静かなブーム?賛否両論「ドカメン」を仕掛ける男たち
「ドカメン」が静かなブーム(?)になっている。
ドカメンとは「ドカタ」+「イケメン」を組み合わせた造語で、地域建設業で働く男(イケメン)の総称を意味する。
仕掛け人は、植田興業株式会社(高知県四万十市)の植田英喜さんと、山本建設株式会社(高知県黒潮町)の山本祥平さん。
やっぱり妙に仲が良い二人
「夢がない」と言われる地域建設業をなんとか盛り上げようと、あえて「男臭さ」を全面に打ち出した攻めの企画を立案製作。
高知県西部の地域情報誌「はたも〜ら」誌上で、3ヶ月ごとに連載し、建設関係者の間に、賛否両論を巻き起こしている。
ドカメン企画の狙いや、お叱りを受けたネタなどについて、仕掛け人のお二人に取材してきた。
「ドカメン」で建設業のアピールを
「地域建設業に関する情報発信をしたい」――。「ドカメン」の発想は、10年前、植田英喜さんが会社経営のかたわら通っていた高知工科大学の大学院時代にさかのぼる。
当時、研究テーマには、建設業における「BCP」と「情報発信」の二つのコースがあった。植田さんはBCPを選んだが、大学を離れてからも、情報発信について研究できなかったことが心残りになっていた。
そして月日が流れて5年前、植田さんは高知県建設業協会幡多支部連合会青年部の部長に就任したのをきっかけに、「情報発信をやろう」と決心。行動に移した。
建設業を情報発信するに当たって、植田さんが切り口に選んだのは、実際に土木現場で働く「若いイケメン」。土木現場の仕事は、世間的にはほとんど知られていない現状がある。「ドカタとして、実際に働いている若い人の顔が見えるアピールをしたかった」という思いがあった。
「ドカメン」という言葉も、植田さんのアイデアだ。「誰でも思いつきそうな造語だと思ったが、ネットで調べると、誰も使っていなかったので、ずっと使っている」と言う。誌面構成などは、感伝社の「BLUE’S MAGAZINE(ブルーズマガジン)」やファッション雑誌を参考に、文章は少なめに、スナップショットなどで「見せる」誌面を選んだ。
ただ、誌面づくりに関しては素人。文章や写真素材集めまでは自力でやったものの、レイアウトなどは雑誌編集者に丸投げしていた。
じゃあ二人で一緒にやろうか
ドカメン企画第2弾まで出した頃、青年部の会合で、植田さんは山本祥平さんと知り合う。
祥平さんは、大学で土木を勉強した後、家業である山本建設に入社。現場仕事などに携わっていたが、1年ほど働いた頃、「グラフィックデザインの勉強がしたい」と思い立ち、会社を辞め、東京の専門学校に通い始める。3年ほどグラフィックデザインの仕事をした後、再び山本建設に戻る。そういう経歴の持ち主だった。
見つめ合う二人。
植田さんは「祥ちゃんにドカメンの話をすると、その場で、自分には考えつかないようないろいろな提案をしてくれた」。祥平さんは「東京では、誰のために作っているかわからない仕事ばかりだったのが、不満だった。地元のため、仲間のためになることに、やりがいを感じた」と振り返る。
「じゃあ二人で一緒にやろうか」とすぐに意気投合した。
ドカメンの動画
誌面製作は、本業の合間をぬって時間をつくり、行っている。「2、3日間集中して、一気に仕上げる感じ」(植田さん)と言う。
ただ、毎月それだけの時間を確保するのは「とてもムリ」(同)なので、3ヶ月に1回の掲載ペースになっている。
ドカメンのYoutube動画も作成、公開している。連載モノのようだが、まだ続編はない。
ドカメン第壱話(※爆笑注意、ちゃんと再生できます)
くだらないものが好き。とりあえず、適当にやりたい
二人が一番頭を悩ますのは、誌面ネタ。最初の頃はネタのストックがあったが、回数を重ねると、ネタも詰まってくる。
ネタを考えるのは、もっぱら青年部の飲み会。数人でワイワイ楽しく話ししながら、ネタを決める。
ただ、毎回「よっしゃ、それでいこう!」と盛り上がるのは良いが、後日「あれ、なにをやるがやったっけ?」と忘れてしまうことがあった。これではいけないということで、最近はメモをとるようにしているが、「メモを見ても、断片的で思い出せないこともある」(植田さん)と笑う。
この点、植田さんは「採用したネタも、基本的に意味のないものが多い。内容の一貫性もない。ホンマ、くだらないモノです。でも、くだらないモノが好き(笑)」と言い切る。
お叱りを受けた「ドカタレイジ」
植田さんのお気に入り企画は「ドカタレイジ」。映画「アウトレイジ」をパロッたもので、青年部のコワモテの人に出てもらった。
衣装は自前。良し悪しは別にして、この辺の人材は豊富そうだ。シリーズの中でもかなりの力作だったが、周りの評判は悪かった。
評判が悪かった「ドカタレイジ」
「ヤクザの怖いイメージ持たれたら、いかんやろ」とお叱りを受けた。「全員安全」と良いことを書いたが、効果は薄かった。
抱負については、「とりあえず、適当にやりたい」(植田さん)と一言。シリーズ連載は意外と長く続きそうだ。
良いですね。最近土木や土方ではなく環境事業的な言い方に変えるところが多いですが、そもそも土木や土方は差別用語ではないのでメディアが普及させた世間の間違いを正していってもらいたい。