現場を困らせる現場監督いませんか?
現場監督や現場所長というのは、必ず現場に一人はいるものだが、同じ職業の人間とは思えないほどその人間性はさまざまだ。偉そうな現場監督もいれば、少し卑屈に見えるくらい腰の低い現場監督も存在する。
職人にとって必ずしも「いい人」がいい現場監督ではないが、現場のことを第一に思うその思いは皆同じはずである。しかし、時には常識破りの困った現場監督が紛れ込んでくることもあるのだ。
「法令第一!現場は第二!」工事ストップ所長
現場の人間にとって、少しでも作業を進めたい、工期を短くしたいと思うのは現場監督も職人も変わらない。しかし、世の中にはとにかく作業を止めたがる所長というのがいる。
法令が大好きで、少しでもトラブルや法令違反があると、すぐに全作業をストップさせたがるのだ。人が暮らしているところで工事を行えば、多かれ少なかれトラブルがある。それは居住者クレームであったり、労災事故であったり様々であるが、よっぽどのことがない限り、普通は工事を止めることなどしない。
しかし、この止めたがり所長にかかれば、カッターで手を切る職人がいれば、全作業を止めて集合、注意喚起となる。冬場の朝イチに塗装作業を行おうものなら、温湿度計をその場へ持って行き「温度が足りない、気温が上がるまで作業中止だ」と言って、日の差し込む時間まで待ちぼうけを食らわされるハメになる。
法令を守ることはもちろん大事であるが、そのために作業がとまるのは本末転倒ではないだろうか。
雨にビビリすぎ!雨嫌い所長
梅雨時や台風の時期に現場を悩ませるのが雨天である。雨が降っていれば作業場所を変えて作業を行ったり、雨とは関係のない作業を行ったりする場合がほとんどである。雨の具合や作業内容は現場監督次第ではあるが、雨が降ったら一切作業禁止というのは頭が固すぎるのではないだろうか。
しかし、そんな雨嫌いの所長も実在するのである。そもそも雨が降っていても、湿度や温度によっては法的にも作業ができるとされているし、梅雨時にまったく雨が降らない、あるいは降水の可能性がない日など片手で足りるほどしかない。業者からすれば雨が降ったのであれば、「雨がかり」しか残っていない現場の職人を他の現場の作業に行かせたいし、雨で働けない日もある職人にとって頭の固い現場監督は困り者である。
せめて、てるてる坊主を現場事務所に掛けておけば、いくらかは愛嬌もあるというものである。
お前の仕事は何なのだ!段取りができない所長
日当で給料が支払われる職人にとって、無駄な移動や突然の作業中止は死活問題。呼ばれたから行ったのに、作業箇所の作業許可が取れていない、必要な材料が届いていない、他の作業とかぶってしまっているというのは監督失格ではなかろうか。段取り命の現場において、職人の無駄で失うものは大きい。結局、作業が押して増員を要求されたり、無茶な作業量を押し付けられたりして、無能な所長の尻拭いをしなければならないのは職人だからだ。
ひとつの作業が遅れるだけでも工期や他の工程にも影響することが分かっている職人が無茶をすれば、労災事故も起きやすく、お客さんや他の職人にも迷惑がかかってしまう。段取りは現場監督の責任、すべての難事を避けるためにも段取りだけはしっかりと組んでいなければならない。それができないのであれば、もはや現場監督など名乗るべきではないし、給料なんてもらうべきではないとすら私は思う。すべてを管理する立場であるからこそ、その責任は重いのである。
現場監督などと偉そうな立場にたってはいるが、あくまでも現場で実際に施工を行うのは職人であり、監督はサポート役に過ぎないと思っている。若い現場監督でさえ、立場を嵩に着て偉ぶっているのも見かけるが、そんな奴には同じ立場の私でさえ、「じゃあ同じ作業があなたにできるんですか?」と言ってやりたくなる。
現場第一はもちろんだが、それは職人第一であることとほとんど同義ではないだろうか?