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デミマツから土木技術者の卵に送る特別授業。「当たり前のように使っている構造物をつくる仕事が土木だ」

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四国の犬
公開日:2019.11.12 / 最終更新日:2022.08.16
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「1C」の「C」のポーズを決めるデミマツと大分高専都市・環境工学科1年生の学生ら

「1C」の「C」のポーズを決めるデミマツと大分高専都市・環境工学科1年生の学生ら

目次
  1. デミーとマツが高専生に特別授業
  2. デミ「当たり前のように使っている構造物をつくる仕事が土木だ」
  3. マツ「土木工学は社会を幸せにし、人を優しく包み込むことができる学問」
  4. 公務員志望が9割
  5. 伝えられずにいた土木を感じてもらえた

デミーとマツが高専生に特別授業

「噂の土木応援チーム・デミーとマツ」(以下、デミマツ)が7月某日、大分工業高等専門学校(以下、大分高専)都市・環境工学科の1年生(1C)41名を相手に特活とALHの時間を使って特別授業を行った。

デミーこと出水享さん(長崎大学職員)、マツこと松永昭吾さん(株式会社共同技術コンサルタント)がそれぞれ教壇に立ち、自身の土木経験を振り返りつつ、土木の魅力などについて語りかけた。

学生はどう受け止めたのか。講座後のデミマツと学生の対話とともに、レポートする。

デミこと出水亨さん(左)、マツこと松永昭吾さん(右)と、担任の名木野晴暢・大分高専都市・環境工学科准教授(中央)

デミ「当たり前のように使っている構造物をつくる仕事が土木だ」

デミマツはどんな話をしたか。それぞれの講座内容(抄録)を掲載する。まずはデミさんから。

デミ 私は福岡県出身だが大分県の高校に通っていた。その後、長崎大学に進学し土木を学んだ。その後、建設コンサルタント会社に就職して、橋梁の維持管理の仕事を行った。長崎大学に戻り、博士号をとり、土木構造物に関する研究、教育、社会貢献を行っている。今から研究について話をします。研究に少しでも関心が持てたら、将来、研究者としての道があることを頭にいれてほしい。

世の中のインフラは、建設から50年以上経過して、老朽化した構造物が増加している。構造物のメンテナンスにはお金が必要だが、人手も不足している。私がやっている研究は、いかに効率良く、効果的な点検をするかを目的としている。その中で、ドローンを使った橋梁検査の開発を行っている。高さのある橋梁は、足場を作る必要があるため、点検が難しいが、ドローンを使えば、写真を撮って、それを3次元(3D)データ化できる。そのデータを使えばコンクリートのひび割れや鉄筋の露出の検出も容易だ。

この技術を使ったのが、軍艦島の3Dデータアーカイブ化だ。軍艦島は4年前に世界文化遺産に登録された島だ。見た目が軍艦に似ていることから、軍艦島と呼ばれるようになった。石炭を掘るための島で、多くの人が生活していたが、石炭が不要になり、今は無人島になっている。島内には、鉄筋がむき出しになって、ボロボロになった構造物が残っているが、日々壊れていっている。この軍艦島をそのままの状態で記録しようというのが、3Dデータアーカイブ化だ。ドローンで2万枚ほど写真を撮り、約2千枚を使って3D化した。

3Dデータ化によって、軍艦島の状態をそのまま保存できる。データ保存は定期的に実施している。過去のデータと照らし合わせることで、その間の損傷変化も把握できる。3Dプリンタで模型も作れる。軍艦島3Dプロジェクトはグッドデザイン賞を受賞した。別の研究では国土個通大臣表彰をもらった。

登壇するデミーとマツ

長崎大学では海外の土木技術者にメンテナンス技術を伝授する活動も行っている。みなさんには、日本のインフラメンテナンス技術は、世界的に見ても高いということを知っておいて欲しい。構造物はつくるだけでなく、その後のお守りもしなければならない。構造物を見守る技術は非常に大切だ。

土木とはなんだろうか。例えば道路や橋、みなさんが当たり前のように使っている構造物をつくる仕事が土木だ。長崎県には多くの島があり、多くの橋が架かっているが、橋によって、県民は便利で豊かな生活を営むことができる。

土木構造物を守るのも土木の仕事だ。土木構造物は、人間のように痛いと言わない。傷んでいないか調べるには、人間が歩み寄って、土木構造物の心の声を聞いてやらなければならない。多くの技術者が五感を使って構造物の点検、メンテナンスを日々行っているので、みなさんの便利な生活が守られている。

水道、下水道も土木の仕事だ。道路の下には水道管、下水道管、ガス管、電気などのライフラインが埋まっているが、やはり土木の仕事になる。地下インフラをメンテナンスするための出入り口がマンホール蓋。マンホール蓋は、地域毎にデザインの違いがある。最近はカワイイものも増えているので、機会があればじっくり見て欲しい。そして、マンホール蓋にある地下インフラのことを少しでも関心をもってほしい。

災害はどうだろうか。災害が起きると、まず土木の人たちが道路を作る。道を作らないと、自衛隊も現場に入れない。東日本大震災では、自身が被災者だったにもかかわらず、現場に出て、道を作った土木の多くの人たちがいた。災害からの復旧も土木の仕事だ。土木工学は、英語で「civil engineering」。土木は「市民のための工学」だということを覚えていて欲しい。

現在、土木業界は担い手が不足しているし、人気もない。また、誇りをもって働いている人が少ない。このようなことから、土木を応援しよう、PRしようということで、デミマツの活動を始めた。今回のように、全国のいろいろなところに行って、講演を行い、土木のPRを行っている。子どもたちに、土木のお仕事体験イベントも行っている。活動はボランティアで行っている。昨年、活動が評価され、土木学会から土木広報大賞優秀賞を受賞した。

土木の現場では「ご安全に」という言葉を使う。みなさんが土木工事の現場を見かけたら、「ご安全に」と言葉をかけて欲しい。土木の人たちはすごく喜ぶし、自分の仕事に誇りを持ってくれる。みんなで応援しよう!

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