苦労した夜間工事での水道管の入れ替え工事
とにかく、この工事は苦労しました。国道沿いの歩道に入っている「古い水道管」を撤去して、耐震型の水道管に入れ替える工事。国道沿いの工事という事もあり、昼間に車線の規制はできません。当然、夜間工事です。
水道管を入れ替えるだけではなく、既設の古い水道管を撤去しながらの作業。全体の工事延長は約600メートルで約50日かかりました。平均の進捗を計算すると、1日12メートル。当然、その日の施工箇所によって工事の進捗は異なります。配管が直管ばかりで簡単な箇所の施工であれば伸びますが、それでもこの工事の最高の進捗は40メートルでした。掘削や配管が難しい箇所では、1日5メートルしか進まない日もありました。
水道管工事の行く手を阻む、複数の障害物
造成工事なんかで水道管を新設するのであれば、地中に障害物がないので、1日100メートル敷設する事も可能です。しかし、施工箇所は国道沿いの歩道です。当然、地中は障害物だらけ!わずか幅員2メートルの歩道の中にガス管、NTTの菅、電気菅、それから既設の水道管が、複雑に絡み合うように埋設されています。
一番厄介な物が、不明菅です。多分ですが、現在は使用されていないでしょう。しかし、使われていないとしても、切断するわけにはいきません。そういう不明菅が一番の障害物となって工事の行く手を阻みます。
さらに、謎のコンクリート構造物。昔の建物の基礎なのか、機械で撤去をしようとしても、ビクともしません。謎のコンクリート構造物と、歩道の縁石の間に、かろうじて隙間があったので、その隙間を狙って水道管を通す事にしました。難しい配管になりましたから、当然、時間はかかります。
NTTや、ガス管が障害物となる場合もあります。土木業界の皆さんはご存じでしょうが、NTTやガス管を損傷させると、とんでもない事になりますから、そんな箇所の掘削は機械ではできません。人力による掘削となります。これはまた、大変な体力と時間がかかるのです!極寒の夜中に!
工事の進捗が悪くて儲からない!
工事の進捗が悪いという事は「儲からない」ことを意味します。いくら苦労して、頑張って工事を完成させても、儲からないと意味がない!
現場に携わった我々は「やっと工事が終わった!よかった!」と、達成感はありますが、会社的には全くやった意味がない!という事です。現場代理人の私の責任です。社長からは当然のお叱りです。
「苦労した事は理解してるけど、お前は一体、何をやってたんや?慈善事業やない!営利目的でやっとるんや!」
私は返す言葉がありませんでした。もっと対策できる事があったかも?知れませんね!反省しなきゃです!
さて、……
発注者である市役所の設計にも問題が…
「昔の工事は儲かった!」
年配の施工管理の方や社長連中が、よくそう言いませんか?
昔はどんな工事でも儲かった。私もそんな感覚があります。それはなぜなんでしょう?
ひと昔前よりも、国土交通省の工事積算の労務単価は、毎年改定されて上昇していますし、材料費は物価の高騰によって、確かに上がっています。コンクリートやアスファルト混合物など軒並み価格が上昇しています。しかし、それに沿う形で、設計単価も毎年上がっています。ですから、設計単価に問題があるとは思えません。
確かに昨今、工事の入札における談合や落札率の問題がニュースになる事もしばしばありますよね。談合はダメですが、入札率が下がってきましたから、その影響も多少はあるでしょうね。今時、落札率が100%という事はあり得ませんから。
でも、一番の問題は役所の設計に問題あり!だと思うのです。最近の役所の担当者は現場経験がない方が多くなっています。ですから、とんでもない設計をする人がやたらと増えました。
実際、今回の水道管の工事でも、不可解な設計がありました。国道の歩道の幅員はお話ししたとおり、2メートル程度です。ですから、施工の際には歩道を規制して、仮歩道を車道に確保する必要があります。車道に1メートル程度の仮歩道を設置する事になっています。当然、警察の道路使用許可証にも、その事は書いてあります。図面も添付してあり、役所の担当者も周知のはずです。
この水道工事の最後に舗装の復旧があるのですが、その設計にビックリしました!舗装工における、舗装版直接積込に関しての歩掛りが、0.2立米のバックホウ、運搬は4トンダンプになっているのです!
