5年を待たず建設業も自主的に適正化の動き
ただ、建設業も5年後の猶予期間まで、働き方改革に取り組まないわけではありません。
日本建設業連合会は昨年、労働時間の適正化に向け、会員企業を対象に時間外労働の上限を段階的に引き下げる「自主規制」の導入を発表しました。
全国建設業協会も「働き方改革行動憲章」を策定するなど各団体ともに自主的な取り組みが広がりをみせています。段階的に導入することで、民間発注者などの理解促進につなげていく狙いもあるようです。
高プロは2019年4月、同一労働同一賃金は2020年4月から施行
高収入で専門的な知識をもった労働者を労働時間規制の対象外とする「高度プロフェッショナル制度」は2019年4月1日から施行となります。高収入の線引きは年収で1075万円以上が想定されています。
本人の同意などを条件に、勤務時間に縛られず自由な働き方が可能となりますが、残業代や深夜・休日手当は支払われません。時間でなく成果で評価する研究開発業務やコンサルタント業務などが対象となることから、建設産業でも該当する業務で導入される可能性があります。
正社員と非正規労働者の不合理な待遇の差を禁止する「同一労働同一賃金」は、大企業が2020年4月1日、中小企業が2021年4月1日から施行となります。
中小企業に適用を猶予している割増賃金率は、2023年4月1日からすべての業種で適用となります。現状は月60時間を超える残業代も通常の25%増しとなっていますが、これを大企業と同じ50%増しに変更します。
有休取得の義務化は2019年4月1日に施行です。企業規模や業種に関係なく、年間で10日以上の有給休暇がある労働者について、5日間の有休消化を義務付けます。
このほかにも、終業から始業まで一定の時間を空ける「勤務間インターバル制度」や産業医の機能強化など、過労死対策も盛り込まれています。
誰もが働きやすい環境を整備し、それと両輪となる生産性向上も進めていくことで、持続可能な建設業を確立することが期待されます。