小規模のビルやアパートや住宅を手掛けているのであれば、施主との対応や設計者との細かな打ち合わせ、その結果を現場の職人に伝わるように話ができる能力を持ち合わせているかも必要だ。

一般的な建築の施工管理の経験者より、その会社が手掛ける建築に合う経験のある施工管理者のほうが役に立つ。応募者がそれまで所属してたゼネコンと規模や仕事内容、同じような品質の建築をやってきたのであれば雇う側も雇われる側もそれほどの意識の差はないが、大きく異なる場合、それぞれが持ってる常識が違うために食い違いが起こる可能性もある。

また、一人現場で施工管理した経験がある人とない人とでは、現場の進め方の知恵や仕事の段取りが全く違う。雇う側が一人現場でやって欲しいのにと思っても、その経験がなければどんな優秀な人でもいきなりは難しい。

会社の方針をハッキリさせ、その要望に沿った人かどうかの判断が、知識や経験や資格以前に大切になってくるが、面接する側も人間で、常に客観的で公平な判断などできる訳がない!当然主観が入り、個人の好みもある。

私が思う一番の判断基準は、分からないことは分かりません!知らないことは知りません!と言えるかどうかだ。その話のきっかけとして、現場の写真を活用するのはアイデアとしては悪くない方法だと思う。

読者の皆さんが思う効果的な選考方法があれば、コメントで教えてほしい。

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アジア、アフリカなど海外の建築現場で長年、施工管理に従事している。世界中で対日感情が良好なのは、先人たちの積み重ねである。日本人として恥ずかしくない技術者でいたい。
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