静岡県浜松市で建設・不動産事業を展開する株式会社LIFEFUND(白都卓磨社長)は2月2日、都内にて工務店経営者向けのAI経営コミュニティ「建築AI経営研究会」の第2回会合を開催した。会合には、業界の未来を見据える経営者たちが集結。目標に掲げるのは、AIによる圧倒的な業務効率化が生み出す「従業員一人当たり売上高7,000万円」という驚異の数字だ。業界平均の約2.5倍、この「高生産性産業」へのリメイクが、今まさに始まろうとしている。
中小工務店が抱える「ノウハウ不足」と「何から手をつければいいのか」という迷い。それを解消するのは、机上の空論ではなくLIFEFUNDが自社で実践してきた「生きたノウハウ」である。第1回会合では参加企業の6割が即入会を決めるという異例の反響を呼んだ。「現場目線のノウハウ」「すぐに実務に活かせる」——この圧倒的なリアリティこそが、本研究会の最大の武器といえる。
第2回となる今回の会合では、LIFEFUNDの白都社長が登壇。その講演内容をもとに、現在の工務店業界が置かれている危機的状況や、AI導入の必要性を紐解いていく。
AI活用で、建築業界を「高生産性産業」にゲームチェンジ
多くの建築業界の経営者が出席した、「建築AI経営研究会」の第2回会合
建築業界は国内GDPの5~6%を支える巨大な社会インフラだ。しかしその内情は、深刻な人手不足と低迷する生産性の板挟みにあえいでいるのが実態だ。若手の採用難や高騰する採用広告費、さらに法改正に伴う業務負荷の増大など、課題は山積している。現在、工務店業界において「一人当たり売上高5,000万円」は、経営が極めて健全とされる優良企業のボーダーラインだ。だが、この基準を軽々と塗り替える挑戦がすでに始まっている。
AIを単なる効率化の道具に留めず、管理・営業・設計・工務の全工程へ導入することで属人化を打破する。品質とスピードを極限まで高め、一人当たり売上高7,000万円を叩き出す「AI経営モデル」への転換を目指すべく、同研究会は建築業界を高生産性産業へとリメイクする実務型コミュニティを形成している。
研究会の真髄は、その圧倒的な「即戦力性」にある。業界特化型AI事例のプラットフォームでは、LIFEFUNDが実務で駆使するプロンプトや解説文、活用動画を惜しみなく公開。実際の事例まで網羅したこの試みは日本初だという。講義の内容も導入事例に留まらず、経営者のマインドセットから評価制度への反映、実務への落とし込みまで多岐にわたる。さらに新入会員は、既存会員の成功事例から学び、交流を通じて知見を深める場も用意されている。今後はAIを活用する工務店の社長やリフォーム会社の社長など多彩なゲスト講師の招へいを予定しており、研究会の進化は止まらない。
この研究会を牽引するのは、注文住宅ブランド「ARRCH」や「PG HOUSE」を展開するLIFEFUNDだ。社員62名、年間114棟の実績を誇る同社は、AIを経営の中枢に据えることで驚異的な成長を遂げてきた。2016年から約10年間で売上高は実に13倍へと急拡大。その急成長を支えながら利益率を維持できた最大の要因こそが、一人当たりの生産性を徹底的に向上させた点にある。
主宰する白都卓磨社長の動きも軽やかだ。ホリエモンAI学校株式会社とフランチャイズ契約を締結し、業界特化の『ホリエモンAI学校 建築校』を開校するなど、工務店のトップとして自ら最前線で情報発信を続けている。Youtubeで堀江貴文氏と対談した際にも、「アナログな建築業界だからこそ、AIで劇的に変わることができる」と両者の意見は完全に一致した。
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「AI不採用は、ゆるやかな倒産を選ぶ」——白都社長が突きつけた不都合な真実
白都社長は冒頭、「AIを活用しない選択は、ゆるやかな倒産を選択しているのと同じ意味だ」と、聴衆を震撼させる言葉を放った。そして、AI導入における最大の壁は、一部の人間が使うだけで終わってしまう「組織浸透」の不全にあると指摘する。仮に全社員へアカウントを付与しても、実際には数名しか動いていない。そんな「生産性の限界」に直面する企業は後を絶たないのだ。
精度の低さに失望して元の手法へ回帰する事例や、日々の業務に追われ「学ぶ時間などない」と悲鳴を上げる現場の声も多い。さらに、経営者がAIを魔法の杖のように考え、「使えばわかる」と丸投げすることで、過去のIT導入と同じように失敗に終わってきた苦い実態もある。このトップと現場の深刻な乖離こそが、今、建築業界が向き合うべき最重要の経営課題といえるだろう。
そこで白都社長は、AI導入には超えるべき「5段階のフェーズ」があると提唱する。
- 認知・個人的利用
- 特定部署利用
- 全社標準化
- 独自データ統合
- AIエージェント
レベル1は、ごく一部が個人的に試行錯誤する段階で、社内ルールすら存在しない。また、経営者から漏れる「セキュリティへの懸念」も、その実態は個人アカウントで機密情報を扱う「シャドーAI」のリスクを孕んでいる。これこそが、組織として最も脆弱な状態だ。
レベル2に進むと、営業部や選抜チームなど、特定の部署で活用の火が灯り始める。そしてレベル3に至って初めて、全社員にアカウントが正確に付与され、ガイドラインの策定や学習環境の整備が完了した「組織的活用」へと進化する。
レベル4は、自社の独自データをAIが読み解く領域だ。例えば、Googleドライブ内の顧客情報や図面へAIがアクセスできる環境の構築こそがレベル4への第一歩となる。特に、個人の使い勝手を社内で共有し、知見を組織の資産へと転換すること。これがレベル4に到達するための絶対条件である。
最終形のレベル5は、AIエージェントと人間が共生する状態を指す。これは、従来の人間中心の業務フローを「AI前提」で根底から再構築する組織の完成形だ。しかし現実には、約7割の企業がレベル1〜2で足踏みを続けている。
AI活用のロードマップ
AIの組織浸透を阻む「経営者と社員の利益相反」
建築業界において、AI活用がレベル3へと進めない背景には、単なるスキル不足ではない巨大な壁がそびえ立っている。それは、経営者と従業員の間に横たわる「利益相反」という、組織構造上の極めて自然な現象だ。経営陣が「生産性の向上」や「利益の最大化」を金科玉条に掲げ、目の前の宝の山を使わぬ社員に憤慨する一方で、現場の視点は全く異なる次元にある。すなわち、「効率化したところで早く帰れるわけでも、給料が増えるわけでもない。ただ追加の仕事を渡されるだけだ」という本音である。
AIの組織全体に浸透しない理由とは?
