【カンタン解説】建設業の働き方は「法律的」にいつから、どう変わるのか?

【カンタン解説】建設業の働き方は「法律的」にいつから、どう変わるのか?

【カンタン解説】建設業の働き方は「法律的」にいつから、どう変わるのか?

建設業の働き方はどう変わる?働き方改革関連法案が閣議決定

今国会の目玉法案である「働き方改革」関連法案が、4月6日に閣議決定されました。

ことし1月の施政方針演説で安倍晋三首相が、「わが国に染みついた長時間労働の慣行を打ち破る」と力を込めたとおり、罰則付きの残業時間の上限規制導入など長時間労働の是正への大きな一歩となりそうです。

これまで残業時間規制の適用対象外となっていた建設業も、猶予期間の後に適用となります。

担い手の確保や定着が急務の建設業にとって、長時間労働の是正はまさに最重要課題です。法案の中身をみていくことで、成立後に「いつから」「どのように」変わるのか、建設業の「働き方改革」について簡単に解説します。

建設サービス業は2019年4月から上限規制が適用

罰則付きの残業時間の上限は、休日労働も含めて月100時間未満で、年間最大720時間、2~6ヶ月の平均が80時間に設定されました。上限規制の適用のタイミングは大企業が2019年4月1日から、中小企業は1年後の2020年4月1日から施行されます。

建設業は法律の施行から5年間の規制適用の猶予期間があるため、大企業・中小企業問わず2024年4月1日から残業上限規制の適用対象となります。

一方、地質調査や建設コンサルタント、建築設計などの建設技術サービス業の企業は、建設業でなく一般企業と同様に扱われます。つまり、資本金5000万円超で従業員数100人超の建設技術サービス業は2019年4月1日から上限規制の適用を受けることになり、それ以外の中小建設技術サービス業者は2020年4月1日から対象となります。


5年を待たず建設業も自主的に適正化の動き

ただ、建設業も5年後の猶予期間まで、働き方改革に取り組まないわけではありません。

日本建設業連合会は昨年、労働時間の適正化に向け、会員企業を対象に時間外労働の上限を段階的に引き下げる「自主規制」の導入を発表しました。

全国建設業協会も「働き方改革行動憲章」を策定するなど各団体ともに自主的な取り組みが広がりをみせています。段階的に導入することで、民間発注者などの理解促進につなげていく狙いもあるようです。

高プロは2019年4月、同一労働同一賃金は2020年4月から施行

高収入で専門的な知識をもった労働者を労働時間規制の対象外とする「高度プロフェッショナル制度」は2019年4月1日から施行となります。高収入の線引きは年収で1075万円以上が想定されています。

本人の同意などを条件に、勤務時間に縛られず自由な働き方が可能となりますが、残業代や深夜・休日手当は支払われません。時間でなく成果で評価する研究開発業務やコンサルタント業務などが対象となることから、建設産業でも該当する業務で導入される可能性があります。

正社員と非正規労働者の不合理な待遇の差を禁止する「同一労働同一賃金」は、大企業が2020年4月1日、中小企業が2021年4月1日から施行となります。

中小企業に適用を猶予している割増賃金率は、2023年4月1日からすべての業種で適用となります。現状は月60時間を超える残業代も通常の25%増しとなっていますが、これを大企業と同じ50%増しに変更します。

有休取得の義務化は2019年4月1日に施行です。企業規模や業種に関係なく、年間で10日以上の有給休暇がある労働者について、5日間の有休消化を義務付けます。

このほかにも、終業から始業まで一定の時間を空ける「勤務間インターバル制度」や産業医の機能強化など、過労死対策も盛り込まれています。

誰もが働きやすい環境を整備し、それと両輪となる生産性向上も進めていくことで、持続可能な建設業を確立することが期待されます。

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日刊全国専門紙『建設通信新聞』で働く若き熱血記者。学生時代から記者に憧れ、某全国系経済新聞でバイトする。卒業後、証券業界で厳しく激しく育てられてから入社。一般家庭への飛び込み営業も経験しているため、少々の苦労は苦労と思わないようにしている。霞が関を根城にして活動中。
建設通信DIGITAL web刊⇒ https://www.kensetsunews.com/web-kan
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