「建築」と「電気・設備」の衝突
建設現場に構える現場事務所ですが、私の会社では、小規模な現場を除いて大抵の場合、「建築」「電気」「設備」の3つの部屋を用意します。
そして「建築」「電気」「設備」のそれぞれのメンバーは基本的には別々に仕事をして、会議や現場で一緒に話し合いをします。工事を進めるにあたって、お互いに相談することもよくありますが、相互間にある溝も深く、トラブルに発展することもしばしばあります。
特に「建築」と「電気・設備」の間には、大きな溝が横たわっていると思います。
私の上司である所長X(建築)は、その溝を埋めるどころか、拡げる人間でした。
建築が一番偉い!?
建築事務所や施主と話し合って建物の構造や意匠、図面を決めるのは、主に建築の仕事です。そのため、建設工事の主導権はどうしても建築が握ることになります。
建築が決めた図面を基に電気・設備が検討する形が多く、突然図面が変更になって電気・設備が振り回されるケースもしばしばあります。
全体的な仕事量も明らかに建築のほうが電気・設備より多いので、なんとなく建築が一番上の立場であるように上下関係を意識してしまう人も多いです。
そして電気・設備は「どうせ建築の話が決まらないと」と、ハナから「待ち」の姿勢の人が多いのも特徴です。そして人間的な相性の問題もあって、しばしば「建築」と「電気・設備」の間で衝突が起こります。
特に、私の経験上、建築・電気・設備のどの分野か判然としない「グレーゾーン」の細かい雑用のような仕事をめぐってトラブルが発生することが多いです。
施工方針などの主張をどこで折り合いをつけるか、また実際の作業のどこからどこまでどの部署がするのか、という話し合いがうまくできず、現場が止まってしまうこともあります。
建築の現場監督はゴミ拾いも大事
私の上司である所長X(建築)は完全に「自分がボス」だと思っている人物でした。グレーゾーンの細かい作業は一括して電気・設備に投げてしまう高慢な人で、専門分野とは全く関係のない掃除や雑用も毎回押し付けます。
すると、電気・設備のやる気はどんどん下がります。それだけでなく、怒りもどんどん膨れていきました。私は心の中で「おじさんたち、みんな大人気ないなあ。小学生の喧嘩みたい」と失笑しながら、おじさん連中の陰口を聞いていました。
しかも、おじさんたちは、直接所長に抗議するのは怖いらしく、私に抗議してきました。しかし、下っ端のけんせつ小町である私には、どうすることもできず、申し訳なさから一緒に雑用をこなすしかありませんでした。
私はあくまで3つの部署は対等であるべきだとは思いますが、建築のトップが意地悪だとしょうもないことでぶつかります。おじさんたちも皆プライドのある人間なのです(笑)
何も専門的な技術だけで建築現場が成り立っているわけではありません。暦何十年目のどんなベテランでもゴミ拾いはするべきだし、他人に気を配るべきです。少なくとも私の今まで出会った「良いリーダー」は自ら率先的にゴミ拾いも行う人でしたね。