こうした現場の切実な現実に目を向けぬまま、ボトムアップでの推進に期待するのは、白都社長に言わせれば「夢物語」に過ぎない。AIがもたらす利益の非対称性ゆえに、現場にとってAIは「損」でしかない構造となっているのだ。ゆえに白都社長は断言する。「AI推進は経営マターであり、経営者の責任である」と。
経営者が「使う理由」を明確に提示せず、ただ放置すれば、社員は自衛のためにAI活用を「隠蔽」し始める。仕事が増えるのを嫌い、AIで業務を楽にした事実を隠すことは、社員の立場からすれば極めて合理的な判断なのだ。この「こっそりAI」の蔓延は、日本中の組織で人知れず増殖していると推測される。
社員の立場からするとAI導入により「仕事が増える、給料が変わらない、評価されない」などメリットがない。
しかし、このシャドーAIが孕むリスクはあまりに重い。
- 顧客情報や未公開プロジェクトがAIに学習され、外部へ漏洩する恐怖。
- 業界規制や著作権法に抵触し、法的責任を問われる危うさ。
- AIの「もっともらしい嘘(ハルシネーション)」を鵜呑みにし、誤情報を信じ込む危うさ。
- 誰が何を入力したのか、企業側が一切追跡不能という管理の不在。
これらに加えてさらに根深い問題が、「ナレッジの私物化」である。個人の生産性は上がっても、そのノウハウは組織に共有されず、個人の内に閉じてしまう。この壁を崩すには、単なる掛け声ではなく「使わないと損をする」環境整備が不可欠だ。具体的には、人事評価にAI活用を組み込み、「頑張っている人が報われる制度」へと作り変える決断が求められる。
つまり、AIによる生産性向上で創出した利益は、社員へ還元する方針を明確に打ち出すことが肝要となる。これを実現するためのレベルアップへの道のりは、「目標設定」「事例提出」「蓄積」「可視化」「評価反映」の5ステップで構成される。
第1の「目標設定」で明確なゴールを定義して全社で共有し、第2の「事例提出」では各社員が具体的な成功・失敗事例を提示する。ここで重要なのは、品質は問わず数の多さを促すことだ。そして第3の「蓄積」でデータを組織の資産として一元管理し、第4の「可視化」で現状をリアルタイムに把握・分析する。最終的に第5の「評価反映」で成果を正当な評価へ繋げ、次のアクションへと促していく。この循環こそが、建築業界を次なるステージへと押し上げる唯一の解となるだろう。
仕組みの全体像
市場から退場しないためのAI経営とは
最後に白都社長は、AIに取り組む真の理由を「売上を上げるためではなく、市場から退場しないため」と、切実かつ強力な言葉で訴えた。実際、今台頭しつつあるAIネイティブな競合他社は、既存企業の10分の1、あるいは100分の1という驚異的なコストでサービスをローンチし、高速で事業検証を繰り返している。この圧倒的な利益率とスピードを前に、旧来の事業構造で対抗し続けることは、もはや不可能に近い。
「競合が、自分たちの築いてきたシェアを圧倒的な力で奪いに来る未来はすぐそこにある。あらゆる業態において、現時点でAIを導入しない理由はどこにもない」と白都氏は警鐘を鳴らす。その言葉が示すAI活用の意義は、単なる効率化の推奨を超え、企業の生存を懸けた必至の防衛策である。
今こそ、人間とAIの役割分担を劇的に再定義する時代が到来したといえる。人間の真の仕事とは、もはや現場作業の延長線上にはない。AIの潜在能力を極限まで引き出し、最大化させるための「環境」を整え、誰もが迷いなく活用できる「制度」を設計することにあるのだ。白都社長は、その重要性を力説し、建築業界の新たな夜明けを示唆した。
次回の建築AI経営研究会の開催内容は次の通り。
第3回建築AI経営研究会
開催日:2026年3月30日(月) 13:00-17:30(開場は12:30)
対 象:建築業界に属する経営者のみ
会 場:ビジョンセンター東京京橋 8F 809
参加費:初回参加無料
定 員:120社
懇親会:あり 18:00~20:0
内 容:第3回テーマ「営業×AI」、経営者様向け建築AI経営ノウハウ共有、生成AI実践ワークショップ、建築AI特別講師による講演、経営者交流会など
申込み:https://kenchiku-ai.com/733-2/
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