0.2立米のバックホウなんて、歩道に入る訳もありませんし、4トンダンプを車道に停めると、仮歩道は確保できません!あまりにも現場条件を無視した設計です!担当者に問い合わせしたところ「他に歩掛りが、無い」との答えでした。
水道管の敷設工事の設計に関しては、当該の管轄は国交省ではありません。厚生労働省の管轄なのです。ですから、水道工事は厚労省の積算で設計してありますから、0.1立米のバックホウと2トンダンプでの運搬という歩掛りがあります。同じ工事の中なのに、舗装の復旧に関する歩掛りだけ国交省の歩掛りが使ってありました。
私の見立てによりますと、工事費が単純に安くなるよう、担当者が設計したとしか思えない!なぜ、舗装だけが国交省の歩掛りになっているのかと担当者に問い合わせしても、明確な答えはなく、設計は変更されませんでした。
役所の設計は請負者が儲からないように設計されてる?
これだけではありません。他にもいろいろと、設計に関する疑問、問題点を指摘させてもらいましたが、設計変更はされませんでした!私から言わせてもらえば、役所の設計は発注者の都合のいいように、なされている!請負者が儲からないように設計されていると思えてなりません!
設計の問題は水道工事に限らず、他の工事においても、よく見られます。例えば、住宅街の中での道路工事に、0.7立米のバックホウの掘削と大型ダンプによる土砂運搬という設計だったり、思わず「アホか!」と言いたくなるような設計がなされた現場もありました。
これでは建設会社は儲からない!儲からなかった結果を受けて、私としても、いろいろと反省点はありますが、発注者の設計にも、問題はあります。
設計に関してもう少し勉強するべきだと思いますし、同じ市内の他の建設会社の社員さんも、「頑なに、こちらの話しを聞かないという態度はどうにかならないのでしょうか?」って、同じ事を言ってました!
みなさん、どう思いますか?
こういう声をもっと拾ってほしいですね。どう思うとのことなので、1.設計単価は年々上がっていますが、市場の後を追っかけで上昇するのでタイムラグがあり、結果的に合わない。2.また設計する際、市場単価に実勢調査(簡単に言うと大手業者の実際の大量購入時の仕入値)なるものが入り、予定価格が算出されるのでこの時すでに市場価格より5~10%程度安くなっています。そこから入札ですので概ね89%~95%程度範囲で落札者が決定すると、落札時は既にトータルで2割ほど安くなってしまっている。で、ビジネス(当然)ですので利益を出すためにさらに1割程度原価を抑えようとすると他の協力会社に影響が出てしまうので、昨今の技術者がやるオーソドックスな方法は土曜祝日でて工期の圧縮により全体経費の削減を狙います。←これが週休2日の阻害の一因3.ですがもう一つ大問題があり、主も書いている通り歩掛をいじりやがります。予算ありきで設計(本来はよくない)していますので、ありえない機械設定や、条件に変更しあるいは独自の積み上げで数量等をいじります。また歩掛の基準数量自体が、障害物の何もないだだっ広い平地の標準施工量なので条件が悪い現場ではかなり無理をしてなんとかです。←これが危険作業の事故の減らない一因それでも我々は品質基準、安全基準等クリアしなければ合格しませんので一年間一生懸命働いただけで利益が出ず終わる。長くなりましたが3点程あげさせて頂きました。出来ない業者は消えろ的な方がたまにいますが現に年間ものすごい勢いで廃業しています。特にちゃんとしているところからもたない感じですね。結果手抜きや談合などの原因にもなるし、働き方改革もあるので地方自治体の設計は真面目に考えるときかもしれませんね。